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シンエイ通信【令和4年6月1日作成 150号】

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シンエイ通信【令和4年6月1日作成 150号】

 

「祝 150回 達成」

 

◇九州商況

九州・沖縄8県の3月新設住宅着工数は合計8481戸で、前年同期比14%増となった。熊本、鹿児島両県がけん引した。

住設機器や半導体の不足により、プレカット工場はやや落ち着いた稼働となっている。製品荷動きは全体的に低調だが、受注状況が安定して好調な販売店もある。

ロシアショックなどの影響で外材の入荷不安が強まるなか、2~3か月後に外材の在庫が少なくなり国産材製品の荷動きが良くなると見られている。

国産材需要が高まることを見越し製品を集めている九州内の販売店もある。ただ、見積が合わず頭を抱えるゼネコンや販売店もあるという話も聞かれる。杉製品価格は横ばいを維持しているが、桧は値下がりしている市場もある。

国産材需要の増加で製品価格は安定しているため、今後も高止まりすると見られている。原木は材質が悪くなる時期だがおおきな値崩れはなく、合板メーカーが積極的に桧丸太を手当てしているため強含みしている。

【国産構造材】

九州北部の製品市場では全体的に荷動きは低調で、買い方は在庫を抱えており様子見姿勢。桧製品の引き合いは特に弱い状況・・・。

グリン材の価格は、昨年のウッドショック以降、全体的に徐々に値下がりしている様子。外材の供給不安から国産材製品の価格は今後も高止まりすると見られている。九州南部では杉KD柱の受注が好調な販売店もある。材積を少なくし住宅価格を抑えるため、120mm仕様から105mm仕様に変更する工務店が増えている。

【国産羽柄材】

間柱45mm厚は生産量が少ないため品薄感があり、九州北部の製品市場では販売店が積極的に手当てしている。昨年のウッドショック時に比べると引き合いは落ち着いているが、九州北部ではマンションリフォームが好調なため杉KD小割の荷動き他の製品よりも好調。

九州での桧KD小割の需要は少ないが、外材の代替需要で本州の買い方が積極的に手当てした。

【外材】

米松国内挽き製材は産地価格の高騰や原油高、円安など事業環境が悪化している中でもメーカーは価格を据え置いている。

Wウッド、Rウッド材なども港頭、市中ともに在庫がある状況だ。ロシア産アカ松材は、九州ではほとんど流通していなかったためロシアショックによる直接的な影響はなかった。小割類は杉材の市場でWウッドKD材などの受長は限られている。販売店も杉材への代替を進める動きが出ている。

【合板・建材】

針葉樹構造用合板は2カ月ぶりの値上げ。12mm150円/枚24mm250円/枚の値上げ高で、九州外消費地ほどではないものの、着実に値上げが進んでいる。国産材原料や製品用原板価格は依然として居所が高いものの、建材メーカーのなかには調達に際し為替などの影響を受けていない国産材の取扱量を増やす動きがある。

◇窯業系サイディングの耐久性

外壁材の耐久性について実務者の声を聞き、材料別の総合的な評価について、現場の声を紹介する。

今回は木造住宅において最大シェアを誇る窯業系サイディングを取り上げる。

窯業系サイディングは木造住宅において最もポピュラーな外壁材であり、現在では7割程度のシェアを占めると言われる。

昭和30年代後半まで木造住宅の外壁の大半がモルタル塗りだったが、40年代前半に窯業系サイディングの製造が開始されると、様相は一変。乾式工法による短工期と防火性、表層のデザインの多様性などが評価され、平成4年には外壁材におけるシェアが50%を超えた。

窯業系サイディングはもともと石綿セメント板、石綿スレート板、木片セメント板などからつくられており、材質ごとにJISも分かれていた。石綿(アスベスト)が使えなくなったことなどから窯業系サイディングの原材料は少しずつ変わっていき、材質による分類が難しくなった。そこで平成7年からJISA5422として1つにまとめられている。

窯業系サイディングの材質は詳しくは公開されていないが、現在の製品は「セメント質材料+繊維質原料+混和材+(水)」とされる。繊維は木繊維やガラスなどの無機系繊維、樹脂系繊維などが用いられる。これらは曲げや引っ張り強度を高めるために混入する。

混和剤にはパーライトやゼオライト、バーミキュライト、炭酸カルシウムなどが用いられる。これらは主に軽量化のために混入する。初期の窯業系サイディングは無塗装品が多く、現場で塗装していた。現在は意匠表現が多様化していることもあり、工場で塗装された製品がほとんどだ。天候に左右されない安定した環境のもと、塗布量や乾燥温度などを順守して施工できるので、塗膜性能を確保しやすい。

