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シンエイ通信【令和4年12月1日作成 156号】
シンエイ通信【令和4年12月1日作成 156号】
◇九州木材商況 着工は前年比6%減
九州・沖縄8県の9月の新設着工戸数は合計8,086戸減となった。プレカット工場も昨年より低調な稼働が続く。ただ、7月以降順調に受注出来ている地場工務店もある。製材メーカーや販売店、製品市場関係者からは例年のような秋需の雰囲気はないが、10月以降製品の荷動きが上向きになったとの声も複数聞かれた。ウッドショックで昨年は停滞していた非住宅向けの販売が好調なことも影響している。
9月中旬の台風14号の影響で宮崎県の一部地域や熊本県人吉地域では出材量が減少し、4メートル中目材を中心に原木価格が急騰している。
現在は落ち着いてきているが、周辺の製材メーカーでは集荷がしづらく原木在庫が少なくなっている。
直接的な台風の影響を受けなかった地域でも原木価格が高止まりしたため、一部の製材メーカーからは製品価格の維持につながったとの声も聞かれたが、ほとんどのメーカーでは製品の値下がりが続いており、在庫も徐々に増えてきているため、これ以上下がると採算がとりづらくなるという。製材メーカー関係者は「杉丸太の価格がもう少し下がって欲しい」と話す。
【国産構造材】
製材メーカーや販売店の販売価格は徐々に下がっている。丸太価格は高値で電気代などのコストも上昇しているため、採算を懸念する製材メーカーも多い。製品市場は価格を維持しているが、桧製品は特に引き合いが弱い。杉グリン柱は安定した価格で買われている。
製品市場関係者はしばらく価格はかわらないと見ているが、九州北部の販売店関係者は今後も値下がりすると見ており、見方は様々のようだ。
【国産羽柄材】
プレカット工場は在庫を抱えており、販売価格は下がってきている。ただ10月以降、受注が上向きになっている販売店も多い。
九州南部の販売店は10月の受注が前年同月より好調だった。一方、九州南部の量産メーカー担当者は「販売価格は8月以降下がり始めた。現状を維持したい」と話す。製品市場では杉KD間柱は特に引き合いが強い。
【外材】
米松材メーカーが10月に値下げを打ち出した国内挽き米松材は、先月比横ばいで推移している。
米松KD小割材・米松平角・米松グリン材いずれも、杉材より価格水準は高い。平角ではRW集成平角価格が依然として弱基調だ。同材や米松材の需要に切り込もうと杉KD材メーカーも提案を強化している。小割類や間柱は九州では量産工場を筆頭に安定した供給量があり、Wウッド材などの需要は九州北部地域に限られる。
アメリカ、ウェアーハウザーの労働組合のストライキが10月28日に終了した。これにより組合所属の従業員が職場に復帰し、停止していた事業活動は再開した。ウェアーハウザーはストライキ中も請負業者による自社林の伐採や買材によって丸太を集荷し、公共岸壁を活用して船積も行ってきた。このため、ストライキ中も丸太の供給は途絶えなかったが、従来通りの供給はできず、ストライキがもう少し長引けば国内挽き製材工場の操業に影響が出る可能性があったという。46日間のブランクを経て直ちに通常の伐採ができるかどうかは不明だが、大手製材工場向けの11月積みの丸太価格は30㌦程安いとのこと。為替が1ドル=115円から146円まで円安に進んでおり、輸入コストは依然5,000円以上高い状況。
【集成材】
本来ならば1年で最も荷動きが活発になる時期だが、今年は引き合いが低調との声が多い。9月以降徐々に需要が上向いているとの手応えが聞かれる一方、10月は多少回復したが11月は再び鈍くなってきたとの声もある。地域や集成材メーカーによってばらつきはみられるが、例年より出荷が少ない状況は全国的に共通している。
新設住宅着工数は前年比減、集成材の主力ユーザーである分譲系ビルダーやハウスメーカーは顕著さが伝えられている。にもかかわらず、集成材が盛り上がりに欠ける要因は、プレカット工場などの手持ち在庫が多く仕入れが絞られていることに加え、先安観から当用買いの動きが強まっていることや、 昨年の高騰を背景に集成材から無垢材へシフトした需要が戻らないなどが挙げられている。
集成材入荷量は8月がピークで、9月以降は減少に転じた。しかし、需要が鈍いため関係者の想定以上に在庫消化が遅い。荷余りの状態が長引いている。そのため、引き合いは引き締まらず、Wウッド及びRウッド構造用集成の市況は横ばいとの見通し。
【合板・建材】
合板の引き合いは落ち着いており、販売店は在庫を調整している。九州外消費地より若干安値で取引れされており、国産材、外材ともに前月と比べ価格に変化は無い。国産カラ松の出材量が減少していることで檜の需要が伸びると見ている。九州内建材メーカーは先月行われた展示会で、100%天然植物油を塗布した新商品である杉、桧の床、壁板を紹介した。九州南部の販売店は節ありの杉、桧を用いた無垢の床材や壁材をメーカーから仕入れ工務店に手頃な価格で提案している。
接着剤、来月から一斉値上げ
接着剤メーカーが相次いで来月から値上げを打ち出している。オーシカは来月21日出荷分から工業用・現場施工用接着剤全般などを10%以上値上げする。MGCウッドケムも来月1日納品分からホルマリン系及びホットメルト系接着剤を20~40%値上げする。合板や集成材の生産コストにも影響しそうだ。
◇国交省、子育て世帯のZEH住宅取得支援事業を創設
国土交通省は、ZEHレベルの省エネ性能の住宅の新築や省エネリフォームを支援する新たな補助制度として、「こどもエコすまい支援事業」を創設する。さらに、経済産業省、環境省がそれぞれ創設する住宅の省エネリフォーム等への補助制度と、ワンストップで利用可能とするなど、3省連携で住宅の省エネ化への支援を強化する。
