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シンエイ通信【令和6年5月1日作成 173号】
シンエイ通信【令和6年5月1日作成 173号】
◇一人親方も対象「フリーランス保護法」11月施行 発注側に義務
公正取引委員会および厚生労働省はこのほど、一人親方を含む特定受託事業者を対象とした「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス保護新法)の関係政令の整備を開始した。5月11日まで実施するパブリックコメントを経て5月中に公布、11月1日に施行する予定。取引の適正化や育児介護等に対する配慮、ハラスメント行為に対する適切な措置、独占禁止法・下請法との関連性などについて、具体的な内容をまとめる。フリーランス保護新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、企業などの組織に所属しない、一人親方などのフリーランスを保護するための法律。2023年5月に公布された。
◇九州木材商況
木材市況の冷え込みは厳しく、「2月も低調だったが、さらに悪化した」との声も聞かれる。3月は一部で年始より受注が上向いたプレカット工場もあるが、業界全体としてはプレカット工場や流通業者などの仕事量や見積りは減っている。欧州材などの入荷量の減少が指摘されるが、先行きを見通すのが困難なためか、九州以外に出荷される国産材による代替需要は顕在化していない。このため、建築用材の荷動きは振るわず、価格も弱保合。一方で原木価格の居所は依然高いうえに、4月には木材製品等を運ぶトラック運転手の時間外労働に上限規制が設けられた。製材の諸経費も上昇傾向だが、ある木材市場関係者は「不需要期でも、正当なコストは製品価格に転嫁できるような木材業界にすべきだ」と話すが、実現は難しそうだ。
九州沖縄8県の1月の新設住宅着工数は合計7273戸。前年同月比6%増だが、実感は乏しい。
【国産構造材】
杉KD柱角の不振が続き、地域によっては荷動きも一服。杉KD平角は、価格水準の高い米松KD材に追随できない。
九州以外の地域から外材の代替で国産材を求める動きは広がらず、製材メーカーや流通では我慢が続く。
先行きが不透明で、プレカット工場や販売店も製品手当を進めづらく、製品市場でも当用買いが目立つ。原木価格の居所は高く、製材に価格諸経費も上昇傾向にあるなか、製品価格は弱保合で推移し、製品市場側の希望価格は通りづらい。
【国産羽柄材】
荷動きに陰りが
各地の春の製品市では買い方が協力的で、杉KD間柱や杉GR小割などが手当てされた。ただ、比較的動きがあったこれらの製品に対し、失速を指摘する製材メーカーや流通関係者もいる。価格は弱保合。
割安感があるAD小割類も良材メーカー品は同小割KD材に近い価格水準で買われている。
【外材】
価格は横ばい
荷動きは全体的に落ち着いたままで、米松国内挽き製品価格は前月比横ばい。KD平角、GR平角、KD小割材なども横ばいで取引されている。
九州でKD平角、GR平角、KD小割材を挽く工場は少なくなった。小規模工場は決められた量を安定供給しているが、急な増産には対応しづらい。
Wウッド再割製品は、国産材化の流れの中で需要が限られる。さらに、輸入される完製品よりも価格が割高となる事情などから、メーカーでも事業化が難しい。
【集成材】
第2・四半期は値上がり見込み
構造用集成材の荷動きは2月以降、昨秋から年明けまで旺盛だった需要が一服していたが、4月に入り若干上向いたとの声が聞かれる。2月、3月は在庫の仕入れが抑えられたため、市中在庫が多少消化された。その分、補充買いが出始めて、荷動きの上向きが実感されているようだ。他の木材製品に比べ堅調な荷動きを背景に、コストを転嫁する動きも出てきた。
欧州産地との今年第2・四半期契約分の交渉は、3月中に一部で輸入完製品の成約が見られたが、大勢は4月に持ち越しとなり、下旬にかけてまとまる見通し。日本側はさらなるコスト高を避けたい意向が強いが、今回は産地の値上げ姿勢が非常に強く、価格の落としどころを探るもみ合いが続く。
