シンエイ通信

シンエイ通信【令和元年7月31日作成 116号】

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令和元年7月31日作成 116号


■ 「住宅生産技術イノベーション促進事業」提案5件を採択
 国土交通省は7月24日、2019年度「住宅生産技術イノベーション促進事業」において、住宅建築分野の生産性向上に資する技術開発の提案5件を採択したと発表した。

 今回の応募件数は計7件。採択した提案は、「次世代優良住宅耐震システムの開発」「木造屋根の耐久性・施工性向上のための防水・通気工法の開発」「ストック中古流通拡大へ向けた既存住宅の活用の為の構造判定システムの開発」「高減衰ハイブリッドスチール建築システムの開発と生産システムの合理化」「組立鉄筋ユニットを用いた住宅用基礎の設計・施工指針に関する技術開発」の5件だった。

 「住宅生産技術イノベーション促進事業」は、住宅・建築物の設計・施工・維持管理等に係る生産性向上に資する新技術・サービスの開発・実証等の優れた取組について、技術開発等に要する費用の一部を補助するもの。補助率は2分の1以内、限度額は5000万円/件。

■ アドバイスできる人材の育成を

省エネの普及啓発活動などを行うForward to 1985 energy life(埼玉県さいたま市)は10月4日、第15回「暮らし省エネマイスター検定」を実施する。受付期間は9月20日まで。2012年にスタートした検定で、年2回実施。累計合格者数は937人。
 
 同検定は、家庭生活における省エネルギーを実践したい生活者に、アドバイスできる人材を育成するための制度。公式テキストでは、省エネに関する基礎知識や住宅のエネルギー、温熱などの専門知識、暖冷房や給湯、照明など家庭のエネルギー消費量を減らす方法などを解説している。具体的な削減方法として、建築、設備、暮らし方の3つの要素に基づいている点が特徴的だ。

 検定合格者の所属する法人などは、同団体が認定する「1985地域アドバイザー拠点」として登録。各拠点では、省エネ住宅の提案や一般生活者向け省エネ住宅セミナーなどが行われている。現在、全国に157拠点。
 
■ 申請が想定規模を下回る
 
 環境省、経済産業省のZEHを支援する事業の一部で、公募での申請数が想定を下回っている。環境省が実施した一般公募は、6月7日と7月5日に締め切った一次公募、二次公募のいずれでも、申請件数が事業規模を超えなかった。経済産業省の実施しているZEH+は想定水準だったが、ZEH+R強化事業は5月24日までの申請件数が事業規模を下回り、抽選が行われないこととなった。
 
 一時は申請が殺到し、省エネ性能の高さで採択か否かとなることもあったが、補助金額や要件が変化。消費増税の予定なども、申請状況に影響を及ぼしているようだ。
■ 大手住宅メーカー・ランキング
 住宅産業新聞が集計した大手住宅メーカー・ランキングによると、2017年度(対象11社、積水ハウスは1月期、ヤマダ・エスバイエルホームは2月期、その他が3月期)の総販売戸数(戸建て、アパート、マンションの合計)は、3年連続で
大和ハウス工業がトップだった。
2位の積水ハウス、3位の旭化成ホームズ

は変わらずだが、アパートの実績を戸数から棟数に変更した積水化学工業住宅カンパニーの総販売戸数(棟数)が下がった結果、パナソニックホームズが4位に躍り出た。 一方、6位のミサワホームを子会社化した8位のトヨタホームは、両社合計で3位の旭化成ホームズに迫る結果となった。

■ 資産運用の基礎を伝える

住医学研究会(愛知県名古屋市)はハウスドットコム(愛知県名古屋市)とともに、施主の資産的な将来不安を取り除き、契約率を高める営業手法を伝える「常識を超えた契約倍増セミナー」を全国4会場で開催する。

このセミナーは「施主向けの資産形成と運用提案」を活用して契約率を高めるという手法を伝えるもの。

住医学研究会では、施主向けに資産形成のサポートを開始する。8月からはまず、お金や資産形成、資産運用についての基礎をしっかりと学んでもらうセミナーを行っていく。

「一般の人(日本人)は、資産運用や投資などをタブー視している風潮があるため、建築の資金計画ではなく、まずお金の正しい知識を学んでもらい、将来に対する不安を取り除き、消費マインドを上向きに変えるセミナーです」(ハウスドットコム・日下部隆久理事)

講師には金融アドバイザーの中村公一氏を迎え、外貨による資産運用の秘策を伝える。この取り組みは、住医学研究会の会員であるキーマン(大阪府東大阪市)が既に取り組みをしており、旧耐震のビルの改修工事などの資産バリューアップなど共に、お金という資産のバリューアップにも取り込み、受注が伸びている。

■「アート×リノベ」企画展開催

 アートライフの普及活動を行うアートのある暮らし協会(東京都中央区)がプロデュースした企画展「マイセンと書と華のある暮らし~アートが創る新しいリノベーションの形~」がパナソニックの「TOKYOリノベーションミュージアム」で7月18日~9月24日まで開催される。

アートを生かしたリノベーションの新しい形をモデルルーム内で表現。「アートが生活空間をどう再生してくれるか?」というテーマの元、世界で活躍する2人のアーティストが生活空間を演出する。会場には実際にブースを作り、アートを生かした空間を展示する。

会期中は各種のイベントを実施。ブース内でアートを担当する書家の白石雪妃氏と華道家の塚越応駿氏によるライブパフォーマンスに加え、同団体の枝澤佳世代表理事による「アートDEリノベーション」のセミナー、RA-CREAの中西八枝佳代表による「子どもの可能性を広げる子供部屋の作り方」セミナーなどを行う。

■ 2019年版国土交通白書を公表
 
 国土交通省は7月2日、2019年版国土交通白書を公表した。これからの生活空間のあり方を分析し、新しい時代の施策の方向性を示した。未来の住宅に望むこととして、「自分の好みで変えられる」ことや「伝統・自然と快適さ」「AI/IoTで快適」に暮らせることを支持する意見が多かった調査結果などを紹介し、リノベーションや新しい技術(AI等)の活用を通じ、居住者の感性(美意識)がより反映される「住空間」の創出が必要だとした。

新しい時代に求められる「豊かな生活空間」として、日本人の感性(美意識)を今以上に取り込むべきと考える人の割合がすべての年代で約8割であることや、将来住んでみたい街の特徴として、「きめ細やかな配慮がある」「自然・歴史・伝統を感じる」ことを希望する人が約8割に達していたことなども紹介している。
■ 2018年度の戸建ての低炭素建築物新築等計画認定が過去最高
 
 国土交通省が7月29日に発表した2018年4月~2019年3月の低炭素建築物新築等計画の認定件数は、戸建て住宅が4519件、共同住宅が1309件だった。戸建て住宅の年間認定件数は過去最高を記録した。