政府が、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を踏まえて11月8日に閣議決定した、2022年度補正予算案に盛り込んだ。各事業の実施は、国会での補正予算の成立が前提。
「こどもエコすまい支援事業」は、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等を支援するもの。子育て・若者夫婦世帯の新築のZEH住宅取得に対して、1戸あたり100万円の補助金を交付する。
また、住宅の省エネ改修(開口部、躯体等)や、併せて行う子育て対応改修、バリアフリー改修等にはリフォーム工事内容に応じて定める額を補助(上限30万円/戸)。子育て・若者夫婦世帯は上限45万円/戸(既存住宅購入は60万円/戸)、安心R住宅購入の場合は上限45万円/戸。
省エネ改修は加えて、高断熱窓(Uw1.9以下等、建材トップランナー制度2030年目標水準値を超えるもの等、一定の基準を満たすもの)への断熱改修工事に対して支援(経産省、環境省)。工事内容に応じて定額(補助率1/2相当等)を補助する。上限200万円/戸。また、一定の基準を満たした高効率給湯器を導入する場合に支援する(経産省)。家庭用燃料電池には15万円、ヒートポンプ・ハイブリッド給湯機は5万円。
◇こどもみらい、11/17時点で交付申請額割合が75%超に
国土交通省は11月18日、「こどもみらい住宅支援事業」の予算に対する補助金申請額(予約を含む)の割合が11月17日時点で75%を超えたと発表した。
補助金申請額が予算上限に達した場合、申請期限前でも予約を含む交付申請の受付は終了し、交付申請および交付申請の予約は提出できなくなる。
事務局では、申請期間の終了後に、予約の有効期限を超過し却下された交付申請の予約については、再提出ができなくなるため、交付申請の予約をした事業者は、予約期限内に交付申請を提出するよう呼び掛けている。
◇子育て家庭1000世帯に調査、新居周辺環境で重視すること
トナリスク(東京都豊島区)は11月15日、子育て家庭1000世帯に実施した「新居の周辺環境で重視すること」ランキングの調査結果を発表した。夫婦間の意見の違いを明らかにするため、男女差ランキングと男女別ランキングでまとめた。新居の周辺環境で重視した点について、男女差がもっとも大きかったのは「近くにスーパーやコンビニがある」の7.9%だった。男女別では、女性が55.7%で1位だったのに対し、男性は47.8%で2位となり、女性が日常の買い物の利便性を重視していることがわかる。
次に男女差が大きかったのは、「自然災害のリスクがない(ハザードマップで警告がでていない)」で、女性(32.6%)が男性(25.5%)よりも7.1%多い。3位は「保育園・学校までの通学路の安全さ」で、男性(37.0%)の方が女性(31.2%)よりも5.7%多くなっている。2位・3位は安全に関することだが、男女で重視する点が若干異なっていることがわかった。
同社は、新居を選ぶ際、購入後の後悔や食い違い等が発生するのを避けるためにも、重視するポイントを夫婦間でよく話し合う必要があるとしている。
◇「透明断熱材」の有償サンプルの提供を開始
ティエムファクトリ(東京都港区)は、注目素材”エアロゲル”による軽量透明断熱材「SUFA」の有償でのサンプル提供を開始した。
エアロゲルは、特殊な分子構造により内部に多くの中空構造を持つ、軽量で透光性と断熱性に優れた素材。同社は世界で唯一、板状のエアロゲルの同一品質での生産が可能だという。
現在は、窓などへの適用を想定した大判透明断熱材の量産に向けた技術開発を行っているとし、今回は「UAP」と呼ぶ社内規格でのサンプルを提供する。
UAPは、一般的なタイルと同等のサイズ。建築分野に馴染みがあるうえ、組み方・並べ方を工夫して意匠的な可能性を探れる余地があるとしてこの規格に行き着いたという。また、エアロゲルは親油性が高く、素手で触れると手の脂を吸って白く濁ってしまい、扱いに注意が必要なため、UAPでは上下を薄膜ガラスで覆い接着加工をほどこしている。
厚10-11、50x100mm。熱伝導率0.016W/(m・K)。U値1.5W/(m2・K)。
サンプル提供には同意書が必要。希望者は、同社HPの問い合わせフォームより「UAPサンプル希望」の旨を添えて必要事項を記入して送信。サンプルの価格や同意書の詳細については後日同社とやりとりして確認する。
◇バルコニー床を人工木デッキに変更、アウトドアリビングに
三協立山 三協アルミ社(富山県高岡市)は、バルコニーの床を人工木デッキ材に変えることでアウトドアリビングを演出する「躯体バルコニーデッキ ひとと木2・ひとと木キュアーズ」を3月1日に発売する。
リビングとつながりのあるくつろぎ空間がつくれる、木質感+耐候・耐久性を両立する人工木デッキシステム。
床板の「ひとと木2」は天然木の風合いを、「ひとと木キュアーズ」は自然な色ムラと浮造り風の質感を再現。板厚は46mmと30mmの2タイプあり、46mmタイプはカラーバリエションが豊富(7色)で、30mmタイプはサッシ下枠までの段差が小さいバルコニー床面にも設置できる。
施工は、支持脚金具をねじ止めしたアルミ形材の根太の上に床板を並べて固定するだけ。2タイプの根太と支持脚金具の組み合わせにより、床高さを最小84mm、最大211mmまで調節可能。参考価格7万6000円~(ひとと木2たて張り、間口1.0間×出幅3尺、高さ100~132mm、税別)。