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シンエイ通信【令和6年3月1日作成 171号】

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シンエイ通信【令和6年3月1日作成 171号】

 

◇九州木材商況 

九州の広域ビルダーでは、1月に住宅展示場の来場者数が増加したところもあるが、住宅需要の低迷は払しょくされない。

仕事量はプレカット工場や製材メーカーなど各事業者で多少まだら模様だ。市況については大半が厳しい見方を示し、年度末に向けても「好転するような材料を探しづらい」との声も聞かれる。

木材の荷動きは振るわないが、中・大型製材工場での生産調整は少ないとみられる。需要が盛り上がらないなか、下げすぎた製品価格を上方修正するメーカーがあるが、本格的な値上げが唱えられる雰囲気ではない。

逆に製材メーカーや流通のは、需要者からの値下げ要求が届いている。生産コストの上昇傾向に加え、事業の継続を目指す観点から、製材メーカーなどでは現状価格を守ることに努めている。

国産材製品のうち引き合いが強い品目は限られている。欧州材の入荷量の減少を見据え、国産材製品に代替を求める動きへの期待はあるが、まだ本格化していない。

2023年の九州沖縄8県の新設住宅着工数は9万5985戸となり、前年比で2%程度減少した。

【国産構造材】

需要低迷も減産せず

メーカーや流通などでは仕事量にさがあるが、住宅需要が盛り上がらないなか、荷動きは全体的に振るわない。ただ中・大型製材工場での生産調整の動きは少ないとみられる。

九州北部では杉KD柱の価格は横ばいを維持している。市場では、価格が手頃なB品(含水率高・割れ)などが良く手当されている。需要者からは値下げ要請もあるが、人件費を含め諸経費が上昇するなか、製材メーカーや流通でも極端な値下げには応じられない考えだ。

【国産羽柄材】

荷動きは止まらず

盛り上がりに欠けるが、需要はある。九州北部の一部で筋違寸法をサイズの大きいタルキ材として使用しているため、慢性的な品薄感があるという。

佐賀地域の特別市では、杉グリン小割プレーナー材が人気を集めていて、ほぼ完売している。

一方、同KD小割は野縁など寸法によっては売りづらいものも出た。価格は地域差があるが、九州北部の製品市場で杉同間柱小割など、横ばいの価格で買われている。

【外材】

タイト感緩む

住宅需要の不振で、米松KD平角のタイト感が徐々に薄れている。だが、米松国内挽き製品価格は横ばいで推移している。

同平角・同平角グリン材・KD小割・グリン小割なども横ばいで推移している。

Rウッド集成平角を含め、国産材の各種製品より価格水準は高い。

九州は住宅に使用する木材に占める国産材の割合高く、構造材や小割などに外材を使用する地域は北部の一部に限られる。

流通業者からはウッドショック以降、国産化がさらにさらに進んだとの指摘もある。

【集成材】

米松製材の供給は回復してきたが、集成材へシフトした需要が米松へ戻る動きは今のところ目立たない。しかし、需要の端境期で、集成材の荷動きは一服し不足感も薄れてきた。

国内の集成材メーカーへの引き合いも地域や品目で多少ばらつくが、全体的に落ち着いている

コンテナ船の紅海航路回避などの影響で年明けから、欧州産の集成材やラミナの入荷が予定より3週間~1ヶ月ほど遅れている。そのため、1、2月の輸入完製品の入荷は想定より少ないといわれ、港頭在庫も全国的に通常に比べ低水準となっている模様。それでも不足感が緩和した要因は、在来木造住宅の着工数とプレカット工場の稼働率が落ち込んでいることにある。

集成材の不足感が強かった昨年末までと比べて供給は増えてはいないが、需要が減少したため需給バランスが低い水準で折り合っている。

昨秋から年明けまで不足感を背景に強含んできた相場も、2月に入ると荷動きとともに一服してきた。ただ、下値を切り上げる動きはつづいており、メーカーもユーザーも、今のところ集成材の上げ基調に変わりはないとみている。

