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シンエイ通信【令和6年8月1日作成 176号】

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シンエイ通信【令和6年8月1日作成 176号】

 

◇九州木材商況 

九州・沖縄8県の5月の新設住宅着工戸数は合計6800戸で前年同月比9.8%減と減少した。

持ち家は福岡を除く全県で前年同月より減少しており、戸建て住宅の需要低迷が続いている。特に南九州では戸建て住宅の着工が少ない。プレカット工場関係者からは来年は住宅需要がさらに減少するのではないかとの予想も聞かれた。住宅会社、プレカット工場、製材メーカー、市場の苦戦はしばらく続く見通しだ。

製品価格は、ほぼ変わっておらず下げ止まっている。ただ、物流の2024年問題による運賃の上昇分の価格転嫁は浸透しずらい状況だ。市況が冷え込むなか取引先は値上げを受け入れることは難しいという。例年より製品の販売量が3割~4割減少している製材メーカーもある。需要が上向きになる要素がほぼなく、先行きが不安視されている。

一方、非住宅は比較的に好調。他業種大手工場が進出する地域では2✕4工法のアパートの建設が進められているという。そのため非住宅向けの加工割合が増えているプレカット工場も複数ある。

梅雨時期に入り入り出材量は減少しているため原木価格は下げどまったが、製材向けを中心に引き合いが弱い状況が続いている

【国産構造材】

依然需要は低迷

新築住宅向けの荷動きが振るわないことから、杉、桧ともに製品の引き合いは落ち着いている。

リフォーム向けは比較的好調で、在庫を多く抱えることで素早い納品を可能にするなどの工夫で取引先が増加し仕事量が増えている販売店もある。製品価格はさげどまっているものの取引先に値上げを通すことは難しく、今後しばらく横ばいから弱含みで推移するとみられている。市場では当用買い中心で、引き合いは弱い。

【国産羽柄材】

リフォーム向け好調

羽柄材は構造材と比べると比較的荷動きが良いが、例年よりは動きが悪いなか運賃分の価格転嫁が受け入れられず製品価格は横ばい。マンションやアパートなどの非住宅向けとリフォーム向けで住宅向けの不振を補っているものの、住宅向けの動きが上向く要素は少なくメーカーは先行きを不安視している。

製品価格は下がってきている。KD材B品の価格が下がってきているためグリン材の引き合いは特に低迷している。

【外材】

尺上材に不足感

欧州材構造用集成材、羽柄材の輸入製品は遅れ遅れの入荷が続き、プレカット工場、流通業者は国内メーカー製品と合わせ必要な在庫量を持つ。一方で出荷ペースは上がらず、新規発注は抑えられている。価格は梁材の長物や尺上材に不足感があり、西日本のメーカーが値上げを実施していることから強保合。

また、これまで価格を維持してきた国内挽き米松平角も円安などコスト高から値上がりしている。買い方は前月中に一定量を発注したところも多い。現状価格は強基庁が予想される。

【集成材】

住宅着工戸数の低迷が長引くなか、構造用集成材の需要も盛り上がりに欠ける状態が続いている。一方、4月以降、輸入完製品の入荷は増加傾向で需給バランスは緩和している。そのため値動きも5月以降横ばいで推移していたが、高値ラミナの入港が来月に迫るなか、コスト転嫁が待ったなしの状況となった国内集成材メーカーは、7月~8月にかけて一斉に値上げに動き出した。同じタイミングで国産米松ムク平角の値上げが打ち出されたこともあり、競合するRウッド集成平角の値上げは比較的浸透が早い様子。一方、Wウッド集成管柱との価格差が既に1万円程度開いているため、需要減少への懸念がら値上げに慎重な様子もうかがえる。

6月後半から始まった欧州産地との第3・四半期交渉は、6月中は方向性がまとまらず、7月に持ち越しとなった。例年であれば秋需に向けて仕入れのタイミングだが、今年は先行きの不透明感が強く、日本側の買い気は当初から低かった。さらに、産地側が値上がりした前回の価格帯を維持したい意向を示すなか、1ユーロが170円台に突入したことで、輸入コストのさらなる上昇を懸念した日本側は買い控えの姿勢を強めている。今週末から来週末にかけて大勢はまとまる見通しだが、7月積みはほぼスキップとなるため、今秋の入荷は低水準となる可能性が高まってきた。