窯業系サイディングに施されている塗装は主に3つ。1つは比較的安価な普及品に採用されているアクリルシリコン塗料、中級品以上ではフッ素樹脂塗料が中心だ。アクリルシリコン塗料の耐用年数(塗り替え時期)は10年、フッ素樹脂塗料は15年程度と言われる。

なお、最近では最上級品に無機系塗料が用いられるようになった。無機系塗料はポリシロキサン系塗料とも呼ばれるもので、Si(シリカ)を多く含むポリシロキサンと合成樹脂のハイブリッド塗料だ。超高性能をうたうものが多く、フッ素樹脂などの耐候性が高い樹脂と重合させている。

無機系塗料の耐候性にメーカーは自信を持っているようで、変色・褪色に対して30年保証を付けている製品もある。とはいえ、あくまで変色・褪色に対する保証で、耐候性は対象ではない。建て主に説明する際には注意したい。

直張り工法の問題点

直張りサイディングの反りによる劣化

窯業系サイディングは工法も変わってきている。かつては直張り工法と呼ばれる躯体に直接釘で留める工法が主流だった。

この工法は新築では見かけないが、築古物件のリフォームの現場ではよく見かける。また外壁の張り替えなどでも採用されている。

かつての直張り用の窯業系サイディングは厚みが12mmと薄く、材質によっては釘やビス留め周辺などでクラックを生じることもあった。また、直張り工法は躯体の挙動の影響を受けやすい。たとえば軸組に未乾燥材を使っている場合、柱や梁の乾燥収縮の影響でサイディングが引っ張られて釘が抜ける、シーリングを支点に反る、お互いから引っ張られて割れるなどの事例が見られる。

直張り工法は窯業系サイディングと透湿防水シートの間に空間(通気層)がないため、内外温度差による結露が発生しやすいのも弱点だ。結露水が窯業系サイディング裏面と防水紙の間で逃げ場がなくなり、サイディングの裏面に浸み込み、それがサイディング表面の塗装にまで影響を及ぼし、後述する凍害を引き起こしたり、膨れや剥がれを引き起こすこともあった。

健全と思われる壁面の含水率。内部結露の有無で大きな差がある

高周波式水分計で表層より10〜20mm下部の含水率を計測。

この面は30%を超えており内部結露の可能性が高い

 

ちなみに健全なサイディングの含水率は6~15%と言われる。施工後に含水率計でサイディングの表面を測り、含水率20%以上の数値が出ると水分過多になっており、内部結露が疑われる。建物の周辺環境にもよるが、内部結露から膨れや剥がれに進行しやすいのは南と西面だ。

日射を受けて窯業系サイディングが蓄熱して蓄えた水分を放散し、それが膨れにつながるためだ。

 

内部結露を起こしていると思われる壁面の塗り替えに適した水系塗料

水系塗料の塗布後の経過観察。ふくれなどは発生しなかった

 

内部結露が発生している外壁は塗り替えも難しい。仮に塗り替えて美観が回復しても、早期に再び膨れなどが発生する可能性が高いためだ。造膜する塗料で塗り変えると水蒸気の影響を受けて膨れが起こりやすくなるので、つや消しで透湿性の高い塗料のうち、蓄熱しづらい薄い色を塗布するなどの工夫が必要だ。

◇低コストでしっかり制震「DIT制震筋かい金物」

筋かいの金物を取り換えるだけ

ポイント

  1. 地震の揺れを最大約75%低減
  2. 60年メンテナンスフリー
  3. 筋かい金物に「制震」機能があるのはBXカネシンだけ

 

 

概要

「DIT制震筋かい金物」は、手軽に制震を始められる金物です。
「耐震」に不可欠な筋かい金物に、「制震」機能をハイブリッドしました。
「耐震」への備えをしている方も多いかもしれませんが、一方で「制震」はまだまだ認知されていません。

同製品は建物の揺れを低減させる「制震」機能を備えた金物で、導入は簡単です。
以下の3つの特徴をご覧ください。

①金物と高減衰ゴムシンプルな構造で低コストを実現し、予算を抑えられる
②ビス止めだけの施工、少ない部品数で、手間を軽減できる
③繰り返しの余震にも効果があり、地震の揺れを最大約75%※軽減するなど、揺れの低減を実現
(※軽減する揺れ幅は、建物形状、配置プラン、地震波によって異なります。)