シンエイ通信

シンエイ通信【平成29年12月25日作成 97号】

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平成29年12月25日作成 97号


■ 楽天とLIFULL
  民泊事業に参入 国内最大の民泊プラットフォームめざす

 

 楽天(東京都世田谷区)とLIFULL(東京都千代田区)は6月22日、両社が共同出資する「RAKUTENLIFULLSTAYPTE.LTD.」(出資比率:楽天51%、LIFULL49%)の完全子会社として、「楽天LIFULL STAY株式会社」(東京都千代田)を設立したと発表した。今後、両社は新会社を通じて民泊事業に参入、来年1月をめどに宿泊仲介サービスの提供を始める。「日本最大の民泊プラットフォームを構築し、一番便利で簡単でワクワクするサービスを提供したい」(楽天、山田善久副社長)とする。

 新会社は、6月9日に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、住宅宿泊仲介業者として観光庁長官の登録を受けた上で、インターネットを通じて民泊施設を提供したい人と利用したい人を結び付ける新たなプラットフォームを構築する。宿泊仲介サービス(仮称:VacationStay)では、遊休資産所有者に対して資産活用の新たな機会を創出するとともに、消費者に宿泊施設の幅広い選択肢を提供する。これに向けて、楽天は個人の空室・空き家オーナー(個人ホスト)と利用者の集客を進める。LIFULLはすでにある不動産ネットワーク加盟店向けに専用画面を提供し、民泊物件情報を整備する。

 LIFULLの井上高志社長は「2033年には全体の30.4%、2167万戸が空き家とされるなかで(野村総合研究所予測2016年6月)、民泊という新たな宿泊スタイルは社会問題化する空き家を解決するうえでも、さらなる観光立国をめざすうえでも有効」とし、ライフルホームズが保有する住宅・不動産情報の活用を掲げる。「全国800万件の空室・空き家の登録情報をもとに、民泊物件となりうる空き家在庫を開拓していく。また、ライフルホームズでは不動産ネットワークのほかに工務店ネットワークも運営しており、そのままでは利用できない老朽空き家をリフォーム・リノベーションして民泊物件として提供する施工体制もすでに整っている」と話す。さらに今後の展開として「民泊物件に対してクラウドファンディングでお金を集め、それをリフォーム・リノベ費用やインテリアを揃える費用に充てるといったサービスを準備中」であると明かした。

 外部パートナーと連携した代行サービスを拡充していくことで、民泊物件の拡大を目指すとともに、利用者がより安心・安全にサービスを利用できる環境を整える。

 太田社長によれば「民泊サービスの販売にとどまらず、民泊在庫の創出から運用支援まで一歩踏み込んだ包括的なサービスが特徴」だという。「まずは合法かつ安心・安全な民泊環境をつくってマーケットを盛り上げ、農業・漁業など体験型民泊サービスを開発して地方雇用の創出、地方経済の活性化にも寄与したい」と意欲を語った。

■ 税制改正大網まとまる、住宅関連の要望、条件付きの延長 
     

 与党の税制改正大綱がまとまり、2018年度の住宅関連税制の方向性が固まった。住宅関連では、今年度末などに期限が切れる特例・軽減措置の延長要望がほとんどだったが、ほぼ要望通りに盛り込まれた。新築住宅にかかる固定資産税の減額措置や、宅地評価土地の取得にかかる不動産取得税の特例措置の延長など。買取再販向け住宅の取得にかかる不動産取得税の減額措置を住宅だけでなく敷地部分にも拡充すること、および登録免許税の2年間延長も盛り込まれた。

■ 住み続けられる国土専門委員会

 国土交通省の国土審議会計画推進部会が設ける4つの専門委員会のうち、「住み続けられる国土専門委員会」は、人口減少が進む地域の居住環境などを守る方策として、人口減少が進む地域での移住・定住促進が重要であるとの認識の下、議論を進めている。同委員会は、来春には移住・定住の手引きとなるものへ、とりまとめたい意向だ。

