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シンエイ通信【令和3年9月1日作成 141号】
シンエイ通信【令和3年9月1日作成 141号】
◇2年ぶり住宅着工数90万戸超え
国土交通省は8月31日、7月の新設住宅着工を公表した。
総数は7万7182戸(前年同月9.9%増)で、5カ月連続増加した。
持ち家・貸家・戸建て分譲いずれも前年同月を上回ったが、マンションが増加が総数を押し上げた。
季節調整済年率換算値は92万6000戸で、2019年9月以来、約2年ぶりの90万戸超えとなった。
ただ2019年7月は7万9000戸を超えており、2021年1月~7月累計は2019年同期比で7.4%減となった。
2021年1月~7月累計は、48万9192戸(前年比4.3%増)で、この水準で1年を終えると年間83万8600戸。4月は前年同月より約5000戸増、5月は同約6000戸増、6月は約5000戸増、そして7月は約7000戸増加した。加工も年間のピークが7月や10月~11月に訪れていることをみると、秋の最盛期も8万戸以下の水準で推移する見通し。
ただ2019年は年間90万5000戸だったが後半失速し、7月~12月平均は7万6000戸だった(2020年同期は平均約7万戸)2021年は前半低調だったが夏場にかけて回復し、6月から約2年ぶりに7万6000戸を超えてきた。年末にかけてこの水準を維持すれば、年後半だけは2019年並みを記録する可能性もある。
持ち家は2万6071戸(前年比14.8%増)と、9カ月連続で増加した。5月以降、前年同月より約3000戸の増加が続いており、1月~7月累計は前年同期比8.8%増(約1万3000戸増)ただ、19年同期比では6.1%減となる。
貸家は2万9230戸(同5.5%増)と、5カ月連続の増加。貸家も6月は前年同年より約3000戸増、7月は約1534戸増と増加している。
過去10年で最も低い水準となった昨年7月の反動増だけではない、新型コロナを契機とした「新しい生活様式」のための持ち家需要が起きており、グリーン住宅ポイントも下支えしていると同省担当者はいう。ポイント発行申請の締め切りが10月31日に迫る中、一定の駆け込み需要にも注視した。
◇国産針葉樹合板 ひっ迫感一段と強まる
国産針葉樹合板は盆休み明けからひっ迫感が強まっている。おう盛な出荷と極めて低水準の在庫が続くなか、直需・木建ルートとも現物玉確保に奔走している。
国内合板メーカーは原木確保が思うように進まず、人手不足も続くなかでこれ以上の増産は難しく、年内はひっ迫感が続くとの見方が広がっている。こうしたなか、各合板メーカーでは原木高などを背景に12ミリ厚3x6判の建て値を9月から1150円(1次問屋着、枚)に引き上げる方針を打ち出している。
7月も出荷量が生産量を上回り、針葉樹合板の在庫量は9万600立方㍍(前月比1500立方㍍減)と在庫減は収まっていない。8月は盆休みで各合板工場が生産設備の定期メンテナンスを実施したため、1週間程度稼働が停止した。一方、プレカット会社では、木材製品不足による加工日程の遅れを取り戻すために連休短縮して稼働を継続する工場もあった。
このため、8月も出荷量を上回り、在庫が一段と減少することが確実視されている。しかも、全国的に国産材丸太への引き合いは旺盛なうえ、連休中の西日本を中心とする大雨により出荷量が今後減少するとの見方が広がり、9月以降もひっ迫感は解消しないとの見方が強まった。
既に直需向けでは追加注文分だけでなく、定量注文分でも一部で納期遅れが本格化本格化した。
一部のプレカット会社では、木材製品不足が本格化した4月以降、合板への波及を警戒して在庫を積み増ししていたが、それでも「他社に販売する余裕はない。融通する場合もWウッド集成管柱など自社で不足する材料との交換でなければ応じられない」在庫が少なかったプレカット工場のなかには「合板だけは持ち込みでと顧客に伝える会社も出ている」など合板不足が受注の足かせになり始めている。
木建ルートではされに深刻で「納期がどんどんズレ込んでおり、割り振りも減り続けている」状況で、手持ち在庫が払低している。
国内メーカーは東西ともフル生産体制を継続しているが原木不足により生産量を伸ばし切れていない状況。
これまで西日本と比べて余力のあった東日本でも、丸太が不足する西日本から手当てする動きが出ているうえに集成材メーカーが杉丸太の集材を一段と積極的に進めている。
◇国産材で差別化へ
国産材利用への関心が高まっているなかで、主に素材供給量からの注目は「杉」の活用にある。
その一方、桧は施主に対するアピールにつながり、根強い人気がある。本誌で毎年実施している木造住宅ランキング調査(2019年)を基に桧需要を分析した。調査の数字は19年度のものだが、現在はウッドショックの影響を受け、桧が暴騰している。
こうした中で桧にこだわる住宅会社の動向が注目される。
