シンエイ通信

シンエイ通信【平成27年9月30日作成 72号】

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平成27年9月30日作成 72号


■電力自由化の波!

長らく大手電力会社による独占が続いていた電力事業ですが、いよいよ2016年から始まろうとしている私たちの一般家庭や小規模店舗への「電力自由化」をきっかけに、電力市場は一気に自由競争へと向かうことになりました。
実はこの電力自由化は2016年にいきなり始まるわけではありません。実は2000年より段階的に検討されてはいたのですが、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で起きた原発事故によって電気が不足し、電気料金は上がり始め、「日本の電力の仕組みや制度は本当にこのままでいいのか?」という流れが多くなり、全面的な自由化へと動き出し、政府は電気の安定的な供給を確保した上で、電気料金を抑え、家計の負担を軽減し、産業の競争力を高めるため、「電力自由化」本来の目的を、より明確化させて、電力の全面自由化を含めた改革となります。

2016年から始まる全面自由化により開放される市場規模は7.5兆円にまで膨れ上がると推定されています。すでに新規参入した新電力と呼ばれる会社の数は増加の一途をたどり、すでに450社を突破しています。ガス会社、電話会社、電機大手や自動車など、あらゆる業種の大手企業が新電力会社として登録しています。住宅メーカーでは、ミサワホームや大和ハウスがあります。

電力小売り自由化に向け、電力会社では、各家庭にスマートメーターを設置していく計画です。東京電力管轄の地域では、2020年までには全家庭にスマートメーターを設置するとしています。
スマートメーターでは、電力需要を30分単位で把握し、デマンドレスポンスで電力需要を制御して、発電コストを抑える仕組みです。ただスマートメーターでは、家全体の電気使用量しか把握できないため、各電気機器や部屋ごとの電気使用状況を把握するには、HEMS(HOUSE ENERGY MANEGEME|NT SYSTEM)によるエネルギー消費の「見える化」が求められます。大手ハウスメーカーの多くが、積極的に設置しているスマートハウスの要の部分です。経産省では26年度予算で、1万世帯へのHEMS導入予算を確保するなどHEMS化を推進しています。

■押し寄せるゼロエネルギー化の波

光熱費が実質的に不要になる夢の住宅「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」。一次エネルギーの消費量が正味(ネット)で0となる住宅として、日本政府が2020年にも新築住宅の標準とする目標を掲げています。

実はこのZEHについては、積水化学工業が2015年2月9日、調査結果*1)が発表した2014年1月から同12月の年間消費電力量と発電量、電力量の収支を調査結果が興味深い結果を出しています。

調査の結果分かったことは大きく3つ。

ゼロエネルギーを達成できた住宅は全体の約17%

ゼロエネルギーを達成できた住宅の光熱費収支は約11万5000円の黒字

ゼロエネルギーを達成できた住宅は、小家族の場合が多く、寒冷地では少ない

政府は補助金事業として2014年度に「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」を進めている。この条件に当てはまるのが、青色と黄緑色の部分だ。黄緑色の部分は家電の消費電力を差し引いてゼロエネルギーになっている住宅です。

経済的には全住宅の平均でも黒字

電力自由化は安全?

電気は社会の大事なインフラです。自由化によって市場原理を働かせるからといって、電気の供給が不安定になったり、事務手続きが複雑になってしまうようでは意味がありません。「電力自由化」には大きく分けて4つのセーフティネットが確保されています。

広域的運営推進機関

電力不足が起きないように電気使用量と発電量のバランスを取り、万が一、停電リスクが高まったときには地域間で電気を融通したり、電気の慢性的な不足が見込まれる地域に発電所を増やすべく、企業を入札で募る、といった役割を担う機関です。

参入会社のライセンス制度

異業種から数多くの会社が電気事業へ参入することによるトラブルを防ぐことを目的として、電気を販売する全ての会社にライセンスの取得が課されます。そして、ライセンスを取得した会社は消費者保護の観点から様々な義務を果たすことを求められます。

停電を起こさせないフォロー制度

仮に契約している電力会社が経営破たんしても停電はせず、継続して電気が届けられることになっています。その場合、私たちは既存の電力会社へ料金を払うことになります。新電力と既存の電力会社へ二重に電気料金を支払う心配はありません。

事業者間の連携

契約の変更手続きが簡単にできるよう、システムやルールが準備されています。これにより、Webや電話から手軽に契約手続きができるようになり、変更前の電力会社に解約の連絡をする必要はありません。


本当に電気料金は安くなる?

実際、電気料金はどうなるのでしょうか? 

