シンエイ通信

シンエイ通信【平成30年11月30日作成 108号】

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平成30年11月30日作成 108号


■ ブロック塀等の耐震診断を義務化

 国土交通省は11月27日、耐震改修促進法で規定する、地震によって倒壊した場合に道路の通行を妨げ、円滑な避難を困難にするおそれがある通行障害建築物に、建物に附属する一定の高さ・長さを有するブロック塀などを追加したと発表した。これにより都道府県または市町村が耐震改修促進計画に記載する、避難路の沿道にある一定規模以上の既存耐震不適格のブロック塀などに、耐震診断が義務づけられることになる。

 対象となるのは、前面道路に面する部分の長さが25mを超え、かつ、その前面道路に面する部分のいずれかの高さが、道路の中心からの距離の2.5分の1を超えるブロック塀等。規模要件については、一定の範囲内で自治体が変更することができる。施行日は2019年1月1日。

■ 経済産業省「調達価格等算定委員会」
 太陽光発電の買い取り価格などを検討する経済産業省「調達価格等算定委員会」の11月8日の会合で、住宅用太陽光発電について2025年を目標年限として、同年に運転開始する平均的な案件で「売電価格が卸電力市場価格並み」を目指すことを明確化する方針が示された。
 
 2017年度の卸電力市場価格は、各月の加重平均値で1kWhあたり10.3円だった。
 
 2020年度以降の住宅用太陽光発電の買い取り価格については、複数年度設定ではなく、単年度で設定する方針。2020年度に関しては、2019年度末までに決める。また、出力制御機器の設置の有無で、買い取り価格が異なる現行の考え方を見直し、機器の有無にかかわらず同一とする。
 現行制度では、2019年度の買い取り価格は1kWhあたり出力制御機器なしの場合が24円、ありの場合が26円となっている。
■ 住宅関連増税対策の骨子を提示

 政府は11月26日の経済財政諮問会議・未来投資会議・まち・ひと・しごと創生会議・規制改革推進会議の合同会議で、消費税率の引き上げへの対応策の骨子を示した。住宅関連では、消費税率引上げ後の購入などにメリットが出るよう税制上の措置を講ずる。また、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や家事・介護負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームに対し、期間限定でポイントを付与する制度を創設する。年末にかけて検討する。「すまい給付金」については既定の方針に沿って、2019年10月以降、対象を拡充するとともに、給付額を最大30万円から50万円に引き上げる。

■「Nissan Energy」発表

 日産自動車(横浜市)は11月28日、バッテリーの蓄電・放電機能を生かし、電気自動車(EV)の魅力をさらに向上させるソリューション「NissanEnergy(ニッサン エナジー)」を発表した。また、同ソリューションのコンセプトを実証する「NissanEnergyHome(ニッサン エナジー ホーム)」を日産グローバル本社ギャラリーで公開した。

 「Nissan Energy」は、同社が「日産リーフ」などのEVを中心とした「エコシステム」の構築を目指し、日本・米国・欧州で取り組んでいるソリューションの総称。EVとエネルギー・システムをつなぐことで、車載バッテリーの充電(「NissanEnergy Supply」)だけでなく、そのバッテリーに貯めた電力を、家、ビル、電力網に供給すること(「Nissan Energy Share」)も可能にする。さらに、EVバッテリーの二次利用(「Nissan Energy Storage」)も提案する。

 同ソリューションのコンセプト実証に位置づけ「NissanEnergy Home」は、ソーラーパネルとEV、車載バッテリーに蓄電された電力を家庭での電力ニーズに合わせて供給す「VehicletoHome(V2H)システム」を設置するもの。同日公開したデモンストレーション・ハウスは、木材と中の見える透明な壁に囲まれたモデルハウスとして、日本の伝統文化と近代性を表現。フローリングや壁に沿って点灯するブルーのイルミネーションが、ソーラーパネルや「日産リーフ」のバッテリーから供給される電気の流れを示すようになっている。

同社は「Nissan Energy」の一環として進めるEVバッテリーの二次利用において、電動フォークリフトの動力源や競技場への電力供給源など、様々な用途への再利用・再製品化を進める。欧州ではEVバッテリーを再利用し、家庭における定置型蓄電池に活用。英国では太陽光パネルと再利用した蓄電池を組み合わせて使用している。今年6月には、欧州で最大規模の蓄電システムが、オランダのヨハン・クライフ・アレナスタジアムで稼働。EVの買い替えが進むことで、二次利用可能なバッテリーの供給増加を見込む。