桧といえば柱、土台が主な用途で桧無垢材を現し柱で使用し、その意匠性を主張する住宅会社は少なくない。
国産材というだけでなく、桧は耐久性が高く、高価な木材として施主にも知られていることで差別化に繋がる資材といえる。
日本ハウスHDは桧4寸角柱を主力商品で採用。普及価格帯Jエポック構法では桧構造用集成材を使用する。日本ハウスHDは桧を売りにしていることもあり、無垢・集成材とがあるものの双方が桧。
アーネストワンは飯田グループホールディングス傘下の戸建て分譲住宅会社の大手。柱だけで年間4万7289立方㍍、無垢KDが1356立方㍍で合わせて2786立方㍍。柱のなかでは5.9%に過ぎない。東栄住宅やヤマダホームズ、秀光ビルドなども桧土台の使用料が多い。
新和建設は東海地区の有力注文住宅会社で、年間199棟で桧無垢柱950立方㍍使用する。
土台は高耐久性樹種として薬剤処理がなくても芯材の耐久性が高いことで使用されるケースが多い。
タマホームは国産材使用率を高める取り組みのなかで柱は杉構造用集成材、土台は桧無垢材と使い分けている。棟数が9510棟と多いことで土台の使用量も9380立方㍍と多い。16年度調査の推定値では5309立方㍍だったことから、急激に使用量を増やしたことが分かる。
住友林業はBF工法比率が上昇するのと連動して、柱はRウッド構造用集成材が増えている。土台は桧構造用集成材7945立方㍍と圧倒的だ。
積水ハウスや大和ハウス工業などプレハブ系住宅会社の構造では、桧構造用集成材が好まれて使われている。
近年は桧丸太価格が低迷し、杉との値差が縮小していたが、ウッドショックによる木材価格の高騰が国産材使用の状況を変える可能性もある。
日本ハウスHDは「ウッドショックで木材、特に桧の値上がりが激しい。当社では長年桧を安定して使用し、製材会社との関係を築いてきたので供給に関しては問題ない」と話している。
◇来年度も「事業再構築補助金」継続へ 経産省概算要求
経済産業省は、今年度にウィズコロナへの中小企業支援策として設けた「事業再構築補助金」について、来年度も継続する方針を決めた。
経産省が8月31日に発表した2022年度の概算要求に盛り込んだ。要求総額は2021年度当初予算比11.9%増の1兆4026億円に膨らんだ。このうち、新規で25.4億円を「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」で要求し、事業再構築補助金を組み込んだ。
事業再構築補助金は「攻めの補助金」とも言われている。主に設備投資などを対象にしている。新型コロナの影響が長期化し、中小企業が収益の柱としている事業の需要や売上の回復が厳しい中で、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、業態展開や多角化を支援する。
中小企業庁によると、今年4月に第1回目の申請を開始し、応募総数2万2231件中、採択したのは8016件だった。建設業は6.7%が通った。採択金額で最も多かったのは、4501万円~6000万円のボリュームゾーンで、全体の27%だった。
第2回目の結果は今後発表する。8月30日に申請受付を開始した第3回目では、これまでの条件を大きく緩和させているのが特徴だ。「最低賃金枠」を創設し、通常枠の要件に加えて、昨年4月以降のいずれかの月次売上高が、対前年または対前々年比で30%以上減少した事業者には補助率を3/4に引上げ、採択率などを優遇する。
補助額も大きく引き上げた。これまで通常枠の上限金額6000万円を、最大8000万円まで引き上げることを決めた。対象は従業員数が51人以上の事業者。これに加えて新たに「大規模賃金引上枠」を設け、従業員数が101人以上の場合には、補助上限を最大1億円とした。売上高は増加しているものの利益が圧迫され、業績が厳しい事業者をより多く支援するため、条件のひとつである売上高10%の減少要件は、「付加価値額」の減少でも満たすとした。
◇パナソニック、洗面化粧台に抗菌部材を標準搭載
パナソニック ハウジングシステム事業部(大阪府門真市)は、洗面化粧台「ウツクシーズ」「シーライン」をリニューアルして11月1日に発売する。
2シリーズとも衛生面にこだわり、ミラーの開閉部やカウンター、水栓レバーなど手で触れることが多い場所にSIAA認証基準適合の抗菌加工部材を標準採用。
「ウツクシーズ」は、メイクがしやすい「コスメ引出し」や大容量の「スッキリ家電収納」、汚れが落ちやすい「ツイストシャワー」、非接触で操作できる水栓・照明スイッチなどメイクのしやすさと清掃性を高めた。税込19万6460円〜。
「シーライン」はセカンド洗面として玄関に設置することも想定し、北欧やヴィンテージスタイルのインテリアに合う扉柄2柄(グレイッシュグリーン、ヴィンテージメタル)を追加し、計16柄をラインアップした。税込18万2490円〜。