シンエイ通信

シンエイ通信【平成29年9月30日作成 94号】

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平成29年9月30日作成 94号


■ 台風18号で、大きな被害

大分県南部佐伯、臼杵、津久見などで河川氾濫し床上・床下浸水などの被害をもたらした台風18号で、大分県南部、宮崎県北部の山林作業道に大きな被害が出ていることが判明。九州内の主要な素材生産地で大型製材所や加工工場なども立地する地域。既にこの地域での杉丸太相場は急騰しており、今後の丸太不足も懸念される情勢になってきている。

 九州は熊本地震からの復興需要を中心に住宅や建築需要が旺盛で、国産材メーカー等は九州内向け出荷を主にフル生産を続けている。さきには九州北部豪雨で大分県日田市などでも山林被害が出ており、秋需期に原木出荷量が不足することになれば、調達コストの上昇から九州のメーカーは製品価格の値上げが必須になりそうである。
 一方、台風18号による大分県内の住宅被害は20日時点で、2337棟となり、全壊は佐伯、津久見市の2棟、一部損壊は大分市など15棟。ほかは床上・床下浸水被害となっており、現状で応急仮設住宅などの建設工事は予定されていない。

■ 大工育成ガイドライン策定
   JBN (全国工務店協会)

JBN(全国工務店協会)は、「JBN大工育成ガイドライン」を作成した。
JBN会員工務店各社・団体の、若手人材確保と入職から3年間の大工育成の指針となり、4年目以降の大工職人としてのキャリアも示すものとなる。

 JBNでは大工不足が懸念されるなかで、大工育成が工務店経営の重要な課題となり、若手大工の入職を進めるには社員化による大工の待遇改善が必要と考えている。ハローワークでの求人に当たり就業規則の整備は必須で、雇用契約、社会保険適応、有給休暇、退職金制度を整えることが必要だ。目指す大工像は、在来工法を習得し、耐震・省エネ改修ができる人物。小中規模の非住宅木造や2×4工法、ログハウスへの対応もできる。

 CLTをはじめとした新素材、新工法にも対応でき、伝統工法の社寺などの修繕、維持管理を担う。災害時には応急仮設住宅や復興住宅を地域の材で建設できることなども視野に入れている。

 入職から3年間は見習い大工として働き、その後一般大工として技能修練、資格取得などに取り組む。現場棟梁としてキャリアを蓄積、熟練大工として技能を熟達し、定年後に意向確認して再雇用していく生涯現役をイメージする。

 当初3年間は育成期間として教育プログラムを策定し、指導棟梁の下、日々OJTを基本に毎月1~2回の座学をポリテクセンターなどと連携して行う。年に2~3回は集合研修も行っていく。こうしたガイドラインの説明会を27日の東京会場を皮切りに28日香川、10月3日福岡、4日広島、11日名古屋、12日長野で開催。

■ MDFを値上げ

 大建工業は10月1日出荷分からMDFの値上げを打ち出している。昨年から原木などの原材料価格の高騰が続いてきたが、企業努力にて価格上昇分を吸収してきた。しかし、世界的にMDF需要が好調ななかで生産コストの上昇が続いてたため、国内への安定供給確保に向けて、販売価格へのコスト転嫁に踏み切った。値上げ幅は現行価格から5%アップを打診している。

 昨年まで円高だったため、上昇分を企業内で吸収できていたが、今年にないってからは円安基調に転じたため、吸収が難しくなった。MDFの国内での荷動きも、賃貸物件やマンション需要が当初想定していたよりも好調で、建材メーカーからの引き合いが堅調。安定的な供給量を確保するために生産コスト上昇分の価格転嫁を決断した。同社は8月24日付で価格改定に関する書面を作成。各地域の営業社員が顧客への説明に回っている。

■ サスティナブル先導事業の募集開始
  国土交通省

 国土交通省は12日から2017年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の提案募集受付(第1回)を開始した。
 対象は一般建築物と木造実験棟。一般建築物は、建築物の木造化と、建築物の内・外装の木質化の推進に向けたモデル性や先導性の高いプロジェクトとして選定されたもの。

 木造実験棟は、5つの要件を満たし、CLT工法など先導的な設計・施工技術を導入するもの。要件には、木材利用に関する建築生産システムなどの先導性を有し、制度基準に関して実験・検証する。公的主体と共同または協力を得て研究し、実験・検証の内容を公表し、普及啓発していくことが挙がる。

■ 住宅セーフティネット法施行
   国土交通省

 国土交通省は8日、住宅の確保が難しい世帯に対するセーフティネット制度を交付した。10月25日に施行する。民間賃貸住宅や空き家を活用し、高齢者や低額所得者、子育て世帯などの入居を拒まない賃貸住宅の登録制度創設などを盛り込んだもの。住宅確保が難しい世帯に対し、住宅の早期確保を図るため、既存住宅等を専用住宅とする改修を支援する。補助限度額は戸当たり50万円ほど。

 この支援事業を「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業」として創設し、9月下旬から公募を開始。10月10日~12月上旬まで全国8カ所で説明会を開く
(事務局の連絡先は、03-3239-8311)

この事業を含む大きな補助事業が「スマートウェルネス住宅等推進事業」。高齢者、障害者、子育て世帯などが安心して暮らせる住宅環境(スマートウェルネス住宅)を実現するため、サ高住や福祉施設などの整備を支援するものだ。

