シンエイ通信
シンエイ通信【令和元年8月30日作成 117号】
- 2019.08.30 | シンエイ通信
■ 住宅・建築物の省エネ基準の改正
国土交通省と経済産業省は8月8日、注文戸建て住宅等に係るトップランナー基準の具体案を住宅・建築物の省エネ基準の改正に関する合同会議で示した。目標年度を2024年度以降とし、外皮性能と一次エネルギー消費量の削減率で設定する。外皮基準については、各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合することとした。一次エネ基準については、各年度に供給する全ての住宅の平均で、省エネ基準に比較し25%削減とした。対象は年間300戸以上供給する住宅事業者。 注文戸建て住宅および賃貸アパートの住宅トップランナー制度が2019年11月から、工務店等が建築主に対して省エネ性能などを説明することを義務付ける「説明義務制度」が2021年4月から始まる。 既に、年間150戸以上の建売戸建て住宅を供給する住宅事業者を対象に課されているトップランナー基準は、現行のまま目標年度2020年度以降で、外皮基準については注文住宅と同じ、一次エネ基準については15%削減とする。 同日、戸建て住宅等の省エネ性能評価方法の簡素化に向けた具体案も示された。工務店を対象に、外皮性能と一次エネルギー消費性能を手計算でできる仕組みとする。 外皮性能は、地域区分や構造等に応じた手入力できる簡易計算シートを作成。市場に流通している戸建て住宅の形態を踏まえ、部位別の面積割合について固定値を設定し、断熱材以外の断面構成要素(内装下 地材等の面材、空気層等)の熱抵抗値等についても固定値とすることで、カタログに掲載してある断熱材や窓の仕様のみの情報で外皮性能を算出できる評価方法をとるとした。 一次エネルギー消費性能は、空調設備の種類など簡易な情報のみで算出できる評価方法をとるとした。市場に流通している各種設備ごとに、性能に応じてポイント数を設定し、外皮計算から得られた外皮性能(UA値、η値)および設置する各種設備に対応したポイント数を合計し、一次エネ基準への適否を判断する。 今後のスケジュールは、9月に建築物エネルギー消費性能基準等に係る省令・告示案を検討。10月24日にはとりまとめを行う。
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■ 建設業人手不足が拡大
帝国データーバンク(東京都港区)は8月22日、「人手不足に対する企業の動向調査(2019年7月)」の結果を発表した。建設業では、旺盛な建設需要を背景に、人手が「不足」していると回答した企業の割合が正社員(67.5%)、非正社員(33.8%)ともに拡大した。
正社員が不足している企業は全体で前年同月比2.4ポイント減の48.5%と、高水準ながら若干の減少がみられた。業種別では「情報サービス」(74.0%)が最も高く、次いで「旅館・ホテル」「メンテナンス・警備・検査」「建設」「運輸・倉庫」などが6割以上となった。規模別では「大企業」が同0.8ポイント増の59.3%で、7月として過去最高を更新。一方、「中小企業」は同3.1ポイント減の45.9%となり、減少が目立った。
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■ 改正建設業法、一部9月から施行
政府は8月27日、建設業の働き方改革を進め、将来の担い手を確保するための「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(改正建設業法等)の施行期日を定める政令を閣議決定した。改正法の一部規定について9月1日から施行する。
9月1日施行の規定は、「建設業従事者の責務の追加」(建設業法第二十五条の二十七)と「建設業者団体等の責務の追加」(建設業法第二十七条の四十)。前者は、建設工事の従事者に対して、建設工事に関する自らの知識や技術又は技能の向上に努めることを求める。後者は、建設業者団体に対して、災害の復旧工事の円滑かつ迅速な実施が図られるよう必要な措置を講じるよう努めることを求める。
そのほか、「中央建設業審議会の審議事項の追加」(建設業法第三十四条)と「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針に定める事項の追加」(入契法第十七条)も同日施行となる。
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■ 2019年度「サステナブル建築物等先導事業
2019年度「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」の第1回募集の採択事業(省CO2先導プロジェクト2019)を発表した。応募115件(一般部門12件、中小規模建築物部門0件、LCCM住宅部門103件)の中から、一般部門5件、LCCM住宅部門103件が採択された。
一般部門の戸建住宅(新築)では、FHアライアンス(愛知県)による「ハイブリッド太陽エネルギー利用住宅先導プロジェクト」が採択された。非住宅(新築)では、虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合による「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業A街区」、サンケイビルによる「サンケイビル本町プロジェクト」、山口県宇部市による「宇部市新庁舎建設事業」、学校法人中央大学による「中央大学多摩キャンパス学部共通棟新築工事」が選ばれた。
LCCM部門の応募数は前年度(第1回)の67件から大幅に増加。住宅の年間供給実績戸数が数戸から1万戸超までの幅広い事業者からの応募があり、寒冷地から蒸暑地まで幅広い地域を対象とし、構造も木造、鉄骨造の多様な取り組みによる提案がみられた。103件は基本要件を全て満足しており、省CO2技術の波及・普及に資するものとして評価された。
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■ 経済産業省の太陽光発電設備の廃棄等費用の確保
経済産業省の太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループは8月26日、10KW以上の太陽光発電設備の廃棄等費用に関わる積立金の金額水準や頻度、時期を明らかにした。太陽光発電設備の積立金の金額水準は、2019年までは調達価格の算定で想定してきた資本費の5%を廃棄等費用とする。2020年以降は、ヒアリング結果等を踏まえて決める。廃棄費用の低下率が不明で、5%と決めることができないため。 調達価格に合わせて1kWhあたりの積立金単価を設定し、買い取り量(kWh)ベースで積み立てる。費用負担調整機関など指定法人等により外部積み立てを行う。積み立ての頻度については、1カ月毎とする。積み立て開始時期・期間に関しては、買い取り期間後半10年に統一する案のほか、稼働済み案件については買い取り期間後半10年、今後稼働する案件については買い取り開始から20年間とする案などが示された。 後半10年で積み立てを実施するためには、20年間の買い取り開始から10年となる2022年7月には積立金制度をスタートさせなければならない。事業者が混乱を起こさないように時期の設定に工夫が必要になる。 2018年4月、10kW以上の太陽光発電設備の廃棄費用の積み立てが義務化された。2018年7月からFITの認定を受けた設備は、積立計画の策定と進捗状況の報告が義務付けられている。10kW以上の太陽光発電設備において、84%が廃棄費用を「積み立てていない」という現状がある。
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