経済産業省は、大規模な工場やオフィスへの電力の小売を自由化した後、電力会社間の競争が活発化したことで電気料金が抑制され、その効果は全国で5兆円分に達したと発表しています。愛媛県松山市の中学校29校が、四国電力から新電力に切り替えたところ、年間約6.2%、金額にして500万円分削減したという事例もあります(松山市教育委員会発表)。


参入企業の方向性と住宅業界

携帯電話事業者は携帯電話や固定電話の通信事業で既に数千万件ともいわれる契約を保有しており、サポートセンターや料金の回収システムなども整備しています。
月間の使用量に基いて料金を請求するというサービス形態は電話と共通ですから、こうしたインフラを活用できるメリットがあり、携帯電話とセットで契約すれば電気料金の回収も容易であることから、セット割引などのサービスが提供されるかもしれません。

都市ガス会社はすでに大都市のほぼ全家庭と契約を結んでおり「電気とガスの同時契約」による割引を提供すれば、消費者にとって大きなメリットになります。イギリスでは、こうした併売(デュアルフュエル契約)は一般的になっています。

ミサワホームや大和ハウス工業などの住宅メーカーや、外食大手のワタミの子会社や電機大手のパナソニックなども参入企業として名を連ねています。住宅メーカーであれば、自社で住宅を建てた顧客のみに割引料金を保証などが考えられます。

私たちの住宅業界としても「電力自由化」は対岸の火事ではありません。これから新築を行う顧客はもちろん、すでに太陽光を取り入れた顧客、買い取り制度が終わりそうな顧客(10年近く前に設置)、まだエネルギーに対して何の対策も取っていない顧客(省エネリフォーム含む)など提案と提案先は限りなく大きな市場となっています。

調査結果から分かった光熱費の収支を図3です。全住宅の売電金額と買電金額を見ると、年間の光熱費収支は1万7127円の黒字でした。従って、ゼロエネルギーを実現できていなかったとしても、経済的なメリットは大きいといえます。ゼロエネルギー住宅の真の強みは売電単価が例え買電単価と同じまで下がったとしても黒字を維持できることなので、固定価格買取制度(FIT)が終了したとしても経済的に成り立つことが予測されます。

■簡単にスマートハウス対応が出来る「スマサポ」
エネルギーに関する記事が続きます。

創エネ・省エネ・蓄エネをHEMS(HOUSE ENERGY MANEGEME|NT SYSTEM)を使って管理(コントロール)できる住宅をスマートハウスといいます。

政府は2020年までにネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを標準的な住宅にする」と目標を掲げています。その流れは日本に限ったことではなく、世界の至る所で低炭素社会を目指したネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進がなされています。まさに、日常生活において無駄なエネルギーを排し節約に努めることは世界基準となってきています。その為には住宅をスマートハウス化する必要がある訳です。

大手住宅メーカーは既にゼロエネルギーハウス(ZEH)に対して明確な方向性を打ち出しています。

積水ハウス

ZEH商品「Green First ZERO」を展開
新築のZEH住宅比率は約48%

積水化家具工業

ZEH商品「スマートハイム」を展開
新築のZEH住宅比率は約66%
2016年までにZEH標準化(家電除く)
2020年までにZEG標準化(家電含む)


パナホーム

ZEH商品「BlueEnergy」を展開
2018年に戸建て全商品をZEH化


トヨタホーム

ZEH商品「GREAT SOLER ZERO」を展開


住友林業

ZEH商品「Green Smart」を展開


ヤマダ・エス・バイ・エル

ZEH商品「E‐シェリエ ゼロ」を展開


タマ・ホーム

ZEH商品「T-SMART」を展開
太陽光パネル・家庭用蓄電池のリース&レンタル開始


このように大手住宅メーカーもこぞってZEH商品やZEH対応を発表しています。
但し、一般的にはZEHは蓄電池のコストも高く全国レベルではまだまだ普及し切れていないのが現実です。しかし、2020年には間違いなくZEH標準化となることでしょう。

低コストで幅広いスマートハウスを提案できる「スマサポ」

今回、ご紹介する「スマサポ」は今までの電機メーカーの枠を超えてスマートハウスを構築できる画期的な商品です。

機器の考え方としては分電盤の下に繋げ、各種電気の流れを計測しコントロールする事が出来るもので、一般的なスマートメーターの替わりにもなり、スマホやパソコンからの操作も可能です。

その主な特徴は、

◎太陽光・蓄電池の後付けOK
◎太陽光やHEMS、蓄電池が異なるメーカーでもOK
◎HEMSの代わりとしても機能
◎蓄電池の効果を最大限に発揮できてW発電とはならない
◎独立系の蓄電池を系統連系型・創蓄連携システムとして利用できる
◎停電時に5回路まで電気を使用可能
◎スマホやパソコンから接続して簡単操作が可能(近日リリース予定)
◎一度設定することで自動運用が可能(もちろん手動も可)

といった今までのスマートハウスでなかなか出来なかった、もしくはコストが高くて導入が難しかった部分に踏み込んだ商品です。

では、これらの特徴を簡単に説明します。

◎太陽光・蓄電池の後付けOK

太陽光や蓄電池を導入しない場合でも「スマートハウス対応」として設置しておけば、蓄電池のコストが下がった際などにそのまま接続できます。もちろん後付けの太陽光にも対応しています。


◎太陽光やHEMS、蓄電池が異なるメーカーでもOK

今までのスマートハウスはどうしても機器がメーカーで統一されていなければダメでしたが「スマサポ」では太陽光や蓄電池などのメーカーは問いません。現状のHEMSもそのまま利用できますし、HEMSの代わりに「スマサポ」を利用することも出来ます。