■ 大手住宅、宿泊施設の展開拡大

訪日外国人旅行者の宿泊需要「インバウンド需要」を狙った大手ハウスメーカーの取り組みが相次いでいる。ミサワホームは、京都市内の築32年の賃貸マンションを宿泊施設に大規模リノベーションする。また、積水ハウスは、写経など文化アクティビティが体験可能な宿泊施設を展開する「宿坊創生プロジェクト」第2弾を、奈良県の法隆寺の参道に2019年春オープンする。大和ハウスグループのコスモスイニシアは、訪日外国人向けアパートメントホテル「APARTMENT HOTEL MIMARU」の第1弾を来年2月に東京・上野で開業する。大手ハウスメーカーは住宅で培ったノウハウを生かしつつ、新たな事業分野への多角化を行っており、国内で成長が見込める宿泊需要への取り組みを進めていく。

■ 大工技能者減少
 
 大工として働く人の数が減少を続けている。5年ごとに行われる調査では減少幅が拡大。特に社員など正規雇用の大工は10年間で半減近くにまで急減している。
 一方、一人親方の減少幅は1割強と緩やか。跡継ぎ問題などで大工としての労働力全体がしぼむ中、本人の意思に関わらず社員としての大工から、保険未加入や休日取得が不安定であるなど働き方に課題が多いといわれる一人親方に移行しているケースが散見されるとの意見が業界にあるが、統計からもその可能性が伺える。また、大工の平均年齢も5年前から上昇していた。
 5歳ごとの年齢別人数では、20~64歳までの層は軒並み大工の人口が減少し、特に若年層や大工人数の多い世代が目立って減っているのに、65歳以上の層では増加しており、顕著な高年齢化が明らかとなった。

■ 国交省・法務省、所有者不明な土地、対象事業は民間も可能に

 国土交通省や法務省など関連省庁は、探索しても所有者が不明な土地について、暫定的な利用権を設定し、公共的な事業を行えるようにすることを制度化し法案を次期通常国会に提出する。対象事業は民間も行えるようにする。少なくとも5年間以上の一定期間の対応とし、延長を可能にする。期間中に不明だった所有者が現れ、明け渡し請求が行われれば、期間終了後に現状を回復して明け渡す。都道府県知事が補償額なども含めて裁定し、事業者は補償金を供託する仕組みにする。
 5日に行われた国土審議会土地政策分科会で中間とりまとめが行われた。公共的な事業は法令化するが、具体的には、(1)公園、イベントスペー (2)購買施設、文化共用施設――などといった地域住民の居住環境向上につながるような公益的事業に絞りつつ、できるだけ幅広い内容を認めるようにする。
 所有者の探索の合理化も目指す。個人情報保護を踏まえつつ行政機関が、固定資産税課税台帳や電力・水道事業者などがもつ情報へのアクセスを可能にすることを検討する。
 法案提出後も、所有者不明土地や権利放棄地の受け皿や、利用権の延長を繰り返した結果長期に及ぶ占有となるため対応を検討する。
 なお、「自由民主党の所有者不明土地等に関する特命委員会」では、登記が義務化されていないことなどを課題として、議論を継続する意向を示している。

■ 大和ハウス工業が高級木造を東京で展開、戸建てシェアトップの足掛かりに

 大和ハウス工業の芳井敬一社長は、木造注文住宅のフラッグシップモデル「PREMIUM GranWood(プレミアムグランウッド)」を戸建住宅シェアトップを目指す足掛かりとして位置づけている。
 「ハイクラスの方には、東京で高級な木造住宅が求められている」――。
 芳井社長は、社長就任前の東京本店長をしていた時に、木造住宅のフラッグシップモデルの展開を自ら発案し、人材の選定やコンセプト固め、最高級商品としてイメージにふさわしい展開候補地の選定を行ってきた。
 4月に兵庫・芦屋で第1弾の物件を販売。
 今回、満を持しての東京・等々力での第2弾となった。芦屋、等々力の物件は、いずれも「プレミアムグランウッド」をターゲットである富裕層に見てもらうためのモデルハウスとしての役割を持つ分譲展示場。今後も高級住宅地でモデルハウスを建設して、同社の木造住宅でのイメージを確立する。
「プレミアムグランウッド」を皮切りに、同社の木造住宅展開を強化し、戸建住宅市場でのシェア拡大を目指す。
 