【合板・建材】

低調な荷動き続く

住宅需要に回復感が出ておらず、針葉樹構造用合板の荷動きは低調なまま。非住宅向けは比較的堅調だが、厚物への引き合いも強くない。プレカット工場や流通業者は先行きも厳しい需要動向を見込んでおり、当用買いの姿勢だ。価格は他地域に比べれば弱保合。他地域のメーカーが値上げを進めるなか、九州内価格との根差が縮小し、買い方は落ち着いて必要量を手当てしている。

輸入型枠用合板の荷動きも停滞しているが、産地価格や船運賃の上昇、円安が続いていることなどから先行観がある。ただ、それによる赤外は見られない。フローリングは非住宅、リフォーム向けなどが比較的堅調。

◇下請法改正へ議論開始「買いたたき」規制で価格転嫁促す

芸能界からGAFAまで監視する「公正取引委員会」、どんなパワーを持っているのか

公正取引委員会と中小企業庁は7月22日、下請法の改正を検討する有識者会議(座長・神田秀樹東大名誉教授)の初会合を開いた。中小・零細企業を中心に、適正な価格転嫁がしやすい取引環境を整え、賃上げを後押しする。高騰が続く原材料費の転嫁について受注企業と協議せず、一方的に価格を据え置く「買いたたき」行為の規制の在り方などを検討する。

下請法の改正は約20年ぶり。優越的な立場を利用した発注企業による代金の減額や、価格の据え置きといった不当な商習慣を見直す。コストの上昇が続く中、円滑な価格転嫁を促し、賃金と物価が共に上昇する好循環の実現を目指す。

会議では、同法での「下請け」という用語について、発注側と受注側の企業の関係が対等ではないとの指摘を踏まえ、適切な表現に見直すことも議論する。

運送業務の委託を巡り、下請法の規制対象に「荷主」を加えるかについても検討。トラック運転手の不足で物流が停滞する「2024年問題」の解消につなげる。このほか、約束手形による支払いで受注企業が手数料などを負担する慣行の是正も論点に挙げた。

◇熊本市空き家のリフォーム工事補助事業

事業概要

空き家は適切に管理しておかないと老朽化が進み、徐々に利活用が困難になってしまいます。そのため、空き家を改修することや既存住宅の購入等をしやすくなるためのリフォーム工事費用に対し補助を行い、空き家が周囲に悪影響を及ぼす管理不全空家等や特定空家等になる前段階での予防へ取り組みます。

補助対象者

子育て世帯※1、若者夫婦世帯※2 が自ら居住するために、
  1 購入または賃貸した、もしくは相続を受けた空き家に対象のリフォーム工事をする場合
 または、
  2 買取再販業者によって対象のリフォーム工事をされた空き家を購入する場合
   ※1 子育て世帯とは、補助金の交付申請時点で、18歳未満の子ども、又は妊娠中の者がいる世帯の方。
   ※2 若者夫婦世帯とは、補助金の交付申請時点で、一方が39歳以下である夫婦を含む世帯の方。
対象工事
1 エコ工事
(1)断熱改修工事
(2)エコ住宅設備設置工事
2 子育て対応改修工事(エコ工事を行った場合に限る)
(1)家事負担軽減設備
(2)防犯性の向上に資する窓・ドア等
(3)生活騒音への配慮に資する窓・ドア等
(4)キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事
対象住宅
熊本市内に所在する空き家(居住その他の使用がなされていない住宅)で、
  1 昭和56年(1981年)6月1日以降着工住宅 または、
  2 耐震基準を満たした住宅
補助金額
最大 40万円
募集戸数
令和6年度(2024年度)の募集戸数は50戸まで
◇最低賃金、1050円台半ばで協議

2024年度の最低賃金改定に向け、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は24日、引き上げ額の「目安」について協議を再開した。最低賃金を全国平均で時給1050円台半ばとする方向で最終調整しており、同日中の決着を目指す。前年度の改定で最低賃金は43円引き上げられ、現在1004円。50円程度の増額が実現すれば、引き上げ幅は過去最大となる。

