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シンエイ通信【令和8年2月1日作成 194号】

シンエイ通信【令和8年2月1日作成 194号】

  

◇九州木材商況 

九州・沖縄8県の2025年11月の新設着工戸数は7127戸で前年同月比7,9%減であった。

10月と比べると減少幅は縮小したものの、前年に届かない状況が続いており、例年の秋需と比べると盛り上がりに欠けていた。分譲住宅は順調だが地場工務店の苦戦は続いている。

26年も住宅需要が上向く要素はほぼない一方、小規模を中心に非住宅の木造化は年々進んできている。そのため住宅会社やプレカット工場は公共施設や保育園、老健施設、倉庫、牛舎など非住宅の受注に力を入れている

製品価格はほぼ変わっていない。製品市場では買い方は在庫を抱えているため手当て買いが中心だが、1月中旬に九州北部で開かれた初市では比較的に引き合いが強かったものの、例年2月以降、徐々に仕事が減少してくるため、今後が不安視されている。

原木価格は桧を中心に弱含んでいる。昨年年末以降天候が安定していたことも影響し、九州各地の原木市場が開いた初市での集荷量は例年並みだった。ただ、伐採地の奥地化とともに林業従事者の不足は進んできており、全体の出材量は26年も減少する可能性が指摘される。

【国産構造材】

C品は人気もA品苦戦

住宅需要の減少とともに製品の引き合い低迷は続いており、構造材は特に荷動きが鈍い。アパート向けで杉KD柱C品など安価な製品は人気があるが、戸建て向けが中心のA品は需要が少ないため、合わせての購入を促すなど工夫している製品市場もある。

製品価格はほぼ横ばい。丸太価格は、杉・桧ともに弱含んでいるものの約2年大きな価格変化はないため、メーカーは採算性向上に課題を抱えているが、着工減により値上げはしづらい状況だ。

【国産羽柄材】

リフォーム向け好調

住宅需要が低迷するなかリフォーム向けや非住宅向けの好調は続いており、羽柄材は安定して引き合いがある。大型リフォームや中古住宅を大規模リノベーション再販する事業に力を入れる住宅会社も増えてきており、今後もリフォームの好調は継続するとみられる。

製品価格はほぼ横ばい。メーカーは杉・桧ともに羽柄材を挽ける寸法の丸太の手当てを強化している。

【外材】

コスト高反映難しく

円安や産地高などでコスト高になっている外材製品だが、価格は保合で推移。

プレカット工場などの年明けからの引き合いが様子見姿勢になっており、メーカーは出荷量を優先する。

価格は、米松平角KD材・欧州材構造用集成材ともに横ばい。

非住宅木造建築向けは今年の需要回復が期待されているが、予算面は厳しくなっており、地域材活用が優先される流れ。

羽柄・小割材は輸入製品、原版を含めて入荷が減少。海外産地戸の商談自体が難しくなっている。

【集成材】

長引くユーロ高に疲弊

年明けの構造用集成材の荷動きは、工場の稼働を維持する程度の受注はあるものの、盛り上がりに欠ける。昨年12月と同様に、良くも内が悪くもない、だらだらとした荷動きという手応えが続いている。

例年2、3月は需要の端境期で集成材に限らず新築頼みの構造材の需要は落ち込む。そのなかで構造用集成材は、昨年10月から輸入完製品の入荷量が低水準で推移しているため、需給バランスは崩れない見込み。輸入完製品の入荷量が少ない分、国内集成材メーカーに引き合いがシフトすることで、同様の現象が見られた昨年同時期と同様に、国内産は一定量の受注が確保されるとみられている。

昨年7月以降、記録的な円安ユーロ高が長引いているため、輸入完製品の先物契約を決めにくい雰囲気となっている。構造用集成材の仕入れの軸足が国内集成材メーカーへ移る傾向が強まっている様子もうかがえる。

為替は昨年11月下旬から1ユーロ180円台となり、年明け後は一時同185円まで進んで史上最安値を更新。円安傾向が続いており、今のところ円高に振れる見通しは聞かれない。ドルに対しても円安が進んでいるが、ユーロはドル以上に仕入れコストへの影響が大きい。その影響を受ける欧州産のWウッド・Rウッド構造用集成材、同ラミナ、Wウッド羽柄材を扱うサプライヤーと日本側の双方が、採算悪化に疲弊する状況が長引いている。

【合板・建材】

荷・値動きとも横ばい

合板の荷・値動きは、国産・輸入とも横ばい。住宅・建築、公共事業など需要が薄く、景気動向にも先行きの不透明感が強まっていることから、流通業者、プレカット工場とも慎重な手当て姿勢。

針葉樹構造材合板は、メーカーの生産調整が続くなか需給は見合っており、12ミリ厚24ミリ厚ともに横ばい。

非住宅木造建築向けは比較的堅調で、厚物に引き合いが継続している。賃貸住宅向けなどの長尺合板の荷動きは落ち着いた。

輸入型枠用合板は入荷量が減少しており、円安によるコスト高もあるため値上げが必要な状況だが、他の建築資材が居所高で推移するなか価格は抑えられている。フローリングは住宅以外の商業施設、ホテル、公共施設向けなどが堅調。

