シンエイ通信

シンエイ通信【令和元年5月31日作成 114号】

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令和元年5月31日作成 114号


■ 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業
 5月22日、「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業」の募集を開始した。新たな住宅セーフティネット制度の枠組みのもと、既存住宅等を改修して住宅確保要配慮者専用の住宅とする民間事業者等を支援するもの。
 主な要件は、「住宅確保要配慮者専用の住宅として登録すること」「公営住宅に準じた家賃の額以下であること」「住宅確保要配慮者専用住宅としての管理期間が10年以上であること」等。
 補助対象工事は、①共同居住用の住居とするための改修・間取り変更、②バリアフリー改修(外構部分のバリアフリー化含む)、③防火・消火対策工事、④子育て世帯対応改修工事、⑤耐震改修、⑥居住のために最低限必要と認められた工事、等。
 補助率は3分の1(上限50万円/戸)。ただし、①、②の外構部分のバリアフリー化、③、④、⑤ のいずれかを実施する場合、上限100万円/戸。応募期限は2020年2月28日。
■ 「電気料金」に関する意識

 「電気料金」に関する意識調査の結果をトレンド総研が発表した。「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)の認知度を調べたところ、「名前も内容も知っていた」人は22%にとどまり、53%の人は「そのような制度があること自体、知らなかった」と回答した。また、「再エネ賦課金」が年々上昇している事実についても、87%が「知らなかった」と答えた。
 標準的な家庭における「再エネ賦課金」の利用者負担額(年間約1万円)について、どのように感じるかを聞いたところ、63%が「高いと思う」と答えた。また、今後も増え続けることで家計の負担につながると感じるかを質問すると、「現在の金額ですでに負担に感じる」が29%、「今後増えると負担に感じる」が55%となり、合計84%の人が「再エネ賦課金」の増加を家計の負担につながると感じていた。
 「再エネ賦課金」を年間でどのくらいの金額まで許容できるかを聞いたところ、「年間1200円(月100円)未満」(47%)、「年間6000円(月500円)未満」(40%)が多かった。

 同調査は4月26日~5月8日の期間、20~30代の男女500名を対象に実施したもの。

■ 住宅数概数

 総務省は4月26日、2018年住宅・土地統計調査の住宅数概数集計結果を発表した。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と、0.1ポイント上昇し、過去最高を更新した。総住宅数は6242万戸で、2013年と比べ、179万戸増えた。空き家数は846万戸と、同26万戸増加。
 空き家数の内訳をみると、「賃貸用の住宅」や「売却用の住宅」、別荘などの「二次的住宅」を除いた「その他の住宅」は、347万戸と、2013年に比べ29万戸増加した。「賃貸用の住宅」は431万戸と、2万戸増加した。「売却用の住宅」は29万戸と1万戸減、「二次的住宅」は38万戸と3万戸減少した。
■ 「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」

 国土交通省は5月22日、「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」の募集を開始した。ライフステージに応じて変化する居住ニーズに対応し、高齢者、障害者、子育て世帯など、誰もが安心して暮らせる住環境の整備を促進するため、モデル的な取組みを行う民間事業者等を公募し、先導的な事業を支援するもの。

 「課題設定型」「事業者提案型」「事業育成型」の3タイプで事業を募集する。
 
 課題設定型では、「多様な世帯の互助を促進する地域交流拠点の整備」「効果的に見守る高齢者向け住宅の整備」「長く健康に暮らせる高齢者住宅の整備」「早めの住み替えやリフォームに関する相談機能の整備」「住宅団地の再生につながる地域の居住継続機能の整備」の5つのテーマ課題に対する取組を支援する。事業者提案型では、事業者が事業テーマを提案して行う先導的な取組への支援を行う。事業育成型では、課題設定型と事業者提案型の事業化に向けた調査・検討に対して支援する。
 
 補助率は、建設工事費(建設・取得)=10分の1、改修工事費=3分の2、技術の検証費=3分の2、など。

 事業の選定は、評価委員会(提案者によるプレゼンテーションも予定)での評価・審査を踏まえて行う。

 応募期限は9月30日。なお、7月16日までに提出した分は8月下旬を目処に、9月30日までに提出した分は11月上旬を目処に選定する。
■ トヨタとパナソニックが合弁会社設立

 2020年1月7日、年間新設戸建て住宅棟数1万7000戸の巨大住宅会社「プライムライフテクノロジーズ」が誕生する。

 親会社はトヨタ自動車とパナソニックで、合弁会社に対する両社の出資比率は同一。街づくり事業に関連する覚書を締結した三井物産の出資も検討していく。
 
 トヨタ自動車は子会社のトヨタホームに加え、ミサワホームを株式交換で全額出資とした上で新会社に移管。ミサワホームは2019年12月末に上場廃止となる。パナソニックはパナソニックホームズなどを新会社に移管する。新会社「プライムライフテクノロジーズ」として、トヨタホームとミサワホーム、パナソニックホームズ、パナソニック建設エンジニアリング、松村組の5社を統合する。