連合はこれまでの協議で、物価高や24年春闘での高水準の賃上げ状況を背景に、前年度を上回る引き上げを要求してきた。23日の協議では有識者の公益委員が大幅な引き上げ額を提示したもようだ。経営者側は、近年の最低賃金の上昇ペース加速が中小企業の経営に重しとなっているとの立場で、主張になお隔たりがあり、調整を急ぐ。

最低賃金は、雇い主が従業員に支払う最低限の時給で、法的拘束力がある。労使の代表と有識者で構成する審議会が都道府県をA~Cの3ランクに分けて引き上げの「目安」額を提示する。これを参考に、各都道府県で実際の引き上げ額が決定され、10月以降に適用される。

◇国産材構造用集成材の時代が到来 最大手製材会社が量産工場建設

ヒノキを主力とした国産材構造用製材、構造用集成材、CLT製造大手のサイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市、砂田和之代表取締役)は日本製紙釧路工場跡地を借り受け、中部電力との合弁で北海道産トドマツを主体とした集成管柱等の国産材構造用集成材、2×4工法用製材等の大型工場を建設する。2024年10月の予定で合弁新会社「釧路ウッドプロダクツ」(仮称、砂田和之代表取締役)を設立、27年4月の製材工場稼働を目指す。

新会社は資本金12億5000万円(予定)、出資比率はサイプレス・スナダヤ80%、中部電力20%。新工場は原木皮むき機、原木径級選別機、チッパーキャンター製材機械、木材人工乾燥機、集成材製造ライン、ペレット製造機械などで、設備投資額は200億円(予定)。原木消費量は操業1年目約10万立方メートル、2年目約20万㎥、3年目約36万㎥を計画する。最終的には2シフト年間50万㎥も視野に置く。

後述するように、近年、国産材針葉樹人工林を活用した構造用集成材大型工場投資が相次いでいる。サイプレス・スナダヤの釧路新工場はそのなかでも最大規模と言え、北海道の豊富な針葉樹人工林資源を活用し、欧州製の最新鋭製材・加工機械を導入することで、品質・価格・供給で安定性のある木材製品供給を目指す取り組みだ。

特に北海道産トドマツを主要な原材料とする考え方の背景には、現在、木造軸組住宅等で主力となっているホワイトウッド集成管柱やレッドパイン集成平角等の欧州産針葉樹人工林を原材料とした内外産構造用集成材に代替する国産材針葉樹構造用集成材を強く意識している。「先行する杉集成管柱等の構造用集成材量産に続くものとして、輸入材から国産材への移行を目指す構造用集成材の第二極を目指す」(砂田社長)と語る。

同社では工場稼働後、まず北海道産トドマツ等を原材料とした集成管柱及び枠組壁工法構造用製材(2×4製材)の量産から開始し、次の段階では中・大断面構造用集成材、CLTについても検討していきたいとする。また、現在の拠点である東予インダストリアルパーク(愛媛県西条市)と釧路新工場の連携(例えばラミナを釧路工場で製材して構造用集成材等を東予インダストリアルパークで製造する等)も今後、検討課題になろうとのことだ。

このプロジェクトは日本製紙釧路工場閉鎖後の地元雇用面にも少なからず影響を及ぼすことから、地元の釧路市も積極的にサイプレス・スナダヤの新工場誘致に動いた経緯がある。同社の北海道進出計画は釧路市としても実現したいプロジェクトとして早くから同社に対しコンタクトを行ってきたという。1シフトで80~90人の新規雇用を見込む。釧路事業の業容拡大とともに直接雇用、間接雇用はさらに増加してくる。

サイプレス・スナダヤは23年2月、スーパーゼネコンの一角である大林組(東京都港区)から資本提携提案を受け、大林組が同社の筆頭株主となった。かねてスーパーゼネコンが木材産業と資本提携するケースはほとんど例がない。

 

◇チャネルオリジナル、屋久島地杉フローリングに高コスパなユニタイプ

チャネルオリジナル(横浜市)は、リラックスやダニ繁殖抑制の効果が高い「屋久島地杉シリーズ」のフローリングに、新たにユニタイプ(節あり)を追加した。

ユニタイプは、屋久島地杉のはっきりとした濃淡とダイナミックな木目をグラデーションで表現した意匠性、エコロジー性、コストパフォーマンスが特徴。
無塗装・クリアオイル塗装・春風ウクレレ塗装の3種類。
厚み15×巾90×長さ1820mm。