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シンエイ通信【令和4年11月1日作成 155号】

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シンエイ通信【令和4年11月1日作成 155号】

◇九州木材商況 

九州をけん引する福岡では地価が上昇するなか、ローコスト系を中心とした分譲メーカーが高値で土地を購入する動きが強まっている。

全体として住宅受注は振るわずプレカット関係者から「受注が3割減少している住宅会社もある」との声も聞かれた。

製品価格はメーカーによって様々だが、住宅需要不振に伴い全体として今後も徐々に値下がりすることが懸念されている。

杉構造材集成材の価格を値下げするメーカーがあるうえに、ホワイトウッド間柱が安値で買われていることも影響している。そのため、販売店やプレカット工場は在庫を持たないようにしている。

9月中旬に日本列島を襲った台風14号により、九州南部地域は山林も大きな被害を受けた。出材が減少することを心配する製材メーカーが積極的に手当てしたことで、杉の原木価格が上昇した。熊本県人吉地域で9月末に行われた原木市では、杉柱適寸の価格が桧土台適寸を上回った。ただ、原木高を製品価格に反映させることは難しいとの見方が多い。

製品市場では、製品が売れづらい状況が続いている。製材工場関係者は「記念市が増え製品価格が下がると、採算も厳しくなる」とのこと。

【国産構造材】

製品価格はメーカーで異なるが、全体として徐々に値下がりしている。桧製品の荷動きは杉製品より鈍く、販売店やプレカット工場は在庫を抱えているため、製品市場では札入りがない時もあるなど売りづらい。九州南部の製材メーカーは採算が取れているが、担当者は「杉KDの価格が落ち着いて欲しい。ウッドショック前の価格まで値下がりすると厳しい」との見方。

【国産羽柄材】

ホワイトウッド間柱の居所が下がっているため、杉KD間柱は今後もじりじりと値下がりすると見られている。九州北部の量産工場では、プレカット工場など既存の取引先への販売量が減少しているが生産調整せず、荷余りた分は製品市場への出荷量を増やしている。

【外材】

住宅需要が伸び悩み、国産材及び外材集成材も弱基調で推移していることを受けて、外材国内挽きメーカーは今月からの値下げを打ち出した。

ただ依然、杉KD材よりは高値で取引されている。小割類は九州地域では杉材への依存度が高く、量産工場がおおくを供給している。米松材やホワイトウッドKD材の流通量は北部地域に限られる。

【集成材】

構造材集成の需要は内外産を問わず落ち込んだ状態が続いている。9月より荷動きが出てきたとの声もあるが、過剰に積みあがった在庫が、減ってきたという実感は、港のほかプレカット工場や流通業者、国内集成材メーカーからも聞こえてこない。集成材に限らず、木材全般に荷余り状態あるため、在庫の重みが一層強く感じられているようだ。特に輸入在庫は仕入れコストが高いてめ、輸入量が例年の1.5倍~2倍でも、金額ベースでは同3倍~4倍というケースもあり、在庫の過剰感を強めている。

【合板・建材】

合板メーカーは需要軟化に伴い、前月から生産調整を行っている。ただ、荷動きが回復すれば再度、生産量を引き上げてい行く考えだ。

価格は横ばい。九州外消費地より若干の安値水準となっている。国産材を積極的に活用する外構材メーカーは主力の保存処理製品について、全体の生産量は前期と変わらないものの特注品の受注が好調で売り上げ増に貢献すると予想している。九州北部の家具、造作メーカーでは、ウォールナットやホワイトオークを使った家具材の人気が高い。国産材の取り扱い量も徐々に増やしてきている。

◇CLT CELL UNIT

SAI GROUP HOLDINGS株式会社が薦める。国産CLT材を使用したユニット、日本伝統技術「蝶蟻」で接合した100%木材の箱型ユニット。

 

CLT CELL UNITは2.3×4.6×3 mの箱型の木製のユニットを基本とし、自由に組み合わせて建築を造る新しい建築工法を可能にする構造体です。
接合部分に日本伝統の「蝶蟻」技術を採用することで、100%木材構造を実現。
工場で構造体であるユニットを組み立てプレファブ化することで、現場には最短1日で納めることが可能で、工場から運ばれたユニットを基礎の上に据え置き連結するだけの簡易な工法なので、従来よりも工期を3分の1にまで短縮できることから、災害時の避難施設や医療施設などにも役立つことが期待されています。

CLT CELL UNITの価値・利点

ユニット化、工場生産による利点で短工期を実現

構造体であるユニットは、工場で組み上げられてから現場で運ばれます。運ばれたユニットは基礎の上に据え置き連結されるだけなので、現場へは最短1日で収めることが可能です。そこから内外装の仕上げになりますが、通常の工期と比べても約1/3まで短縮させることが可能になりました。短工期での設置は、緊急災害時の仮設住宅や医療施設などでもそのメリットを大いに発揮できることになります。

木100%でもコンクリートに匹敵する強度

CLTは、ひき板(ラミナ)を並べ、 繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。建築資材として使用されてきた従来の集成材よりも強度が安定し、コンクリートにも匹敵する強度が存在します。変形しにくいため構造躯体として建物を支持することができます。CLT CELL UNITは、そのCLT材の強度を最大まで引き出すための強度実験を繰り返すことで、耐震等級3を実現しました。

