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シンエイ通信【令和3年4月1日作成 136号】
シンエイ通信【令和3年4月1日作成 136号】
■製材・集成材を3,000~5,000円値上げ 中国木材生産制限も
米松・国産材製材最大手の中国木材は、3月22日納品分から米松製品・ハイブリット・ビーム、杉製品を3,000円~5,000円(立方㍍)値上げした。
前回、3月1日受注分から値上げを打ち出したが、4月以降も産地丸太価格の上昇が確実となり、船運賃の値上がりも落ち着く気配がみえないためだ。
コロナ禍のなか、米国の住宅着工数は好調に推移している。日本向け米松丸太輸出価格は2月まで3カ月連続で高止まりしていたが、3月積みは30㌦高となった。さらに4、5,6月積みの急騰は確実とみられている。
供給責任のある同社が希望する数量の丸太集荷に努めるウェアーハウザー社は、丸太不足のなか買材が増え、値上がりが避けられない状況だ。
米国では製品価格が暴騰し、米松丸太需給がひっ迫している。特に西海岸の2x4、4x4の需要はSPFより米松が多い。また、世界的に船不足が表面化しているが、同社が扱う3万6000㌧、3万8000㌧クラスの船は人気が高い。
船運賃は3月積みに比べて4月積みは5・5配分で1億円以上という近年にない大幅高となり、5、6月積みも値上がりが濃厚だ。
日本国内では競合する欧州産構造材も強基調にあり、供給タイトが著しい米松小割やホワイトウッド集成管柱・間柱等の代替えとなる杉製品も丸太が値上がりし集荷が厳しくなり始めた。
急速な丸太仕入れコストの上昇、市場の製品供給不足が進み、同社は22日納品分から、米松・杉KD・集成材 製品の価格改定を発表した。
米松KD正角・KD小割は、今回で昨年10月から半年の間に4回目の価格改定となる。
ドライビーム(正角・平角)や米松小割(垂木・筋違)は、5,000円/立方㍍高、米松グリン材(正角・平角・垂木・筋違)3,000円/立方㍍高、米松集成材20,000円/立方㍍高、ハイブリットビーム5,000円/立方㍍高。杉製品は、杉集成柱、杉KD間柱、杉KD垂木5,000円/立方㍍高。
非住宅向けで人気のある米松集成材(E135)は、140,000円/立方㍍(プレカット工場着)となっている。
極端な供給不足が続く米松製品・杉製品・乾燥小割製品、今後も値上がりが更に続く。
今後、各問屋・プレカット工場に対して、米松・杉・小割乾燥製品の販売が制限されると思われる。
これからは、段取りが遅いと発注自体遅れる。そうなれば、間違いなく供給できないため工事自体がストップする可能性も出てくる。
■防水工事事業、戸建て向け開始 日本アクア
日本アクアは、超速硬化が特徴の防水システム「アクアハジクン」の木造戸建て向け販売を本格的に開始する。
同社が販売している吹付式ウレタン断熱材、アクアフォームの施工会社であれば同じ吹付け機械をりようできるため、施工力を利用した安定した供給が可能となる。同社は300社以上の認定施工店と提携し、現在吹き付け機械は480台規模まで拡充している。
この圧倒的な施工力を武器に、強度、施工性、コスト競争力に優れているアクアハジクンの本格販売に乗り出す。
アクアハジクンはポリウレア樹脂を利用した防水システム。ポリウレア防水材は強度と耐久性に優れており、米国では軍事施設の防爆対策にも利用されている。
アクアハジクンは、ポリウレアの強度、耐久性、超速の硬化性能を発揮する防水材だが、このほど国土交通省から飛び火認定を取得。これにより、防水地域、準防火地域の建築物に利用できるようになった。
また住宅瑕疵担保責任保険法人の保証を受けられる瑕疵担保履行法の3条確認も、住宅保証機構をはじめとした5つの保険法人から取得した。これにより木造住宅向け販売に弾みが付くと考えられる。
防水構造は、プライマー、ポリウレア、トップコートというシンプルなもの。シート張り直し等も不要で補修も簡単に行える。
木造戸建ての施工対象部位は、ベランダや屋上、屋根など。木造住宅のベランダの防水工事ではこれまで、FRP(繊維強化プラスチック)防水材が使われていることが多かった。FRP防水材の工事が基本的には手作業で行われるのに対して、アクアハジクンは機械を使って施工する。また、スプレー吹き付けてから数秒後にはその上を歩けるようになるという超速の効果性能があり、1日で数百平方メートルの施工が可能になった。
今期は、アクアフォームを静養している住宅のベランダ防水工事にアクアハジクンを提案するといったセット販売を働きかける。価格も、FRP防水材と同等水準で販売していく考えだ。
施工業者向けにも研修会、勉強会などを実施し、施工力をさらに強化していく。
