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シンエイ通信【令和6年7月1日作成 175号】
シンエイ通信【令和6年7月1日作成 175号】
◇九州木材商況
九州・沖縄8県の4月新設住宅着工戸数は、合計8226戸で前年同月比3.7%増と若干増に転じた。福岡県や南九州は前年より着工が伸びたが、持ち家はどの地域でも減少し、戸建て住宅の需要低迷が続く。
プレカット工場、製材メーカー、市場、住宅会社では苦戦を強いられている。製品価格はほぼ変わらないが6月・7月もプレカット工場の仕事量は少なく、市況の冷え込みがしばらく続くとの見通しだ。
販売店やプレカット工場では、受注に苦戦する地場工務店をサポートする取り組みを進めている。福岡県朝倉地域や鹿児島県出水地域では、複数の地場工務店が売却型住宅展示場の建設と運営に向けて事業を展開。朝倉は2期目で、1期目は来場者数が多く、参加した工務店は住宅の受注を伸ばした。
注文住宅需要が低迷するなか、長崎県のプレカット業者は地場工務店向けに企画型住宅プランの提供を始めた。
徐々に値を下げた原木は下げ止まったが、製材メーカーでは採算性の低下が続く。製品は正角を中心に引き合いが弱いうえに、夏前までは需要が回復する要因がほぼないことから、低迷が続く見通しだ。
【国産構造材】
安値での販売も
杉・檜製品はともに需要が低迷し、メーカーでは残業なしでの稼働や減産が続く。メーカーからの要請を受け、価格を維持して販売している製品市場が多いなか、安値で販売しているケースもあり、今後の製品価格の下落が懸念される。
流通関係者は「プレカット工場、市場、メーカーにとって厳しい一年になる。倒産するところも出そうで心配だ」と話す。
市場では当用買いが中心で、特に正角の引き合いが弱い。
【国産羽柄材】
値上げ浸透は不透明
羽柄材は構造材と比べ荷動きは良いが、製品市場では当用買いが中心だ。
マンションやアパート向けで杉小割に多少の引き合いはあるものの、戸建て住宅向けの需要が乏しく、回復する見込みも立たないため、先行きについては不安視されている。6月から値上げするメーカーもあるが、値上げがどこまで浸透するかは不透明。
製品価格は、杉KD材B品との価格差が縮まっている杉グリン材は、需要が低調だ。
【外材】
米松引き合い回復
住宅需要に回復感が見られず、横架材への引き合いも全般に低調。ただコスト面からRウッド集成平角などに値上げ唱えが出ていることから、価格を維持している米松国内挽きKD平角やハイブリッド集成材への引き合いが戻ってきた。
ラミナを含む欧州材の入荷見通しを立てるのが難しいため、今後は梁材の長物や尺上材に不足感が出てくることが見込まれる。プレカット工場や流通業者では米松集成平角での代替を検討している。
【集成材】
構造用集成材の荷動きは、4月に上向いた後、大型連休明けから再び一服し、6月も盛り上がりに欠ける状態が続いている。昨年の同時期に比べ国内集成材メーカーの稼働状況は悪くはない。だが、上昇する生産コストを製品価格に転嫁できるほどの勢いがない事を、国内集成材メーカーは懸念する。今夏には、産地価格の上昇と記録的な円安の影響で、仕入れコストが大幅に上昇したラミナが入荷してくる。メーカーはこれに備えて、値上げを急ぐ姿勢を示しているが、需要の追い風がないなかで、5、6月は値上げが足ふみ状態となっている。
国内生産品への引き合いが鈍っている背景には、住宅着工数が低迷し、構造材の需要が落ち込んでいることが挙げられる。さらに、4、5月の輸入完製品の入荷量が想定以上に増加し、市中在庫が充足したことも関係している。
4、5月に入荷した輸入完製品は、2、3月の入荷予定だった。しかし紅海航路回避に伴い、公開日数が伸びて日本への到着が遅れ、4、5月にまとまって入荷することとなった。その結果、集成材の需給全体が緩和し、国内生産品の新規手当ては当用買いとなっている。ただ、3月に起こったフィンランドの港湾ストライキの影響で、6月の入港はフィンランド分が減る見通しで、需給バランスがさらに緩む可能性は低いとみられている。
【合板・建材】
荷動き当用買い中心
針葉樹構造用合板は当用買いが中心の荷動きで、価格も他地域に比べ居所高だが、横ばいで推移。九州以外の合板メーカーが4月以降、相次いで値上げを打ち出したため、域外からの値下がり懸念が薄れ、買い方は落ち着いた手当て姿勢に。プレカット工場の稼働率は回復が遅れ、在庫補充を急いでいない。非住宅向けを含めた厚物合板も12mm厚と同様の荷動き。
公共事業も多くなく、輸入枠用合板への引き合いは弱い。港頭在庫も適正水準だ。ただ今後は、産地価格が上がっているうえに円安傾向も続いており、先高観が強い。
内装材も戸建て住宅向けの出荷は低調。用途が多様で、供給メーカーが少なくなった焼き杉板などは堅調。
◇長期優良住宅、累計159万戸に 既存は年間70戸認定