◎スマートメーター、HEMSの代わりとしても機能

現状のHEMSもそのまま利用できますし、HEMSの代わりに「スマサポ」を利用することも出来ます。


◎蓄電池の効果を最大限に発揮できてW発電とはならない

蓄電池を使って昼の電力を売電しようとする場合、W発電として買取単価が安く設定されていましたが、「スマサポ」ではW発電とはならない為、蓄電池だけで夜間電力の昼間利用や夜間蓄電した電力を昼使うことによる発電電力をほぼ全て売電すると言った使い方が可能です。

◎独立系の蓄電池を系統連結型・創蓄連系システムとして利用できる

独立系の蓄電池が数倍の価格の系統連結型・創蓄連系システムとして使用できる為、導入コストを抑えることが出来、災害時なども系統単位での給電が出来る

◎停電時に5回路まで電気を使用可能

独立系の蓄電池を利用していても接続により5回路まで給電が出来る為、災害時は居間とトイレだけ等のような給電が可能


◎スマホやパソコンから接続して簡単操作が可能(近日リリース予定)

モニタリングシステムはスマホやパソコンを利用できる為、導入にかかるコストを抑えることが出来る上、使い勝手もよい。またバージョンアップにより機能も増える。

◎一度設定することで自動運用が可能(もちろん手動も可)

例えば朝9時から蓄電池の容量が50%を切るまでは夜間貯めた電力を使い、50%を切ったら発電した電力+購入する電力を使うと言った設定が可能なので、一度設定すると自動的に運用が可能になる。また、居間から電気をたくさん使うので蓄電池を使うなどと言った手動による設定も可能
高まるHEMSの需要

太陽光発電の搭載率は、高いメーカーは新築の8割以上、低いところでも大手では5割程度に達しています。蓄電池では、セキスイハイムが3割くらいと最も高い採用率ですが実際はまだ普及期に入ったとは言いづらい状況です。発電と同時に発電時に出た排熱も回収して使う総合効率の高いエネファームも、積水ハウスや住友林業では5割以上で採用されており、今後は更なる普及が見込めます。

電力を使うよりも作る方が多ければ、ゼロエネルギー住宅となりますし、HEMSを使って、より賢い電力サービスを選ぶことも出来ます。これからはHEMSを搭載するスマートハウスが主流になっていくはずです。

ビルダーでも太陽光発電の搭載率はますます高まっていますが、HEMSの導入比率はあまり高くはないというのが実情です。ただし、タマホームは標準搭載、また、ビルダーでは桧家住宅はほぼ100%に搭載しています。

また、矢野経済研究所が発表した「定置用蓄電池(ESS)市場に関する調査結果 2015 」では、2020年の定置用蓄電池(ESS)国内市場規模(メーカー出荷容量ベース)は、2017年比で276.5%の330万6,600kWh になると予測されています。

設置先・需要分野別では住宅用が引き続き高い比率を占め、66.0%の比率になると予測されています。つまり、2020年までにはすさまじい勢いでの販売合戦が繰り広げられると予測されているといっても過言ではありません。

この根拠の一つとしては米テスラモータースが開発した蓄電池があります。なんと「10kWh」モデルで約42万円、7kWhモデルに至っては約36万円と現在市場に出回っている蓄電池の1/3程度の値段となっています。

テスラモータースの「Powerwall」は現状で38000台以上の予約があり、9月30日に発表された新型のSUV「モデルX」では電気自動車としては驚異的な450kmを超える航続距離を誇っています。
残念ながら「モデルX」の日本での発売は現状では未定となっていますが、テスラモータースが果たした安価で高出力な蓄電池への希望はZEH普及のカギとなっています。

なかなか紙面では全てを伝える事が難しい「スマサポ」ですが、スマートハウス対応住宅を手軽に導入しやすいコストで組立てる事が出来て、大手メーカーに対抗した「スマートハウス対応」も提案が出来るようになります。

そのほか、今はHEMSとしてスマサポを導入しておき、蓄電池の普及や助成金が出た時に「OB営業」を行うための下地作り、太陽光を導入して10年が経過し買い取り制度が終了しそうな顧客へのプラスα営業といった戦略商品になりえるモノかと思います。

詳しいご説明は弊社営業担当にご相談下さい。
メーカー担当と同行にて詳しいご説明にお伺いします。

■平成27年9月度の熊本主要銀行の金利

詳しくは各行にお尋ねください。
■現住居以外に所有・賃借している住宅が増加(国土交通省)

国土交通省は2013年住生活総合調査の確報集計結果を公表しました。

現住居以外に所有・賃借している住宅がある世帯の割合は、2008年の6.6%から9.2%と2.6ポイント増加となっていて、その内訳は

「子、親族などが住んでいる」が36.1%
「空き家(物置などを含む)になっている」が23.0%
「借家として賃貸している」が17.3%

なっていました。 「空き家になっている」住宅の建築時期は、1980年以前の割合が全体の約2/3(68.9%)を占めました。そのうち、腐朽・破損していない空き家の割合は44.4%となっています。