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シンエイ通信【令和7年5月1日作成 185号】

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シンエイ通信【令和7年5月1日作成 185号】

       

◇九州木材商況 

改正建築基準法施行を前に発生していた駆け込み需要の影響が反映され、九州沖縄8県の2月の新設住宅着工戸数は合計7824で前年同月比8.13%増と増加に転じた。九州は他地域より需要が安定しており、直近では大手分譲メーカーが新たに鹿児島に拠点を構えるなど営業を強化する企業もある。ただ、住宅価格の高騰で需要は伸び悩んでいる。6月頃までは住宅着工が停滞するとの見方が強く、先行きが不安視される。

プレカット工場の受注状況は二極化している。価格競争が過熱する一方で、木材価格を抑えたい住宅会社と値上げしたいメーカーの間で板挟みになっている。木材価格を下げるため、品質にこだわらず製品を手当てするプレカット工場も増えている。

外材の代替需要で国産材製品の荷動きは好調だ。メーカーの粘り強い価格交渉によりKD材製品は徐々に値上がりしてきた。

九州内での値上げ幅は、メーカーが希望していた3000円(立法㍍)には届かないものの、1000~2000円に到達してきたいる。ただ、丸太高製品安は続いている。丸太価格は杉はほぼ横ばいで桧は弱含んだ。

【国産構造材】

値上げ浸透も目標届かず

外材の代替需要の後押しを受けて荷動きは好調で、九州でも徐々に製品値上げが浸透してきている。メーカーはKD材全体で3000円(立法㍍)の値上げを唱えていたものの、買い方の仕事量が増えてはいないため価格交渉は難航した。

1000~2000円に落ち着いたところが多い。

製品市場での価格も緩やかな上昇傾向にある。市場担当者は買い方に対し、価格が本格的に上昇する前の積極的な手当てを呼び掛けている。受注に苦戦しており様子見を貫くプレカット工場・販売店も多く、メーカー流通筋ともに利益が圧縮されているとの指摘もある。

【国産羽柄材】

間柱好調で先に値上げ

外材の代替として国産材の注目度が高まっているため、荷動きは順調だ。間柱は特に引き合いが強く、値上げも他の製品より先に浸透した。ただ、原木高の継続に加え運賃や製材コストの上昇幅が大きく、メーカーの採算性向上や人材不足解消への道のりは険しい。製品は、杉KD間柱芯去り材・杉KD小割ともに引き合いが強く想定以上に売れた感じ。

【外材】

欧州材・米松材とも値上げ

欧州材構造用集成材は、メーカーの値上げ唱えにより価格上げが進んでいたが、米松国内挽き製品も国内最大手メーカーが値上げを打ち出した。住宅需要の先行きは不透明だが、産地コスト高から外材横架材は全般に強基調だ。

現状、米松平角3000円(立法㍍)ほど値上げした。

外材同様に、国産材製品を取り扱うメーカーでは、杉・檜KD構造材なども2000円(立法㍍)前後の値上げとなる。

国産材も値上げで足並みが揃ってきた。

【集成材】

需給均衡続く

木材全体の荷動きは3月も盛り上がらず、4月も引き合いは活発とはいいにくい。そのなかで構造用集成材も好調では無いもののムク製品に比べると一定の引き合いが続いているといえる。特に、年明けから国内産の杉集成管柱の供給量が増えたにもかかわらず、4月中旬時点でwwウッド集成管柱を含めて大きな荷余りが生じていないことを踏まえると、新築着工戸数が伸び悩むなかで、構造用集成材の需要は全体的に堅調といってよいだろう。輸入完製品の入荷量の目安となっている東京港への欧州材製品の入港が3月は7200立方㍍と低水準で推移したことや、国内集成材メーカーが新工場稼働の影響を見極めるため、生産量を慎重に調整したことも背景にあるとみられる。

需給バランスが保たれているなかで、国内の集成材メーカーは3月に国内産Wウッド集成管柱の相場を引き上げ、4月から5月にかけて同Rウッド集成平角の値上げ固めを急ぐなど、コスト転嫁の動きを続けている。年明け以降、相場の軟化も想定されていた杉集成管柱も、一部メーカーが値上げを唱え始めたことで、少なくとも4月~5月は弱基調となる可能性が薄れた。

【合板・建材】

需要に見合った荷動き

針葉樹構造用合板は他地域で値上げが打ち出されているが、九州内の荷・値動きは横ばい。

プレカット工場、流通業者は需要に見合った手当てを続けており、住宅需要も建築確認の遅れなどが懸念されているなか、冷静な対応だ。価格は、12mm厚24mm厚ともに横ばいで安定した引き合いがある。