相場は、国内Rウッド集成平角・国産Wウッド集成管柱が前月より強保合で、輸入完製品の浮き玉も同水準で引き合いっている。

【合板・建材】

落ち着いた荷動き

針葉樹構造用合板は市況に沿った荷動きで、プレカット工場や販売店なども手当てを急いではいない。

ただ、例年1~3月は閑散期に当たる。このため、合板メーカーは、現在の市況については「教養範囲」との認識を示す一方、依然として減産を続けている。

針葉樹構造用合板価格は横ばいで推移している。戸建て需要が厳しいなか、建材メーカーは非住宅分野の提案を強化している。

地場工務店は受注できない状況が続き、高機能製品は価格帯も高いうえに、ローコスト住宅向けで販売量を伸ばしづらい。

過疎地、高齢者でもできる対策を

◇トラック運転手、10%賃上げ 荷待ち年125時間削減

物流の2024年問題」に思うこと。|永田昭二

 

政府は、トラック運転手が不足する物流業界の「2024年問題」に対応するため、30年度までの物流効率化に関する中長期計画を持ち回りの関係閣僚会議で策定した。国が定める「標準的運賃」の見直しなどにより、24年度の運転手の賃金について、10%程度の引き上げ実現を目指す。また、倉庫前での荷待ちや積み下ろし作業にかかる時間を1人当たり年125時間削減する目標(19年度は750時間)も明記した。

岸田文雄首相は、首相官邸で物流効率化や運転手の賃上げを巡り、業界首脳らと意見交換。「労務費などの適正な価格転嫁により、物流に関わる中小零細事業者の賃金を大幅に引き上げる必要がある」と述べた。

標準的運賃は貨物自動車運送事業法に基づくもので、国土交通省が目安として示している。国交省は運転手の処遇を改善するため、平均で8%引き上げる方針だ。荷物の積み込み作業をはじめ、運送事業者が十分に受け取れていない料金を適正に収受できるようにする対策も併せて実施し、賃上げ原資の確保を後押しする。

また計画では、19年度時点で38%の積載率について、44%に引き上げることも提示。実現に向けて複数の物流事業者が連携して荷物を積む「共同輸送」を推進する。政府は、運転手の賃上げや荷待ち時間の削減などを含め、計画の達成度を毎年度確認する。

労働基準法改正により、今年4月から運転手の時間外労働の規制が強化され、物流の停滞が懸念される。政府はこのままでは30年度に34%の輸送力が不足すると試算。今月には、荷主や物流事業者に対し、荷待ち時間削減に向けた計画の作成を義務付ける物流関連法の改正案を国会に提出した。

◇住宅景況感 受注戸数10期連続マイナス 

住宅生産団体連合会(住団連、東京都千代田区)は、ハウスメーカーなど14社を対象とした「経営者の住宅景況感調査(2023年度第4回)」を報告。第3四半期(23年10~12月)の総受注実績は、受注戸数が-55ポイント、受注金額が+15ポイントとなり、戸数は10期連続のマイナスとなった。金額は価格転嫁が進み2期連続のプラスとなっている。前期に続いて、戸建住宅受注のマイナスを賃貸・リフォーム部門で補う様子が見られた。

第4四半期(24年1~3月)の受注見通しは、受注戸数が-10ポイント、受注金額が+25ポイント。コメントでは戸建住宅について不安感を示す内容が目立ったが、「住宅取得支援策を活用しつつ、ZEH推進など高付加価値提案により前年越えを目指す」といった前向きな意見もあった。

戸建は9期連続のマイナス実績

部門別の実績では、戸建注文住宅の受注戸数が-31ポイント、受注金額が-17ポイントと戸数・金額ともに9期連続のマイナスに。子育てエコホーム支援事業など国の施策への期待感がある一方で、物価高や実質賃金低下や、景気の先行き不安から集客減が長引いているとのマイナス意見が多く見られた。また、エネルギー価格高騰と災害頻発化を背景としたZEH・蓄電池の搭載や、案件の大型化、特殊物件の受注割合が増え、受注単価は上昇傾向にあるとのコメントもあった。