さらに、1ユーロ164円に迫りつつある急激な円安も重なり、仕入れコストの一段高は避けられない見込みとなってきた。
フィンランドの港湾ストライキは当初の予定より2週間長引いたため、日本向けの木材製品も3月11日から1ヶ月間、出航が滞った。港湾荷役作業は、ストライキが終結した今月8日に再開した。だが、1ヶ月の作業停止による混乱は大きく、作業再開から10日が過ぎても出荷待ちという状況も聞かれる。そのため、5、6月のフィンランドからの輸入完製品や間柱、ラミナの入荷量は減少することが確実で、大型連休明けも見余りはないとみられている。
【合板・建材】
本州との価格差縮小
九州と本州の針葉樹構造用合板の価格差が縮まっている。九州では従来、12ミリ厚24ミリ厚ともに横ばい、値下がり傾向の本州との差が生じていた。だが、ここにきて九州での価格調整の動きに対し、本州では値上げが打ち出され、買い方は遠方から手当する必要が無くなってきた。
塗装型枠用合板も荷動きに大きな変化は見られない。南洋材製品があるなかで、国産材を活用する合板メーカーは外材リスクなども踏まえた訴求を続けている。
建材も木建ルートは不調だ。住宅向けが振るわないが、大規模ホールに使われる厚物床などは好調で、メーカーも非住宅向けの製品提案を強化している。
◇改正建築物省エネ法 2025年施行関係政令を閣議決定
政府は4月16日、2022年6月に公布された「改正建築物省エネ法」の施行期日、および同法の施行に必要な関係政令を閣議決定した。公布は4月1日。施行は2025年4月1日。
「改正建築物省エネ法」(脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律)では、今年4月1日から建築物の販売・賃貸時における省エネ性能表示、再エネ利用促進区域制度、防火規制の合理化―などが施行されている。これらに加えて25年から、原則すべての新築住宅・非住宅への省エネ基準適合の義務付けや構造規制の合理化、建築基準法に基づく対象の見直しなどを施行する。
2級建築士の設計規模を拡大
省エネ基準適合への義務付けでは、10㎡以下の建築物や比較的容易に省エネ適合性判定が行える場合を除き、建築物エネルギー消費性能確保計画を所管行政庁に提出し、適合性判定を受けることが求められる。
構造規制の合理化では、二級建築士が設計できる建物の規模を拡大。地階を除く階数が3以下で、高さが13mから16m以下の建築物、または建築物の部分を新築する場合に、設計・工事監理を二級建築士が行えるようにする。
また、建築基準法の一部改正に伴って、建築確認を要する木造の建築物が2階数以上、または延べ面積が200㎡を超える木造建築物に拡大される。該当する建築物は工事の着手前に、建築主事の確認により確認済証の交付を受ける必要がある。
法律の施行に伴う関係政令の整備では、▽省エネ基準適合義務を求めない建築の規模を床面積が10㎡以下の建築物とすること▽省エネ基準適合義務の対象拡大に伴う建築物の仕様に応じて求める柱の小径、筋交いなどに係る構造関係規定の整備▽確認を要する建築設備から事故が発生するおそれの少ないホームエレベーターなどを除くこと▽建築主事の事務に関する所要の改正―などについて定める。
◇2024年問題、現場監督「働き方はかえって厳しく」
『建設2024年問題で悪化すると思うこと』を聞いたところ
1位は「適正工期の見直しは難しいため、働き方はかえって厳しくなる」(40.0%)だった。
2位は「ますます若手入社希望者が減少する」(30.5%)
3位は「時間給・日給が減ることになるためむしろ困る」(27.3%)となった。
『建設現場における自身や現場関係者の痛み』を聞いたところ、「週末にも働く(納期厳守や、工程管理が厳しくて休めない)」(59.0%)が突出して1位となった。以下、「前後の工程の都合での手待ち」(41.0%)、「新築の竣工前の変更や手戻り」(40.4%)、「一日の中で実作業時間が足りない、作業効率が悪い」(39.4%)と続いた。