輸入型枠用合板は、年度末が過ぎ引き合いは弱い。産地からの入荷は減っているが、施工・流通業者に買い急ぐ様子は見られない。価格も居所高で推移している。

フローリングはムク、複合とも住宅向け需要が回復していない。壁板は非住宅向けの内外装用途などで引き合いがある。

◇米松・杉製品 3000円(立法㍍)値上げ

中国木材は、全般にコスト高が続くなか、4月から米松製品および杉製品を3000円(立法㍍)順次値上げしていく。

昨年来、米国産地で米松丸太は高値に張りつき、特に米国トランプショックによりカナダとの関係悪化などで、産地からの値上げ要求は厳しい状況になっている。また、杉丸太も出材不足を背景に全国各地で強含んでいる。さらに、この1~2年、人件費を含む製造コストが上昇し、企業努力を重ねてきたが現行価格の維持が難しくなり、4月からの値上げとなった。

米松KD平角は昨秋の値下げ依頼の価格改定になる。競合する構造用集成材は、すでに3月から4月にかけてRウッド集成平角が2000~3000円(立法㍍)値上がりしている。

Wウッド集成管柱も値上げに動き出し、ドライビームや杉集成管柱との値差が開き始めていた。

輸入製品は、米国産地では原木高製品安による採算性の悪化で製材工場は減産を強いられてきた。東京木材埠頭の3月の入庫量は約1万立方㍍とみられるが、2月の入庫は4600立方㍍弱で、前月比大幅減となっていた。供給不足の影響で引き合いの強い小割、小角(特に90ミリ角)類は、地域によって随時値上がりが進み、地域ごとの価格差が大きい。また、国産材の割物、小角類の引き合いも順調だ。尚、同社鹿島第2製材工場は4月から稼働に入り(2023年8月火事発生)月産1万立方㍍を見込んでいる。

中国木材能代工場見学 」 BLOG|西方設計|高断熱・高気密住宅を手掛ける、西方里見による秋田・能代の建築設計事務所

 

◇木造遮音防火工法シャーオン(SH-AON)

シャーオン 遮音 防火 省施工 木造遮音防火工法 シャーオン誕生 | 2024年 | ニュース | 株式会社ノダ

旭化成建材・ノダ・オーシカの3社が共同開発しました。

ALCと防音フローリングで木造専用の防音床材の組み合わせ工法「SH-AON(シャーオン)」

これを採用しているのが、賃貸住宅の建築をてがける某建築会社によると、オーナー様や入居者様に防音性能に満足してもらいつつ、建築費用を軽量鉄骨の3分の2ほどに抑えられる。

同社は、2023年から、木造集合住宅の建築にSH-AONを採用している。SH-AONは、こどのも飛び跳ねなどの重量床衝撃音とスプーンの落下オンなどの軽量床衝撃音の両方を抑える工法だ。建材メーカーの旭化成建材がALC薄型パネル「ユカテック」+ノダの直張り防音フローリング「カナエルC防音45」+オーシカの接着剤「セレクティURー145」を使用。

重量床衝撃音をユカテックが、軽量床衝撃音がカナエルC防音45が抑える。

【SH-AON(シャーオン)の特徴】

  • 子どもの跳びはねなどの重量床衝撃音と、スプーンの落下音などの軽量床衝撃音の両方を抑える
  • 施工の手間や材料費を削減できる
  • 階下への防音対策として多く採用される強化石こうボードを2枚重ねにする方法に比べて軽量である
  • 建材置き場の確保も容易である

◇LUG WEAR

コシイプレザービングは、木材用水性塗料「LUG WEAR」を開発し、ハウスガードシステム(HGシステム)工務店向けに販売初めた。

同社は、今期50周年を迎え、地方のパートナー企業様とともに防腐木材などを供給していくために注薬缶や薬剤の供給を担ってきた。HGシステムを導入している住宅会社向けに、耐久性の高い木材を供給するシステムを持つ。

HGシステムの工務店向けを中心に、外交材の提案などを「LUG WOOD」のブランドで提供している。

木材塗料も従来は油性の塗料を販売していたが、欧州の環境規制に対応し、水性でありながら油性塗料の様なマットな仕上がりと透明化があり、木目が生きる塗料として開発した。

水性でも造膜感が少なく、光沢を抑えたマットな仕上がりの半浸透、半造膜で耐久性に優れた塗料を開発した。アクリル系樹脂を加え透明感の高い、木目が生える塗料。HGシステムの工務店が施工したものは外構材として10年間の保証を付ける。防腐・防カビなどの効果も付与した、防腐薬剤メーカーが作る木材塗料として販売を強化する。

色は10色で「無垢」「琥珀」「孤色」「胡桃」など、あえて和名を付けている。同社は調色機能も持つため、工務店などの要望に応じたオリジナルカラーの調合なども行いたい考えだ。

◇ウッドワン、国産ヒノキの無垢フローリング

ウッドワン(広島県廿日市市)は、国産の桧材を使った無垢フローリング「コンビット ソリッドJ」を発売した。出荷は6月62日から。

2024年10月に、栓と欅の国産材化粧単板を使った突板フローリング「コンビットグラードJ」を発売。今回の新商品もこれらと同じ国産材シリーズにラインアップした。

「無節・上小節・節あり」の3グレード、「クリアホワイト色・無塗装」の2タイプを揃え、節には補修をほどこした。
乾燥加工と裏面処理により寸法変化を抑制し、エンドマッチ加工により施工性を高めている。
同樹種の階段材とのコーディネートが可能。