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シンエイ通信【令和5年8月1日作成 164号】

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シンエイ通信【令和5年8月1日作成 164号】

 

◇九州木材商況 

九州・沖縄8県の5月の新設着工戸数は合計7548戸で、前年同月比8.5%減となる。

持ち家は8県とも減少しており、注文住宅の受注が減少しているため分譲住宅の販売に力を入れる工務店も増加している。

プレカット工場は落ち着いた稼働を続けている。九州南部にも大手プレカット工場が進出し、活発な営業活動を進めている。そのため価格競争は強まっており、中小プレカット工場は差別化を模索している。

住宅価格の高騰が影響し中古住宅を購入しリフォームする動きが増えていることにより、リフォーム需要が増加している。九州南部の販売店では建材を中心に売れ行きが好調で、木材販売は昨年より減少傾向にあるが全体の売り上げを押し上げている。

6月下旬以降、特に九州北部の大分県日田地域や福岡県朝倉地域などで線状降水帯による豪雨の影響を大きく受けており、河川洪水も複数起きている。そのため原木市場では7月に入り出材量が減少している。原木市場関係者は今後丸太価格が上昇する可能性もあると指摘しつつ、製品の荷動きは依然として鈍いため大きな価格変動にはならない模様。

【国産構造材】

全体的に荷動きは低調だ。杉集成管柱とのシェア競合もある杉KD柱は特に値下がりしている。

九州南部はもともと杉ムク材を使う住宅が多いため集成材、外材の値下がりの影響は少ないが、九州北部では杉集成管柱や米松KD平角に切り替える住宅メーカーもある。

製品市場でも当用買いが中心だ。9月以降少しでも秋需要は上向くという見方がある一方で、流通業者への問い合わせは増えていない。九州北部の製品市場で杉KD柱、杉KD母屋、杉KD平角、桧KD柱・桧KD土台などが買われている。

【国産羽柄材】

製品の引き合いは全体的に弱く、値下がり傾向は続いている。製材メーカーや販売店には多くの値下げ交渉がある。

製材メーカーや販売店には多くの値下げ交渉がある。構造材に比べると荷動きはあるが、当用買いが中心のため9月までは今後も荷動きが上向くことは厳しいという見方が強い。

鹿児島県では九州の他地域と比べ高値を維持しており、杉KD間柱と杉KD小割などが買われている。

九州南部でもKD率は年々増加しており、注入材の需要も増加している。九州北部の製品市場では同間柱、同小割とも買われている。

【外材】

米松国内挽き製品は前月比横ばいとなっている。KD平角、同小割とも横ばいで取引される。ただ同KD小割などは一部の製品市場では相場以上の価格での取引もみられる。

米松平角製品は杉材と同等かそれよりも安値水準。一部では同罪からの代替需要もつかんでいる状況だ。小割は九州では杉材の市場となる。米松製品やwウッド製品は九州北部の一部での採用にとどまる。

【集成材】

7月は例年盆前上棟に向けた需要の小山がみられる。今年は実需に例年ほどの盛り上がりは出ていないが、構造用集成材の引き合いは、6月に比べて若干上向きの手応えが聞かれるようになってきた。例年に比べて少ない状態に変わりはなく、国内メーカーが減産体制を解くほどの勢いはないが、4~6月の荷動きが年初の想定より低調だったとの実感が多く、その不振からようやく脱し始めたとの期待感は強い。

ただ、実需が目立って増えているわけではないため、構造用集成材については輸入完製品の入荷量が減少している分、国内の市中在庫や国内メーカー品への当用買いが伸びただけとの見方もある。輸入完製品の国内在庫は着実に減少しているようだ。

引き合いが若干上向いたとはいえ、底値を固めるだけの勢いはなく、7月も下値がやや広がるなど底値が固まりきらない状況が続いている。

上値は6月からほぼ横ばいの品目もあり、地合いは固まりつつあるが、昨夏から始まった下げ相場と減産が丸一年続く中で、下値がでやすい雰囲気は変わらない。秋需の見通しもまだ不透明な状態で、6月下旬から動き出した欧州産地との第3・四半期交渉は、日本側が判断材料を欠く中で決めきれず、約1か月光津役状態が続いている。欧州産地は夏休みに入ったこともあり、7月積みは大半がスキップとなる可能性が高まってきた。

【合板・建材】

合板の引き合いは落ち着いており、針葉樹構造用合板の価格は弱含んでいる。なかにはリフォーム需要増により24ミリの売行きが好調な販売店もある。九州内のメーカーは顧客の注文量に合わせた生産調整を続けており、今後も無理に増産することなく需要に合わせて生産する方針だ。

輸入型枠用合板は現地価格が下がっているが、九州では横ばい。国産材を使用する九州内のメーカーは工場を増設し、新枠材ラインを設置した。新型NCルーターを増設したことで、作業効率とともに非住宅向けを中心とした幅広い加工が可能となった。

◇地方公共団体や民間業者、専門家が連携した空き家対策

国土交通省は7月、本年度の「空き家対策モデル事業」に応募があった150件の提案の中から、110件のモデル的な取り組みを採択した。同事業は全国の空き家対策を一層加速化させるための、地方公共団体や民間事業者、専門家等が連携した取り組みを支援するもの。本年度は①ソフト提案部門と、②ハード提案部門――を設定したが、②での採択は無かった。