『建設業界で改善して欲しいこと』を年代別で見ると、いずれの年代においても、「給与水準のアップ」と「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正」がトップ2となった。また、20代と30代では「デジタルツールを駆使した業務効率化」が3位となった。
『建設業界で最も深刻と思われる課題』の1位~3位を聞いたところ、1位「人手不足」(65.1%)、2位「高齢化による技術承継」(46.6%)、3位「労働時間が長い・年間休日が少ない」(33.6%)」との結果となった。2023年調査結果と比べると、1、2位の順位は同じだが割合が増加しており、課題が深刻化していることが伺える。また、「労働時間が長い・年間休日が少ない」は、2023年調査結果ではランクインしていなかったが、今回は3位となった。
『デジタル化未対応による仕事の不安』があるか聞いたところ、64.2%が「デジタル化に対応できないと将来仕事が減るのでは、という不安がある」と回答した。
『デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れている業務プロセス』としては、1位の「施工・専門工事」(47.2%)は2023年調査結果よりも6ポイント上昇、2位の「施工管理」(33.2%)は1.7ポイント上昇した。
『使いこなすことができればよいと思うデジタル技術』としては、1位「BIM」(23.5%)、2位「施工管理ツール」(20.5%)」となった。この2つは、他のツールに比べて突出して数値が高かった。なお、「実際にBIM活用している」と回答した割合は34.5%だった。年代別に「実際にBIMを活用している」割合を見ると、30代が70.6%と最多、次いで20代の43.8%となった。
建設業における時間外労働の上限規制の適用開始を指す、『建設2024年問題』の認知を調査したところ、「詳しく把握している」と回答したのは43.3%。業界人1000人に比べて5.6ポイント多かった。年代別に見てみると、30代が「詳しく把握している」(64.7%)との回答が最も多く、20代では「聞いたことがない・知らない」(18.8%)と回答する人が多かった。
◇大容量なポスト機能付き宅配ボックス
ヤマソロ(兵庫県小野市)は、スチール製のポスト機能付き宅配ボックス「Stor(ストア)」をECショップで発売した。
大きな箱型の宅配ボックスを太い円柱の脚が支える、大胆かつノスタルジックなデザインが特徴。
上部は大きな郵便スペースになっており、レターパックやカタログなどをムリなく投函できる。
下部は宅配スペース。扉を開けたときのサイズは幅41.5×奥行29.5×高さ55.5cmと大きく、120サイズの荷物を収納できる。防犯面を考慮して、ダイヤル番号の崩し忘れによる盗難や暗証番号の漏洩を防止する「ゼロリターンキー」を採用している。
アンカーボルトを装備し、地面への固定も可能。
幅47×奥行36×高さ89cm、19kg。ダークグレーとベージュの2色。税込2万6800円。
◇JHS、住宅事業者向け地震保証 修理・建て替えを100%保証
戸建て住宅の地盤調査などを手掛けるジャパンホームシールドは、住宅保証パートナーズと業務提携し、地震による住宅の修理・建て替えを100%保証する住宅事業者向けサービス「あんしん地震保証プレミアム」の販売を開始した。
「あんしん地震保証プレミアム」は、地震の揺れによる建物の倒壊に対して、修理・建て替え補修費用を100%保証するサービス。耐震性能に特長を持つ住宅事業者向けのサービスで、「耐震等級3」の新築物件が対象。物件に「地震建て替え保証付き住宅」という付加価値をつけることで、施主の耐震性能に対する安心感と、リフォーム獲得などの生涯顧客化にも貢献するとしている。また、地盤の液状化調査と合わせて利用することで付加価値をさらに向上させることができる。保証期間は、引き渡しから10年間。