■九州北部豪雨の被害と地球温暖化
九州北部豪雨の被害にあわれた方々へ謹んでお見舞い申し上げます。
今回の九州北部豪雨の被害額は1200億円近くに上ることが判明しました。
「九州北部豪雨」で被害を拡大した要因の1つが「流木」です。
「九州北部豪雨」の被災地に押し寄せた流木。福岡県だけで少なくとも20万トン、50メートルプール144杯分に相当すると推定されています。
山の至るところで土砂崩れが起き、大量の流木が発生。住宅などへの被害を拡大したうえ、救助や復旧活動の妨げにもなりました。
深刻な被害を受けた福岡県朝倉市の杷木林田地区では、地区を流れる赤谷川が広い範囲で氾濫し、多くの家屋が流木に破壊されました。橋に流木がたまって流れをふさいだことで、川が氾濫したり川の流れが大きく変わったりする現象が多発したと考えられています。
流れが変わったことでもともと川から離れていた家にも水が流れ込んだり、流木が押し寄せたりして被害が出ました。流木が水をせきとめたことで予想もしなかったところに水が流れてきたとのことです。
被災地の各地で猛威をふるった流木。土木学会の調査団で九州大学大学院の矢野真一郎教授は、大分県日田市の花月川にあり、今回の豪雨で流されたJRの鉄橋に注目しています。
矢野教授は、現地調査の結果などから橋脚に流木がたまったことで予想外の大きな力がかかったことが、橋が流された要因の1つではないかと考えています。矢野教授は、「流木が橋に引っかかったのは間違いない。もし橋が流されずに、流木が大量に集積してダムのような状態になってしまえば、周辺があふれた可能性は否定できない」と話しています。
近年は、豪雨の発生数が増加傾向にあります。特に、災害につながる可能性がある「日降水量100mm~200mm以上」の豪雨が増加しているというデータもあり、九州北部豪雨では一時間雨量が120mmを超えていたほか、24時間雨量では500mmを超えており、災害が起きるレベルを完全に超えていました。
豪雨の増加は地球温暖化が影響していると考えられており、今後も温暖化が改善されなければこの豪雨発生率も増加し続けるのではないかと考えられています。
豪雨が増加傾向にあるのは日本だけではなく、東アジアエリアでも同様です。温暖化によって豪雨が発生している主な理由は水蒸気量が世界的に増加していることだと考えられていますが、これは確実な結果ではありませんので、現在も原因解明のための研究が進められています。
さらに気象庁による地球温暖化予測実験によると、今後も24時間雨量100mm以上の豪雨の発生率や「6月~9月に現在よりも降水量が増加する可能性」は増すと言われています。
また、台風についても要注意です。今年は7月末の時点で発生している台風の数が10となっており、8
~9月にかけても多くの台風が発生するとみられています。台風の原因となるのは強い熱帯低気圧です。1970年以降は、この熱帯低気圧が増加傾向にあるため、台風の発生率も上昇していると考えられています。
熱帯低気圧が増えている原因は、地球温暖化によって氷が溶けて、海面が上昇したことが関連しているというデータもあります。
また、地球の気温が上昇したことで海面からの水分蒸発が活発になり、これによってより多くの水蒸気が大気中にとどまることになります。この水蒸気が多い状態で熱帯低気圧が発生してしまうと、さらに強い熱帯低気圧に成長してしまうということです。
地球の温暖化が改善されなければ、今後も強い熱帯低気圧の数は増加し続けるでしょう。
私たち建築に係る者もZEHや低炭素といった対策をお客様と一緒になって推進することで地球温暖化を少しでも防いでいきましょう。