 今後、新設住宅着工戸数の減少に伴う競争激化が予想される住宅事業において、合併により事業基盤を固めつつ、今後成長が期待される街づくり事業の強化を図る。

 新会社の主な事業内容は住宅、建設、街づくりの3分野。自動運転システムや住宅のIoT化等のテクノロジーの急速な高度化が、住宅・不動産業界に100年に一度の変化をもたらすととらえ、すでにIT事業者など異業種が住まいや街づくりに参入している現状、トヨタ自動車とパナソニックのテクノロジーを活用し、街全体で暮らしの新たな価値提供をめざすのが新会社設立の目的だ。本社は東京に置き、社長にはパナソニックの専務執行役員である北野亮氏が就任予定。

 IT会社が、アプリやデータによる情報サービス提供をとっかかりに住宅や街づくり事業に参入しているのに対し、新会社は住宅・不動産事業者として街づくり・住宅による快適で便利な空間提供をしつつ、生活者にデータやアプリを活用した便利な生活情報提供する事業を拡大していく。「人々の暮らしを支える全てのモノ、サービスが情報でつながるコネクティッド・シティからみた街づくり・住宅づくり事業こそが、新築住宅市場の縮小に危機感を感じる住宅・不動産事業者の新た価値提供の場」としてとらえる。

 住宅事業では、トヨタホームやミサワホーム、パナソニックホームズのブランドは変えずに事業を継続し、資材調達や物流などのバックヤードを共通化することで、コストダウンを図っていく。

 株主会社であるトヨタ自動車とパナソニックにとって戦略上の重要な課題となる街づくり事業でも、トヨタホームやミサワホーム、パナソニックホームズが主体となり、新しい価値を提供していく。

 
 例えば、高速道路インターチェンジ近隣など住宅地に不向きな土地に対し、生活を支えるサービスインフラを充実させるなどの高付加価値化を進める宅地造成事業を行なっていく。
■ 「防災・災害意識と住まい調査」
 積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所は5月15日、災害についての実態を調べた「防災・災害意識と住まい調査」の結果を発表した。5年以内に持家戸建を取得済みの“被災経験者”と、持家取得を計画している“被災経験者”の25歳以上既婚者を対象としたもの。サンプル数は1403件。
 被災時の停電経験の有無を聞いたところ、「経験あり」が70%にのぼった。災害別内訳は、地震が85%、水害が69%、台風が69%だった。また、断水の「経験あり」は43%で、内訳は地震が64%、水害が43%、台風が29%だった。
 災害時に困ったことを聞いたところ、全体では「家の片付け、掃除」が26.6%となり、「特になし」(31.8%)を除いて最多。次いで、「停電、計画停電で自宅の電気が使えない」、「食料の入手」、「飲み水の入手」、「自宅の水洗トイレが使えない」などが続いた。災害別では、停電経験者で「停電、計画停電で自宅の電気が使えない」(31.2%)、断水経験者で「自宅の水洗トイレが使えない」(38.5%)がそれぞれ最も多かった。災害に備えておいて回避できたことは、トイレットペーパーなどの日用品入手、飲み水の入手などが多かった。

■ 住宅所有者、住み替えるなら?

 リビン・テクノロジーズは、同社が運営する不動産関連の比較査定サイト「リビンマッチ」を利用した自宅を所有している20歳以上の男女358人を対象に調査した「住み替えるなら購入か賃貸か」の結果を発表した。それによると、もし住み替えるなら「また購入する」と答えた人は68.7%だった。
「購入」と回答した人に理由を聞いたところ、「自分の資産になる」(44.7%)が最も多く、「家賃を払うのがもったいない」「子どもに残せる」(ともに37.4%)、「満足感や安心感が得られる」(27.2%)、「ペットを飼える」(19.9%)、「社会的信用を得られる」(8.5%)が続いた。「資産になる」「子どもに残せる」と回答した人は63.4%にのぼり、自宅を“資産”と考えている人が多いことがわかった。
 一方、「賃貸」と回答した人の理由は、「家のメンテナンスが不要」(57.1%)、「固定資産税の支払いがない」(50.9%)が半数以上をしめた。続いて「ライフスタイルに合わせた住み替えが可能」(38.4%)、「ローンがないので破綻リスクがない」(33.0%)、「収入がダウンしても住み替えで対応可能」(28.6%)で、将来の変化に柔軟に対応できる点が「賃貸」を選択する理由となっていた。「その他」(4.5%)には「財産を残したくない」「高齢なのでローンが組めない」「購入したものは収益物件で、自分は賃貸」などがあった。

 「コンパクトな家に住める」は25.9%で、収納量の多い広い家よりもコンパクトな空間でのシンプルな生活を選ぶ人が近年増えている。