単体で使う仮設診療所・小規模店舗など並べて使う災害時の仮設住宅など

重ねて使う店舗・住宅など
他構造と組み合わせて使うオフィスビル・大型商業施設など

構造躯体としても使用可能。自由な発想と組み合わせによる、用途の多様性

CLTは箱型ユニット構造体です。ユニット単体での使用はもちろん、複数のユニットを並べて使う、重ねて使う、他構造と組み合わせて使うなど、発想次第で様々な建築物への利用が可能です。また、CLT材の比重はコンクリートや鉄と比較しても極めて軽いので、中規模以上の地盤補強の負担軽減などにも役立ちます。

◇断熱材の建材トップランナーの目標を5~6%引き上げ

経済産業省・資源エネルギー庁の建築材料等判断基準ワーキンググループは、断熱材の建材トップランナー制度について、グラスウールと押出法ポリスチレンフォームの新たな目標基準値を取りまとめた。

目標年度を2030年度とし、目標基準値をグラスウールは5.1%、押出法ポリスチレンフォームは6.1%引き上げた。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた第六次エネルギー基本計画で、「2030年以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指し、建材トップランナー制度における基準の強化等の検討を進める」とされていることなどを踏まえた見直し。

2030年度の推定性能値と、それの達成に必要なシェア構成を検討した上で、新たな目標基準値を、グラスウールが0.03942W/(m・k)、押出法ポリスチレンフォームが0.03036W/(m・k)とした。新たな目標年度は2030年度(現行2022年度)。

現行の建材トップランナ―制度では、グラスウールの目標基準値0.04156W/(m・k)に対してトップランナー値は0.036W/(m・k)、押出法ポリスチレンフォームは目標基準値0.03232W/(m・k)に対して0.020W/(m・k)と大きく下回っており、性能改善が期待できることや、出荷シェアが大きいことを踏まえ、この2種類を見直しの対象とした。ロックウールは目標基準値0.03781W/(m・k)に対してトップランナー値0.038W/(m・k)と上回っている。

また、現行制度では、グラスウールは密度24㎏/㎥以上のものは遮音・防火材など特殊な用途に使用されるとして対象外だったが、今後は、密度40㎏/㎥以下に対象を拡大する。住宅の高断熱化により、密度24以上40以下(㎏/㎥)の出荷が増大傾向にあるため。

◇中国産合板でJAS停止措置

登録外国認証機関であるムトゥアグンルスタリ(インドネシア)は2022年10月10日付で農林水産省に、江苏笨笨猫新材料有限公司(中国・江蘇省)に対する日本農林規格(JAS)の業務停止請求報告書を提出、同社のJAS認証を一時停止した。

対象農林物資及び認証の技術的基準に適合しない期間は、合板(低ホルムアルデヒド構造用合板)が2022年2月22日製造分から現在まで、単板積層材(造作用単板積層材)が2022年5月12日製造分から現在まで。ムトゥアグンルスタリの報告書によるとJAS認証停止期間は2022年10月10日から2023年1月9日までとなっている

ムトゥアグンルスタリは江苏笨笨猫新材料有限公司に対し、認証の技術的基準に適合しない期間に製造された製品について、JAS表示の抹消または回収を指示している。抹消の仕方としては、合板、単板積層材に記されたJAS認証マーク等を消去する等の措置が必要になるようだ。

今のところ、抹消ないし回収に関する動きは聞かれていないが、農林水産省は事態の影響を把握するため、ムトゥアグンルスタリを通じて江苏笨笨猫新材料有限公司からの製品の流通量や流通先等の確認を進めているという。

ムトゥアグンルスタリによる業務停止請求理由は、2022年8月31日から9月3日にかけて行われた工場監査時に品質管理記録及び工場内で試験を行った記録の提出を依頼したにも関わらず、正当な理由なく記録類を提出しないためとしている。監査期間中に品質管理データ、毎日の生産管理テストの立ち合い検査がなかったと報告している。ムトゥアグンルスタリでは江苏笨笨猫新材料有限公司に対し各種資料、データ等の提出、改善策を明らかにするよう求めている。

◇ハウスメーカー9月受注、全社前年割れで期累計もマイナスに

ハウスメーカー各社が発表した9月の戸建て注文住宅の受注速報値(積水化学工業のみ棟数ベース、旭化成ホームズは集合も含む)は、全社が前年割れとなった。2割以上の大幅な減少も目立つ。全社でマイナスとなったのは2020年3月以来。これで期累計も全社がマイナスとなり、ハウスメーカーの苦戦が鮮明になっている。

 

対前年期月比の増減率▽受注額ベース▽積水化学工業のみ棟数ベース▽旭化成ホームズは集合も含む▽累計は各社の会計期の期初から。決算月は積水ハウス1月、ヤマダホームズ2月、タマホーム5月、日本ハウスHD10月、住友林業・ヒノキヤグループ12月、その他3月。日本ハウスHDは累計非公開