■公示地価、6年ぶりマイナス リーマン以来の下落幅
国土交通省が23日発表した公示地価(1月1日時点)は全用途の全国平均が前年比マイナス0・5%で、6年ぶりに下落した。
前年上昇率と今回下落率との差は1・9ポイントで、リーマン・ショック後の平成21年以来の下落幅。
新型コロナウイルス禍で土地需要が減退し、大都市の商業地を直撃した。
変動率マイナスは商業地が39都府県、住宅地は38都府県に拡大した。昨年後半は新型コロナ感染の落ち着きで地価も持ち直し傾向にあったが、今年1月の緊急事態宣言の発令以降、再び弱含んでおり、本格的な回復は当面難しそうだ。
商業地はマイナス0・8%で7年ぶりに下落。観光地のホテルや繁華街店舗から客足が遠のき収益が悪化、オフィス撤退を含め需要が低迷した。
前年まで上昇基調を強めていた三大都市圏は反動も大きく、下落率は1・3%。大阪圏は1・8%で、全国の商業地下落率上位10地点は大阪市中央区・道頓堀の28・0%を筆頭に8地点を同区が占めた。
地方圏も4年ぶりに下げたが下落率は0・5%。札幌、仙台、広島、福岡の主要4市は再開発地域が牽引(けんいん)し、プラス3・1%だった。
全国の住宅地はマイナス0・4%で下げは5年ぶり。雇用情勢悪化で高価格帯の購入を避ける動きが出た。三大都市圏はマイナス0・6%で、交通が便利なエリアは上昇を続けたが範囲は狭まった。
地方圏はマイナス0・3%だった。工業地はプラスを維持し0・8%上昇。インターネット通販拡大に伴う物流施設用地の需要が支えた。
上昇率1位は商業、住宅地ともスキーリゾート開発が続く北海道倶知安町(くっちゃんちょう)。
最高価格は15年続けて東京都中央区の「山野楽器銀座本店」だが、1平方メートル当たり5360万円と410万円下がった。
公示地価 地価公示法に基づいて国土交通省が公表する毎年1月1日時点の土地価格。
一般の土地取引や公共事業の用地取得、固定資産税評価の目安として使われる。対象地点は全国の住宅地や商業地、工業地など計2万6000カ所(うち福島県の7カ所は原発事故の影響で休止)。不動産鑑定士が1平方メートル当たりの価格を調べる。
土地価格はほかに、都道府県が公表する基準地価(7月1日時点)、国税庁が公示地価に基づき算出する主要道路沿いの路線価(1月1日時点)がある。
■杉無垢材の抗ウィルス効果実証 新建材に比べ感染力を99.9%低下
国産木材が住環境において人の健康に与える効果を科学的に検証しながら、家づくりに生かそうと取り組む全国の工務店と九州大学などでつくる協同組合「木の家の健康を研究する会」(理事長=安成信次・安成工務店社長)は、国産杉の無垢板材の表面の抗ウィルス効果を確かめる実験を行い、このほど「新建材(樹脂建材)と比較してウイルス感染力を99.9%以上低下させる効果がある」と実験結果を公表した。
実験を行った同大農学研究員環境農学部門の清水邦義准教授は「ワクチン接種に限らず、住環境の側面からウィルス対策を促すきっかけになる」と話す。
実験は、1cm角の天然乾燥と高温乾燥した大分県産「津江杉」の無垢材、新建材それぞれに、インフルエンザウイルスを適下し、2時間後ウイルス液を回収し感染力を評価した。
同組合理事長の安成さんは「家づくりに杉の無垢材を使用することで抗ウイルス効果があることを立証できた」とし「新型コロナの流行によって感染対策、健康に対するニーズが高まっている中、地域で自然素材型住宅を手掛ける工務店にとっては追い風となる結果だ。ハウスメーカーがうたう健康住宅とは異なり、工務店がエビデンスを示しながら、生活者に効果と優位性を発信し差別化できるようになった」と強調する。
■大工を「かっこいい・稼げる・革新的」の新3K職種に
シエルホーム名で住宅会社を展開するホリエは、「きつい・汚い・危険」の3Kと言われる大工のイメージを「かっこいい・稼げる・革新的」の新3Kに変えて、若い大工たちに夢ややりがいを感じながら働いてもらおうと、様々な取組みを行っている。約5年前から社員大工を組織し「シエル・クラフトマンズ」と名付けて、若手の育成に力を入れるとともに自社のブランディングにも生かす。2021年度中には社内「大工育成塾」を設置して、さらに育成を促進しる計画だ。
同社は今後、事業エリアの拡大や非住宅施設部門の強化を想定しており、社長の堀江龍弘さんは、そうした戦略の根幹を支えるのが高い技術レベルの大工集団だと考えている。
現場でイキイキと働きながら、腕を磨く若い大工たち。業界の慣習にとらわれないやり方で、大工を『カッコいい・稼げる・革新的』な新3K職種にしたいと意気込む若者たち。
SHIN-EI社員大工は、現在2名、見習い2名、技能実習生5名で日々責任のある仕事を任されている。