戸建分譲住宅は、受注戸数-6ポイント、受注金額+25ポイントで、戸数は前回のプラスから再びマイナスとなった。低層賃貸住宅は、受注戸数+32ポイント、受注金額+59ポイントとなり、戸数・金額とも2期連続のプラスに。「戸建・分譲賃貸や大型物件が好調」など、大型化・高付加価値化による単価アップを好調要因に挙げるコメントが多かった。その一方で、融資環境が厳しいとの意見も見られた。

リフォームは、受注金額が+17ポイントと好調。補助金制度の後押しもあり、引き続き活発な動きが見られる。資材高騰・景況感悪化などにより、前年並みの実績にとどまる状況も見られた。

リフォームへの期待感高まる

部門別の見通しでは、戸建住宅が受注戸数-4ポイント、受注金額+17ポイントとなり、戸数は2期連続でマイナスの見通しとなった。戸建分譲住宅は、受注戸数±0ポイント、受注金額+19ポイントとなり、金額は3期連続でプラスの見通し。低層賃貸住宅は、受注戸数+18ポイント、受注金額+36ポイントとなった。リフォームは受注金額+46ポイントとなり、見通しとしては12期連続のプラスとなった。

住宅市場の今後の見通しについては、①「所得」は「上がる」が11社に増え、「変わらず」が3社に減った。②「家賃」は「上がる」が7社に増え、「変わらず」と同数となった。③「金利の動向」は「上がる」が10社と大幅に増え、「変わらず」が4社となった。④「資材価格」は「上がる」が9社で変わらなかった。⑤「建築の手間賃」は「上がる」が11社に増え、「変わらず」が3社に減った。⑥「地価の動向」は「上がる」が8社に増え、「安定化」が6社に減った。⑦「展示場来場者数」は、「増える」と「変わらず」の変化は無く、「減る」が6社に減った。⑧「技能職人数(大工)」は「充足」3社に減り、「不足」が11社に増えた。

調査は、令和6年1月上旬に住団連と住団連団体会員の会員企業の経営者にアンケートし、回答を得たもの。回答者は、旭化成ホームズ、一条工務店、大野建設、サンヨーホームズ、スウェーデンハウス、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大東建託、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホーム(敬称略、五十音順)。

受注戸数・受注金額の直近3カ月間の実績と今後3カ月間の見通しを、対前年同期比「10%程度・以上良い、5%程度良い、変わらず、5%程度悪い、10%程度・以上悪い」の5段階で調査。「良い」の割合から「悪い」の割合を差し引いた値を景況感指数として数式に当てはめて数値化している。

◇住宅外観に調和するEV充電器を発売

LIXIL(東京都品川区)は、住宅外観と調和する「EV充電器」と「EVコンセントポール」を3月1日に発売する。

「EV充電器」は、充電ケーブルを搭載しており、充電用コネクタを車に差し込むだけで充電が可能。時短充電が可能な6kWタイプと、スタンダードな3kWタイプの2種類を用意した。LIXILのデザイナーズパーツの枕木材や、機能門柱と組み合わせた外観のコーディネートができる。
本体1色、ポール6色。参考価格32万5000円〜39万7000円(税別)。

EV充電器左:専用ポールと枕木材の組み合わせ 右:機能門柱FWへの取り付け

「EVコンセントポール」は、車載充電ケーブルや自身が用意した充電ケーブルを使うことで求めやすい価格設定のEV・PHEV充電用コンセントポール。好みの場所に設置でき、コンセントはAC200VまたはAC100Vから選べる。
デザイナーズパーツの枕木材100角と同サイズのため、並べて使用可能。
本体1色、ポール6色。参考価格5万55600円(アルミ色/AC200V、税別)。

◇LIFE LABEL、「家づくりアプリ」に画像収集機能を追加

BETSUDAI Inc.TOKYO(東京都港区)は、規格住宅ブランド「LIFE LABEL(ライフレーベル)」から、住宅商品の購入シミュレーションができる「家づくりアプリ」の機能を拡充した。

規格住宅の検討、CGカスタマイズ、見積もりシミュレーション、来店後の住宅購入までのスケジュール管理などができるアプリ。ライフレーベル加盟店にとっては、住宅購入検討層の顕在化とアクティブ化、アプリを通じた見込み客との接点創出・送客の強化、商談効率の向上が期待できるという。