■ 知識・経験や対応者不足 

住宅関連団体らは12日、国土交通省の「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会」で、省エネ性能向上に向けた取り組みや課題について意見を述べた。住宅生産団体連合会は、課題を抽出するために中小工務店にヒアリングを実施した結果として、省エネ計算の知識・経験や対応する人材が不足している状況を説明した。
 全国住宅産業協会などに対する調査結果も示しつつ、集合住宅の建築主を含む顧客など市場の認識や工務店自体の対応力が伴っていないことから、省エネ義務化までには解消すべき課題が多いと指摘。現段階で義務化することは拙速であると訴えた。
 同時に、一部事業者はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業に伴い、省エネ性能向上に向けた目標を自主的に打ち立てて積極的に取り組んでいるといった側面も説明した上で、省エネ性能向上支援の施策拡充や基準の柔軟な運用を求めた。
 このほか、不動産協会や日本建築士会連合改なども意見を発表した。

■ ポラテック、オリジナル工法で木造非住宅コスト削減
 ポラスグループで木造戸建住宅事業およびプレカット事業を展開するポラテック(埼玉県越谷市、中内晃次郎代表)は1日、設計事務所関係者を対象にグループの分譲住宅会社ポラスガーデンヒルズの新社屋として建築中の木造3階建て事務所棟(千葉県松戸市)の構造見学会を実施した。見学会当日、ポラテックは、ここ1年位で木造非住宅市場で新たな受注分野として事務所や倉庫などの物件が出始めており、同社のオリジナル工法をこれらに採用すると特注の大断面集成材を使用する場合と比べ、躯体の建築コストを約15~40%圧縮できると説明した。同社では見学会を通じ木造非住宅建築に必要な木構造のポイントを公開することで、木造非住宅市場の拡大に寄与したい考えだ。

■ 17年度通期受注計画を下方修正
 2017年度の上半期実績を踏まえ、大手ハウスメーカー8社のうち6社が17年度通期受注計画を明らかにしている。上半期の厳しい受注実績から、半数の3社(積水化学工業、旭化成ホームズ、住友林業)が期初予定と比べて下方修正。積水ハウスは、戸建住宅や賃貸住宅といった請負型は期初と変わらないものの、分譲住宅事業やマンション事業がプラス予想に転じ開発型のマイナスが縮小し計画を上方修正した。一方、横ばいの大和ハウス工業は、住宅や集合住宅で計画を下方修正したものの事業施設の上昇で横ばいを維持。下半期の受注環境に関する見方には、戸建ての商談長期化、賃貸需要の頭打ちといった上半期の市況と大きな変化はなく「不透明感がある」(関口積水化学工業住宅カンパニープレジデント)との見方が主流だが、受注獲得策は横並びの高付加価値路線から各社の戦略に変化がみられる。

■ スムストックが「安心R住宅」登録団体第1号
 国土交通省は12月25日、一定の水準を満たす既存住宅を対象にした新しい表示制度「安心R住宅」の運用事業者団体として、一般社団法人優良ストック住宅推進協議会(通称:スムストック)を登録したと発表した。同制度での団体登録は初。
 同制度は、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査等)が行われた住宅で、リフォームなどについて情報提供が行われる既存住宅に対し、事業者団体が国が定めたロゴマークを付与できるようにする仕組み。ロゴマークの使用を希望する事業者団体を国土交通大臣が登録する。ロゴマークの運用は2018年4月から始まる。

■ スマートウェルネス住宅等推進モデル

 国土交通省は12月22日、高齢者・障害者・子育て世帯の居住の安定確保及び健康の維持・増進に資する事業を支援する「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」一般部門の二次募集選定結果を発表した。学識経験者からなる評価委員会の審査・評価結果を踏まえ、応募6件の中から2件を選定した。


 今回選定されたのは、「生活支援付債務保証と空家物件の活用による『民間連携型居住支援』プロジェクト」(代表提案者=特定非営利活動法人抱樸、事業予定地=福岡県北九州市)と、「母子家庭を対象とした地域密着型就労つきシェアハウス普及事業」(代表提案者=特定非営利活動法人リトルワンズ、事業予定地=東京都杉並区)。後者は条件付き選定事業となっている。

                    ご挨拶


謹啓


新年あけましておめでとうございます。 


旧年中は格別なご高配を賜り、まことに有難く厚く御礼申し上げます。

本年も、より一層のご支援を賜りますよう、従業員一同心よりお願い申し上げます。

                                                 敬具



 平成30年1月

                                  株式会社 SHIN-EI

                                         代表取締役 豊田 浩二