国土交通省が6月19日発表した長期優良住宅の認定状況によると、2023年度は新築の「戸建て住宅」が11万1262戸、「共同住宅」が4813戸、合計11万6075戸を認定した。新設住宅着工戸数に対する総戸数の割合は14,5%で、前年の13,7%から0.8ポイント増加した。これにより2009年からの累計は159万648戸となった。
新築戸建て(都道府県別)で最も多かったのは、「愛知県」の17万3204戸。次いで「東京都」6988戸、「埼玉県」6729戸、「静岡県」6464戸、「大阪府」5968戸の順。大都市圏とその郊外で認定数が多かった。新築の共同住宅では、「神奈川県」1205戸、「東京都」783戸、「島根県」474戸、「兵庫県」400戸、「埼玉県」227戸が上位となった。
増築・改築は、戸建て住宅169戸、共同住宅7戸の合計176戸。09年からの累計は1762戸となった。戸建て住宅が最も多かったのは、「北海道」の59戸。次いで「新潟県」24戸の順。22年10月1日から始まった既存住宅は「戸建て住宅」が69戸、「共同住宅」が1戸の計70戸。前年度から44戸増え、累計は96戸となった。
認定制度の概要については、国土交通省の「長期優良住宅のページ」に掲載。同制度について解説したパンフレット(新築版、増築・改築版、既存版、新築・木造軸組版、分譲マンション版)も入手できる。いずれのタイプも住宅ローン(フラット35)の金利引き下げ、税の特例措置などの特典が得られる。
◇HBWの性能を見える化 繰り返し地震に強さ
ノダは、構造用MDF「HBWハイベストウッドの性能を「見える化」している。
木造住宅倒壊解析ソフトウェア「wallstat(ウォールスタット)」を用いHBWを採用した建築物の地震動による損傷状況や倒壊をアニメーションで表示するもので、HBWの性能を視覚的に捉えることができる。
HBWは、高耐水・高耐久のMDFで、壁倍率は真壁で最大4.0倍、大壁で最大4.3倍
他の耐力面材と比べると透湿抵抗値が低いことが特徴で、壁内の湿気を排出し内部結露を防ぎ、躯体など木材の腐れやカビなどによる住宅の劣化を防止する。
また、腐朽菌に侵されにくく、シロアリによる食害が少なく、優れた透湿性能とともに、住宅の耐久性を確保することができる。こうした素材の高い性能とともに、他の面材に比べ釘の保持力が圧倒的に高いため、繰り返しの地震に強いという性能が近年特に関心を集めている。
2016年には熊本地震で実際に被災した住宅の外壁を剥がして内部検証した結果、ホールダウン金物、釘、Ⅼ金物の緩み・破損はなく、面材の割れやひずみもない事を実証している。
同社は、ウォールスタッド
の解析を用いた倒壊シミュレーションで、HBWの優れた性能が視覚的に確認できることから、同ソフトを用いた差別化提案を顧客に提案する取り組みを始めた。
5月には同ソフトを負傷提供する耐震性能見える化協会と共催で5回にわたるセミナーを開催し、合わせて約500人が参加。
実際に倒壊シミュレーションを見たセミナー参加者からは「同じ壁倍率の面材でも大きな違いがあることを知った」など驚きの声が聞かれ、部材選定により倒壊の仕方が異なることを訴求した。
同社は、2025年の省エネ基準適合義務化により、ZEHなど建物重量が増加するなか、耐震性能がこれまで以上に重要になってくると捉えている。
このなか、性能の見える化は住宅の耐震性の重要性を伝える取り組みでもあり、HBWの性能見える化を通じ、住宅の耐震性能の向上にも貢献していきたい考えだ。
◇ダイナミックファスナー
高性能でローコストな地震対策なら、制震デバイス(筋かい金物)「ダイナミックファスナー®」におまかせください。
高品質&高耐久で揺れ幅を95%以上軽減する制震デバイスで、震度7クラスの地震にも対応します。
高いエネルギー吸収性能を持つ高減衰ゴムを金属本体と立体化したブリッジ内部に充填することでゴムの粘性減衰により震度4までのエネルギーを吸収します。そして、8本のブリッジが履歴減衰により震度5以上の地震エネルギーをさらに吸収するため、振れ幅95%以上を実現しました。
「制震ダンパーはコストが高く導入が難しい…」という工務店様のお悩みをダイナミックファスナー®は解決できます。
特殊な技能や工法を必要としないため、従来工法と変わりなく設置でき、卓越したコストパフォーマンスを実現しました。
さらに他社製品の制震装置は2階への設置が難しいケースが多いですが、ダイナミックファスナー®はかんたんに設置できるため、3階建て住宅にも対応可能!1階のみの設置でも高い制震効果を発揮しますが、コストに合わせて設置個数が自由に選べるのも安価な制震化を実現できる理由です。
いつ発生するかわからない大地震に安心できる家づくりを実現するために、ダイナミックファスナー®のビス1本、ゴムすべてにこだわり、高品質・高安定性を確保しました。
高減衰ゴムはビル用免震で使用されているものと同じゴムを使用しており、促進劣化などの高耐性実験を行いビル用免震と同じ60年間の耐久性を確認しています。
ビスもすべてZマーク付きの日本製にこだわり、金属部分はすべてゴムで覆うため、腐食も防ぎメンテナンスフリーで、家を建てた後も安心が続きます。