また、募集にあたって①ソフト提案部門は

【テーマ1】空き家に関する相談対応の充実や空き家の発生抑制に資する官民連携体制の構築等

【テーマ2】空き家の活用等に資するスタートアップなど新たなビジネスモデルの構築等

【テーマ3】新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用等

3つのテーマを設定。テーマ1には56件の応募があり、44件採択。テーマ2は49件の応募から32件採択。テーマ3は45件の応募から34件を採択した。

採択事業としては▽テーマ1:庁内データを元に機械学習で再入居状況を定量化・予測し、自治体が流通可能性の高い空き家の把握を可能とするウェブアプリを開発し、これを用いて空き家所有者向け相談セミナーの開催地域を選定するなど、官民連携体制を構築する(マイクロベース)
▽テーマ2:空き家所有者、相談者、自治体担当職員による空き家への行動判断(活用するのか、除却するのか等)を支援するアプリを開発し、活用提案サービス等との連携や自治体等への普及展開を図る(E.N.N)
▽テーマ3:移住者/多拠点居住者のライフスタイルにあった居住物件を増やすことを目的に、地域の空き家を地元不動産事業者を中心にリノベーションし販売する事業を、不動産特定共同事業(FTK)によるファンドを用いて行うことで加速させ、新たな地域人口を増やす(エンジョイワークス)――などが提案された。

◇地元建設業の意識調査で景気「悪い」傾向やや弱まる

北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証は7月、「建設業景況調査」の2023年度第1回(2023年4~6月実績、7~9月見通し)を公表した。

景気等に関する建設業者の意識調査の結果を数値化したB.S.I.値について、地元建設業界の景気はマイナス9.0となり、前期比で2.5ポイントマイナス幅が縮小。

景気が「悪い」傾向がやや弱まっている。受注総額のB.S.I.値はマイナス9.0。前期比で2.0ポイントマイナス幅が縮小したものの、「減少」傾向が続いている。

そのほか、資金繰りは厳しい傾向に転じているが、銀行等貸出傾向は容易傾向が続いている。

資材は調達が困難傾向がやや弱まっているが、価格は上昇傾向が続いている。建設労働者の賃金は上昇傾向がやや強まっている。収益は減少傾向が続いている。

減少の理由としては、完成工事高の減少が79.7%で最も多く、資材価格の上昇56.5%、人件費の上昇35.7%と続く。

経営上の問題点としては人手不足が最も多く挙がり68.6%。次いで従業員の高齢化(52.7%)、受注の減少(40.3%)の順となっている。

来期の見通しは、▽地元建設業界の景気:悪い傾向がやや強まる、▽受注:減少傾向が強まる、▽資金繰り:厳しい傾向が続く、▽銀行等貸出傾向:容易傾向が続く、▽資材価格:上昇傾向がやや弱まる、▽建設労働者の賃金:上昇傾向がやや弱まる、▽収益:減少傾向が続く――となった。

調査は、保証事業会社と取引関係にある建設企業の中から、地区別、業種別、規模別の分布状況を考慮した2,509社を対象に実施。2,264社から回答を得た(有効回答率90.2%)。

◇太陽光・蓄電池の効果試算に営業担当の7割「苦手意識あり」

太陽光・蓄電池の経済効果診断「エネがえる」を提供する国際航業(東京都新宿区)が行った「住宅用太陽光・蓄電池販売に関する実態調査」で、太陽光・蓄電池販売を行なっている企業の営業担当者の約7割が太陽光・蓄電池導入後の経済効果の試算に「苦手意識あり」と回答していることがわかった。

太陽光・蓄電池導入後の経済効果の試算について苦手意識があるか質問したところ、「かなりある(17.6%)」「ややある(50.0%)」と答え、67.6%が「苦手意識」を持っていた。根拠や信憑性を持って算出できていると回答した人は、「かなりできている」が13.9%、「ややできている」が48.1%。電気料金の高騰を受け、太陽光・蓄電池の導入に関心が高まっている一方で、対応する営業担当者が自信をもって太陽光・蓄電池を提案できていないケースが少なくないことが明らかとなった。

太陽光・蓄電池の問い合わせや商談時、どのような課題を感じているかの質問には、「電気代の計算や効果の試算が難しく施主に突っ込まれるのが不安(39.8%)」が最多となったほか、「経済効果の試算に手間・時間がかかる(37.0%)」、「メーカーや商社にシミュレーションを依頼しても時間がかかる(34.3%)」なども課題となっていることがわかった。ほかにも「説明内容について施主が理解できているか不安(20.4%)」「施主の不安を解消しきれていない(15.7%)」といった課題も挙がった。

◇中川政七商店×カリモク、座イスとちゃぶ台を開発

中川政七商店(奈良市)は、折りたたみ式の座イスとちゃぶ台をカリモク家具(愛知県知多郡)と共同開発し、オンラインショップおよび一部直営店で発売した。

今回商品化したのは、「座椅子 supported by karimoku」と「盆ちゃぶ台 supported by karimoku」。

日本人の身体感覚に着目し、佇まいと使い心地にこだわった。

座イスには国産ナラ材を使用。背もたれのカーブに曲げ木の技術を使い、腰と背中を適度に支え、“姿勢よく”くつろげるデザインとした。2色。7万7000円。

ちゃぶ台は天板を取り外してお盆としても使用できるミニサイズで、素材はクリ。和洋どちらにも馴染む実用性を備えたデザインとした。2色。3万8500円。

また、座椅子とあわせて使用できる座布団3種も発売した。