シンエイ通信

シンエイ通信【令和2年1月31日作成 122号】

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令和2年1月31日作成 122号


■ 「居住支援全国サミット」

 
国土交通省は3月10日(火)、厚生労働省と共催で「居住支援全国サミット」を開催。本サミットは、高齢者、子育て世帯、障害者等の住宅確保要配慮者に対する居住支援の強化を図る目的から、国における居住や福祉に関する施策と各地の居住支援協議会で行っている先進的な取組みに関する情報提供の場として、平成24年度より毎年開催しており、今年で8回目となる。
■ 「次世代住宅ポイント制度」昨年12月末状況

 国土交通省は1月17日、消費税率10%への引き上げ後の住宅購入等を支援する「次世代住宅ポイント制度」の昨年12月末実施状況を公表した。累計の申請受付戸数は、
➊新築が6万1255戸、➋リフォームが6万1953戸の➊➋合計12万3208戸。審査の結果、発行した戸数/ポイント数は、新築が4万4172戸/153億356万4000ポイント、リフォームが2万7659戸/13億3321万5000ポイント、合計7万1831戸/166億3677万9000ポイントだった。

ポイント発行申請期限は3月31日。申請期限前であっても、予算額に達し次第終了となる。

■ 「発信型三方よし経営」の実現を

 持続可能な開発に向け2030年までに達成する17のグローバル目標と169のターゲット(具体的な目標)を掲げるSDGsを取り入れた経営や家づくりが、地域工務店にも広がる兆しを見せている。2020年は、この流れがさらに加速すると見られる。

ビジネスとSDGsとの関係に詳しい、社会情報大学院大学の客員教授で、CSR・SDGsコンサルタントの笹谷秀光さんは、「SDGsという横文字にたじろぐ必要はない。例えば地域の工務店なら、・・・・自社と施主と地域の三方よしの経営の発展型とも言える“発信型(開示型)三方よし経営”こそがSDGs的な経営に他ならない」と説く。工務店経営者がSDGsを理解した上で、スムーズに自社に導入し、定着させるためには何が必要か・・・・

■ ベタ基礎をPC化

 徳島県西部を商圏として新築住宅を年間約20棟手がける松島組(吉野川市、松島清照社長)は、住宅用のベタ基礎工事を大幅に効率化する独自のプレキャスト(PC)コンクリート部材を用いた工法を開発した。通常の「現場打ち」と比べて工期を3分の1に短縮、コストも15%削減できるという。同社では、基礎工事の職人不足による工期遅延や資材価格高騰による粗利の低下などへの改善策として、全国の工務店に向けた供給も視野に入れる。
 
独自開発したPC部材は、ベタ基礎コンクリートのベース・立ち上がりを工場で一体成形するもの。重ね継ぎ手用に鉄筋長さ550㎜がタテ・ヨコ200㎜間隔で突き出す。形状はL型・I型・T型の3種類。それぞれ底面に根入れ(深さ150㎜厚)を設けた外周用と、底面が平坦な内部用の2種類があり、合計6タイプの部材で構成する。

 例えば、延べ床面積30坪・総2階建ての住宅であれば、PC部材をL型4つ、I型2つ、T型2つと全8部材が使える。トラックで現場に持ち込んだPC部材を配置するのにかかる時間は1部材約10分。住宅1棟分でも1~2時間で完了する。
 これにより現場の鉄筋配筋を半日で終え、基礎配筋検査ができれば、それ以降は、型枠工事を1日、コンクリート打設を1日で進められ、捨てコン・墨出しからコンクリート打設完了まで1棟にかかる作業日数は3~4日で済む。一般的な現場打ちが1週間~10日間かかるのに比べ、工期を3分の1近くまで短縮できる。
コストも部材製造を含め全体で15%削減できるという。
■ 既存住宅流通量7年連続の増加

 大手不動産仲介業者などで構成する不動産流通経営協会は1月22日、「既存住宅流通量の地域別推計について」と題した調査報告を発表した。所有権移転登記数などから既存住宅の流通推計量を算出した他、住宅取引における既存住宅流通比率も示した。2018年(暫定値)の全国の既存住宅流通推計量は、前年比105件増の59万7658件で、7年連続の増加。新設住宅着工が低迷した影響もあり、既存住宅流通比率は前年比0.5ポイント増の38.8%で2年連続増となった。
 