■ 熊本県 日本財団わがまち基金
  「みんなの家」を活用被災公民館を木造で再建

 熊本県は、熊本地震で被災した地域の公民館を木造の「みんなの家」で再建、整備することを決めた。対象となるのは10地区で、建設されるのは40、60、100平方メートルの木造平屋建て。事業主体は熊本県建築住宅センター。同事業は日本財団わがまち基金との協働で実施する。

 熊本地震からの復旧・復興では、木造仮設住宅が600戸以上建設されるとともに、各仮設住宅団地ごとに「みんなの家」が設置された。その総数は84棟に及び、住民にとって復興に向けた拠点となり好評を得た。今回さらに、地区住民が避難所として利用できる機能を持つものとして整備する計画だ。

 「みんなの家」は、くまもとアートポリス事業(KAP)で取り組まれてきたもので、東日本大震災や阿蘇豪雨で活用され好評を得てきた。今回の日本財団の助成を活用して整備する同事業も、KAPで設計者を選び、利用者の意見を反映する取り組みになる。
 熊本県と日本財団わがまち基金の協働による「みんなの家」整備事業は、既に今年初めから災害救助法による集会施設整備基準に満たない小規模仮設住宅についても9棟(木造平屋30平方メートル程度)の整備を進めている。

■ 8月の新設住宅着工戸数、持家と貸家3ヵ月連続減

国土交通省が9月29日に発表した8月の新設住宅着工戸数は、前年同月比2.0%減の8万562戸で2か月連続の減少となった。分譲住宅は増加したが、持家と貸家が減少した。季節調整済み年率換算値は94.2万戸で前月比3.2%減。

 持家は実数ベースで2万4379戸、前年同月比7.4%減となり3ケ月連続の減少。貸家も前年同月比4.9%減の3万4968戸で3か月連続の減少となった。

 分譲住宅は前年同月比12.0%増の2万728戸で3ヵ月連続の増加。マンション、一戸建てともに増加した。特にマンションは前年同月比33.7%増となった。

■ 新築住宅の省エネ基準適合義務化へ 実態把握と課題整理

 国土交通省の「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会」の第1回会合が9月28日、開催された。

 会の冒頭、伊藤明子住宅局長は「2020年度までに段階的に新築住宅・建築物の省エネ基準への適合を進めるとしたエネルギー基本計画に基づいた政策を進めるため、まず実態を詳細に把握し、適合率向上に向けた課題などを整理することが目的」と趣旨を説明した。全6回の会合を持ち、2017年度内に中間とりまとめを行う予定

■木づかい運動 ~国産材使って減らそうCO2~

日本では、戦後造成されたスギやヒノキなどの人工林を中心に本格的な利用期を迎えています。しかしながら、国内の森林資源が十分に利用されず、適切な森林整備が行われない箇所も見られます。

木材が利用され、その収益が林業生産活動に還元されることにより、植える、育てる、収穫する、上手に使うというサイクルが維持され、適正な整備や保全を続けながら、CO2をたっぷり吸収する元気な森をつくります。

「木づかい」とは、暮らしに木材の製品をどんどん取り入れて木材を利用することにより森を育てるエコ活動です。木を使うことから、すべてが始まります。

CO2の吸収や国土を災害から守るといった森林の持つ多くの働きを発揮させるためにも、木材を使って森を育てることは大切なことです。そして、2005年度から、国産材をみなさんにより広く利用していただくため、林野庁は「木づかい運動」としてPR活動を強化しています。特に、毎年10月を「木づかい推進月間」として集中的に取り組みを実施することとしています。

【木づかいサイクルマーク】
木づかいロゴマーク

■ 木のぬくもりで新年を 木製鏡餅作りピーク

国内外の木材で食器や小物を制作する大分県日田市大山町の工房「ウッドアート楽」で、正月飾り用の「木製鏡餅」作りがピークを迎えている=写真。

 「餅をつくのは面倒だけど、パックの餅では雰囲気が出ない」という要望に応えて5年前から販売。欧州産のメープルを手作業で削り、仕上げにせっけん水を塗ると素材の白さが際立つという。ぷっくりした姿は本物の鏡餅のよう。

 添えるユズリハやダイダイも木製。矢羽田匡裕代表(47)は「木のぬくもりがある鏡餅で、心温まる新年を迎えてください」。1万5800円から。

 新しい発想で天然木の良さを皆さんに理解を深めたいと思う事は素晴らしい!

■木材自給率、30年ぶり高水準、16年は34.8%

林野庁は26日、2016年の木材自給率が前年比1.6ポイント増の34.8%だったと発表した。1986年と並ぶ30年ぶりの高水準。バイオマス発電所の増加に加え、住宅用合板で国産材を使う動きが活発になったためだ。

 16年に稼働を始めたバイオマス発電所は全国で17カ所に達し、木材チップなど「燃料材」の国内生産量は前年比59%伸びた。木造住宅の新設着工戸数が8%増だったことも追い風となった。

 55年の木材自給率は96%だったが、輸入自由化で70年には50%を切り、02年に18.8%まで落ち込んだ。その後は合板原料にスギの利用などが進み、上昇基調にある。

 高度経済成長期に集中して植林した人工林が伐採の「適齢期」を迎えており、国産材の利用は今後も拡大する可能性が高い。