■ 住宅金融支援機構

 住宅金融支援機構はこのほど、2018年4月から10月に民間住宅ローン(フラット35を含む)の借り入れをした人を対象に、利用した住宅ローンの金利タイプや住宅ローン選びに関する調査を実施し、その結果を発表した。利用した金利タイプについては、「変動型」の利用割合が57.0%と前回調査(2017年10月~2018年3月)に引き続き最も多く、「固定期間選択型」は25.3%で4.8ポイント減少、「全期間固定型」は17.7%で4.4ポイント増加となった。
 
 今後1年間の住宅ローンの金利見通しは、前回調査と比べ、全体では「ほとんど変わらない」が49.2%(前回調査 59.0%)に減り、「現状よりも上昇する」が41.7%(同 29.1%)に増えた。「全期間固定型」では「現状よりも上昇する」が5割超となった。

 住宅ローンを選んだ理由は、フラット35以外では「金利が低い」76.2%と最も多く、フラット35では「返済額を確定しておきたかった」60.8%と最多だった。

 調査期間は10月3日~11日。回答数は1500件(うちフラット35利用者166件)。

■ AI活用した賃貸物件

Apamann Net work は12月1日、AIテクノロジーを活用した賃貸住宅物件「AI Smart Room」のサービス提供を開始する。同サービスのスキル開発において、AIソリューション提供を行うインフォメットとパートナー契約を締結した。

 「AI Smart Room」は、スマートスピーカー、スマートリモコンが設備として設置された部屋で、IT技術、音声やスマートフォンとの端末連携によって、入居者の生活をより楽しく、快適にしていくことを目指すもの。同日から順次、APAMAN賃貸物件でサービスを開始する。

 パートナー契約を結んだインフォネットは、「AI Smart Room」のAlexaスキル『APAMAN(仮名)』を開発し、入居者が転居後に生活していく上での様々な不安を解消するスキルを随時開発する。来年3月を目途に、第1弾として新生活の立ち上げを支援するスキルを公開予定

 Apaman Networkは、来年10月31日まで「AI Smart Roomキャンペーン」を開催する。アパマンショップの物件一覧及び物件詳細画面で「AI Smart Roomキャンペーン」のマークがある部屋を、国内のアパマンショップで契約した客を対象とする。

     

■ 「安心R住宅」

 国土交通省は11月27日、消費者が安心して購入できる物件に国が商標登録をしたロゴマークの使用を認める「安心R住宅」制度の運用状況を発表した。9月末時点で482件の既存住宅が「安心R住宅」として流通していることが確認できたという。


 安心R住宅制度とは、「不安」「汚い」「わからない」といった「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し流通を促進するために設けられた制度。本年4月1日に運用が始まった。


 2017年12月1日に施行された特定既存住宅情報提供事業者団体登録規程に基づき、「安心R住宅」の標章の使用を希望する事業者団体を国土交通大臣が登録し、一定の要件を満たした既存住宅に対し、国の関与のもとで事業者団体が標章を付与している。現在、8団体が登録している。

■ マイホーム購入したいと思わない

 NPO法人日本FP協会はこのほど、全国の20代~70代の男女を対象に実施した「世代別比較くらしとお金に関する調査2018」(有効サンプル=1200人)の調査結果を発表した。それによると、現在の住まいが持ち家ではない人に、マイホームを購入したい年齢を聞いたところ、「35歳~39歳」(6.7%)、「40歳~44歳」(7.8%)に回答が集中。平均年齢は40.5歳だった。「購入したいと思わない」は68.0%だった。
 現在の住まいが持ち家の人がマイホームを購入した年齢は、「30歳~34歳」、「35歳~39歳」がともに23.5%となり、平均年齢は36.3歳となった。

 「人生100年時代」を迎えるにあたって不安を感じることを聞いたところ、「老後の生活設計」(60.4%)が最も多く、「自身の健康」(57.2%)、「家族の健康」(44.8%)が続いた。「住まいにかかる費用、住まいのあり方(住む場所や住居形態など)」は41.3%で、住宅関連の費用負担が大きい30代では52.0%となった。


 全世代の金融資産の平均額は1141万円だった。世代別では、20代405万円、30代556万円、40代604万円、50代1533万円、60代1969万円で、世代が上がるほど資産額も高くなる傾向がみられた。特に50代は40代の2.5倍の金額で、資産が増える時期であることがわかる。