 
都道府県別に見ると既存住宅流通量が最も多いのは、東京都の14万4000件で前年比約3000件増。次いで大阪府が約1000件減の5万9000件、神奈川県が約3000件減の5万6000件。既存住宅流通比率は、新築住宅の供給が伝統的に少ない京都府が1.1ポイント減の54.2%。そして兵庫県が6.1ポイント増の51.9%で、この2府県は過半数を超えた。次いで東京都が1.3ポイント増の49.8%となった。兵庫県は新設住宅着工数が約4000件の減少に対し、既存住宅流通推計量は4000件増加。比率が大幅にアップした。
■ LDKリフォームで中高齢者の調理意欲増加
 積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所と同所内の生涯健康脳住宅研究所はこのほど、「リフォームによる中高齢者の健康効果の調査」を実施し、その結果を発表した。LDKリフォームの前後で生活状況や心身の変化があったかを10項目で質問したところ、キッチンを含むLDK全体をリフォームした人では、「調理が億劫だと思う」が5.2点から2.4点に減少。一方、「気持ちが明るい」「生活が楽しい」「モノを片付けやすい」「親族・友人などを招きたい」といった項目では良い影響が見られた。
 断熱リフォームの前後では、快適性が増したリビングに家族が集まりやすくなり、会話も増加したことがわかった。「寒さ・暑さを感じること」が、リフォーム前は6.3点だったのに対しリフォーム後は3.3点に減った。
 玄関まわりリフォームの前後の変化を尋ねたところ、「外出するのが楽しみ」「友人・知人との交流を積極的にしたい」の2項目で点数が増加。玄関リフォームで安心して外出できる環境が整ったことで、周囲との付き合いにも積極性が生まれたと考えられるとする。
 水まわり(洗面・浴室・トイレ)リフォームの前後の変化を尋ねたところ、「入浴が楽しみ」「安心して入浴できる」「浴室掃除がしやすい」「リラックスできる」「気持ちが明るい」「生活全般に活気がある」「目覚めがよい」「寝つきが良い」の8項目で点数が増加した。
 調査期間は、2018年8月19日~9月9日。調査対象は、セキスイハイムに居住する中高齢者で、2017年~2018年にリフォームを実施した人。有効回答は54件。リフォーム前後の生活状況について主観評価(0~10点の10段階)で回答してもらい比較を行った。

■ 民間電力取引所で卒FIT住宅太陽光活用も

 住友林業やソニー、日立製作所など52社が出資するデジタルグリッドは、2月に国内初となる民間電力取引所を開設する。再生可能エネルギー由来の電力を指定して調達することもでき、2019年11月以降、固定価格買取制度(FIT)が順次終了していく中、住宅の太陽光発電の有効活用としても期待される。

 取引所では発電事業者と電気を求める購入希望者のマッチングを図る。最初は1年単位の相対取引が行われ、徐々にリアルタイムでの短期的な取引も行っていく計画としている。使用電力を再エネ電力に限る企業もあり、再エネ供給を行っている販売元を探せる場として取引所の活用が見込まれる。逆に有力な販売元として、住宅の屋根などに取り付けられた太陽光発電システムによる余剰電力をまとめて買い取り、販売する住宅事業者なども予想されるという。

 再エネ電力は企業の継続的な購入以外にも、イベントをカーボンオフセットで行うといったスポット需要もある。デジタルグリッドの民間取引所では、多様なニーズに応えた再エネ電力のやりとりをスムーズに行えるように進めていく方針だ。

■ 最大4人でのビデオチャット機能
 キッズウェイ・大和ハウス工業・フジタは、建設現場や社内コミュニケーションに使えるクラウド型の管理アプリ「CONNET(コネット)」を共同開発。1月20日にキッズウェイから発売した。
iOSまたはAndroid搭載スマートフォン・タブレットに対応。
 最大4人でのビデオチャット機能により、ユーザー同士が離れた場所にいてもリアルタイムで状況を共有することができる。
また、ホワイトボード機能は、撮影した写真に双方で書き込みをしながら通話が可能。より正確な指示ができるほか、クラウドに保存した画像は進捗管理に利用することができる。

■ リフォーム用住宅ローン金利
 住宅金融支援機構のリフォーム用住宅ローン金利「フラット35リノベ」は、2020年度から要件緩和を行う。既存ストックの有効活用、リフォーム支援を推進する。現状の制度では、新築向けの金利優遇制度「フラット35S」の基準達成を既存住宅改修でも求めている。これを、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性といった性能向上のための改修であること、さらに改修費用が200万円以上となることを条件として、金利を0・5%引き下げる。
■ 実証都市「コネクティッド・シティ」

 トヨタ自動車は7日、アメリカ・ラスベガスで開催中のCES2020内で、あらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」を東富士(静岡県裾野市)に設置すると発表した。実証都市は「WovenCity(ウーブン・シティ)」と名付け、2021年初頭より着工予定という。都市設計はデンマーク出身の建築家・ビャルケ・インゲルス氏が担当する。2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本東富士工場の跡地を利用する。規模は175エーカー(約70.8万平方㍍)。初期は、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者をはじめ、約2千人の住民が暮らすことを想定しているという。
【豊田章男社長はこの様に話している】
 トヨタは、最初、織機メーカーでした。クルマづくりから始めたわけではなく、布を織ることから始めました。そして今、私たちの技術を使って、新しい種類の街を、そして人生を楽しむ新しい方法を織りなそうとしています。
「Mobilityfor All」(すべての人に移動の自由を)に取り組んでいる会社として、またグローバル企業市民として、特にトヨタのような会社は、世の中をより良くしていくために役割を果たさなければいけないと考えています