シンエイ通信

シンエイ通信【平成30年6月30日作成 103号】

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平成30年6月30日作成 103号


■ 5月の新設住宅着工戸数
国土交通省が発表した2018年度5月の新設住宅着工戸数は、前年度比1・3%増の7万9539戸で、2ヵ月連続の増加となった。季節調整済み年率換算値は99万6千戸。


 利用関係別にみると、持ち家は2・2%減の2万3321戸となり、4ヵ月連続で減少した。貸家も5・7%減の3万1083戸と減少。12ヵ月連続のマイナス推移となった。

 分譲住宅は12・2%増の2万3944戸。このうちマンションが20・7%増の1万1861戸となり、2ヵ月連続の増加となった。戸建住宅は5・8%増の1万1944戸で、2ヵ月連続のプラスとなった。

■ TOSTEMブランド窓リフォームカバー工法『新リプラス』

 LIXIL(東京都千代田区、瀬戸欣哉社長)は18日、3階以下の既存住宅用外窓(=外壁に取り付けられる窓)交換商品として新たにアルミ樹脂複合窓の「縦すべり出し窓」と「横すべり出し窓」を追加し、2017年3月発売で既存商品の複合窓「引違い窓」と合わせてTOSTEMブランドの新しい窓リフォームカバー工法『新リプラス』(以下リプラス、木造、RC造、ALC造、鉄骨造に対応)としてリリースした。

複合窓としての断熱性のほか、外壁側にモールを使用しないシンプルな外観のデザイン性と、室内から行える施工性が特徴。同社の外窓交換のカバー工法には既存の『リフレム2.』があり、『リフレム2.』は現行の『リプラス』で対応できない窓交換も行える。

このため同社ではカバー工法のラインアップとして2本立てとするが、エンドユーザーへのデザイン性、事業者への施工性の訴求に優れる『リプラス』を軸に訴求していくものと予想される。
■ 「Zeniya」PB商品を展開

 最近の総合スーパーなどの小売店では、メーカーに製造を委託した商品を自社ブラントとして販売するプライベート・ブランド(PB)が当たり前のように店頭に並ぶ時代になった。日常的に消費される食料品や日用品をはじめ、衣料品、電化製品でも市場が拡大している。すてきナイスグループ(横浜市鶴見区、木暮博雄社長)では、建築資材事業と住宅事業の双方を担っている強みを生かし、「Zeniya(ゼニヤ)」ブランドを中心とする複数のPB商品を展開。「ゼニヤ」は現在、基礎資材や副資材、内装建材など170種類、3900品番まで拡大させている。同社では、既存商品にない付加価値を付けた商品提案をしていくことで、1棟当たりの納材を増やすことを目指す。一方、メーカーにとっては販路拡大にもつながるうえ、エンドユーザーにとっても求める商品が比較的安価に入手できるなどのメリットがあることから、今後もさらに利便性を高めることで取扱商品数を拡大し、ビルダーや工務店向けの外販を強化していく考えだ。
■ ヤマダ電器 エスバイエル完全子会社化


 ヤマダ電機(群馬県高崎市、桑野光正社長)は15日、ヤマダ・エスバイエルホーム(宮原年明社長、以下、エスバイエル)を株式交換で完全子会社化することを同日開催の両社の取締役会で決議したと発表した。エスバイエルは8月29日付で上場廃止となる予定だ。ヤマダ電機によると、エスバイエルのブランドや「小堀」ブランドは維持・継続するという。
■ 2030年の新設住宅着工戸数は


 野村総合研究所(NRI)は13日、人口・世帯数減少が本格化する2030年の新設住宅着工戸数は約60万戸になるとの見通しを発表した。持ち家は20万戸の予測。総務省の統計結果から想定よりも世帯数が減少しなかったことから、昨夏の発表値を上方修正した。また、大工人数は、15年の約35万人から30年には約21万人に減少すると推計。生産性を1・4倍に引き上げる必要があると強調した。
■ 高級・超高級システムキッチン市場へ

 クリナップ(東京都荒川区)は18日、4月に社長に就いた竹内宏氏を囲む「クリナップ新社長記者懇談会」を開催した。同社は2018年3月期に前中期3ヵ年経営計画が終了、4月から竹内新体制のもとで高級・超高級システムキッチン市場への本格参入を軸とする新中期3ヵ年経営計画へと乗り出している。ただ、その船出は、減収と大幅な減益となった前期業績を起点とする厳しいものだ。竹内新社長は懇談会冒頭の挨拶で営業現場一筋に36年間過ごした自身の経歴にふれ、「やらなければいけないのは、業績をいかに回復させるかだ」と語った。
■ 大手住宅メーカー・ランキング

 大手住宅メーカー・ランキングによると、2017年度(対象11社、積水ハウスは1月期、ヤマダ・エスバイエルホームは2月期、その他が3月期)の総販売戸数(戸建て、アパート、マンションの合計)は、3年連続で大和ハウス工業がトップだった。2位の積水ハウス、3位の旭化成ホームズは変わらずだが、アパートの実績を戸数から棟数に変更した積水化学工業住宅カンパニーの総販売戸数(棟数)が下がった結果、パナソニックホームズが4位に躍り出た。一方、6位のミサワホームを子会社化した8位のトヨタホームは、両社合計で3位の旭化成ホームズに迫る結果となった。
■ 2018年版土地白書

 
 国土交通省は2018年版土地白書をまとめ、土地の資産性に対する国民の意識が大きく変化し、預貯金や株式に比べて有利な資産と捉えない傾向が顕著になっていると強調した。土地が預貯金や株式に比べて有利な資産か尋ね「そう思う」と回答した割合は1993年に61・8%だったが、2017年には30・2%と半分以下に減少した。「そうは思わない」の回答は21・3%から40・5%へと倍増近くに伸びていた。一方で持ち家志向も根強く残っていることがわかった。
■ 建設工事において下請負人まで安全衛生経費

 国土交通省は、建設工事において下請負人まで安全衛生経費が確実に支払われるようにするための施策立案を目的とする議論を開始した。発注者から、元請け、下請けへと正しく支払われるような仕組みの構築を目指す。7日、「建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会」の第一回会合を開催。安全衛生経費の確保に関する実態調査の結果を踏まえ、安全衛生経費について(1)定義(2)実効性ある施策(3)民間発注者の理解を得るための方策を論点に議論を進める。今後数回の議論を重ね、2019年のできるだけ早い段階でとりまとめる予定。具体的な施策を打ち出す考えだ。
■ 労働安全衛生法令の改正

 厚生労働省は、建設現場での転落事故を防止・抑制するため、労働安全衛生法令の改正を視野に入れた議論を開始した。5月31日に行われた「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合」は、芝浦工業大学建築学部の蟹澤宏剛教授を座長に、転落事故の概要を基に、足場や屋根・屋上からの転落を防ぐための対策を議論した。議論では、費用を惜しむことが死亡事故につながっているとして足場設置の義務化を求める声と、住宅建築現場など設置できない場合もあることを指摘する意見が示された。
■ 2017年度リフォーム市場
 
 矢野経済研究所は、2018年1~3月の住宅リフォーム市場規模(速報値)として、前年同期比7・6%減の1兆1946億円と推計した。この結果から17年度(17年4月~18年3月)は、前年度比1・7%減となる6兆1375億円と算出した。同社では落ち込みの理由として需要の先送りを挙げる。一方で18年秋頃からは消費増税を前にして大型リフォームの需要が顕在化すると見込む。また、民泊向けなど住宅リフォーム需要そのものが多様化しているなか、その対応力が求められていると指摘した。