◇国交省、一級建築士3人に業務停止処分 虚偽の確認済証等で

国土交通省は12月22日、一級建築士3人に対し、建築士法第10条の規定に基づき、中央建築士審査会の同意を得て、12月15日付けで業務停止処分を行ったと発表した。

処分の開始は、いずれも2026年6月1日。

1人目は、業務停止9カ月。埼玉県内の建築物2物件に関し、グローリー一級建築士事務所(埼玉県知事登録(2)第10658号)の業務に関し、虚偽の確認済証及び検査済証を作成し、その写しを建築主に渡した。 また、当該物件の工事監理者として、確認済証の交付を受けていないことを認識していたにもかかわらず、無確認で工事が行われることを容認した。

さらに建築士法第10条の2第1項による報告の求めに対しても報告を行わなかった。

2人目は、業務停止2カ月。愛知県内の建築物(2物件)に関し、うち1物件について虚偽の確認済証を作成し、その写しを工事施工者に交付した。加えて、確認申請の代理者および工事監理者(その他の工事監理者)として、確認済証の交付を受けていないことを認識していたにもかかわらず、無確認で工事が行われることを容認した。

3人目は、業務停止14日。東京都内の建築物について、髙松建設株式会社東京本店一級建築士事務所(東京都知事登録第54842号)の業務に関し、虚偽の確認済証を作成し、その写しを銀行に渡した。

◇熊本県消防学校建て替え(3階、4階は木造軸組構法)

熊本県は県消防学校の校舎老朽化と教育需要の多様化に対応するため、本館と寄宿舎の全面建て替え工事を進めており一部では木質化する。

建物は4階建て1時間耐火建築物で、日本木造住宅産業協会認定の石膏ボードなどによる被覆。1階は教室や教職員室と寄宿舎で2階は教室。

熊本地震の経験から1階、2階ともRC造で免振構造とした。3階、4階は軸組工法による木造の寄宿舎で、構造材や仕上げ材として使われ木材使用量は、590立方㍍。延べ床面積5412立方㍍。

柱は105✕105ミリ、105✕120ミリ、120✕120ミリなどで、梁は105✕210ミリ、105✕240ミリなど。

1981年建築の旧校舎の耐用年数到達と施設機能強化が目的で、より快適な教育環境と大規模災害時の防災拠点機能向上を図る。

九州の広域防災拠点構想で他県からの応援部隊の集結・活動拠点として位置づけられており、1階の大会議室は応援部隊の打合せスペースや作戦室を想定。非常用発電機設置のほか、木造の寮室部分は緊急消防援助隊(救援隊)の宿営室としての活用を見据える。

現在の校舎は他県の消防学校と比較して教室や食堂の面積不足、6人相部屋の寮室といった課題があり、新たな本館・寄宿舎はベッド部分を個室化するなどプライバシーに配慮した。既に着工しており2027年8月中旬の竣工予定。事業費は42憶3,000万円だ。

◇GateのCLTユニット採用 工場製造で工期短縮

福岡市内の宿泊施設でSAIグループのGateが提供する福岡県産材のCLTユニットが採用され、建設が進んでいる。

CLTユニットは製造からプレカットまで銘建工業(岡山県真庭市)が担った。1棟貸しタイプが3棟分で、1棟当たりの延べ床面積は51.88平方㍍。2階建てで、リラックスルームかパウダールーム、バスルーム、サウナを完備。

CLTセルユニットは国産材100%のCLTを使用した構造体で、2.3✕5✕3メートルの箱型の木製ユニットを基本とし、自由に組み合わせて建築を可能とする構造体だ。1ユニット当たり1立法メートル程度の木材を使用。住宅のほか店舗、宿泊施設、公共建築物などで採用され、累計実績は150ユニットに及ぶ。接合部分には日本伝統の蝶蟻技術を採用している。工場でユニットを組み立てることで、現場工期を3分の1程度に短縮する。

施主は不動産業者で、県の助成金により県産材指定でも指定なしの場合と同様の価格で耐えることが出来た。コロナ禍のように宿泊需要が減少する非常事態の際は賃貸住宅として貸し出すことが出来るよう、さまざまな場合を想定しデザイン性にこだわった。

施工は3棟同時に進めており、工期は25年11月~26年1月を予定。

福岡市中心部と周辺地域ではインバウンド需要により長期滞在が可能な小規模宿泊施設が増加している。福岡県はSAI建築社とGateの所属する福岡県CLT流通促進協議会を通じ県産材CLTの活用を推進している。

◇ベタ基礎のシロアリ被害、布基礎の2倍

シロアリ駆除専門サービス「シロアリお助け本舗」を展開するBEST(神奈川県横浜市)は、2025年9月、シロアリ駆除・予防の依頼経験者100人を対象に独自調査を実施した。構造上、シロアリが侵入しづらいと考えられてきたベタ基礎の被害件数が、布基礎の約2倍に達しているという結果になった。

近年、木造住宅においてはベタ基礎が圧倒的多数を占めている。

同社は、ベタ基礎を採用した住宅の多さも踏まえ「ベタ基礎も布基礎も関係なく被害にあう」とした。

蟻害に気づく時期では4~6月が最多。「羽アリを見た」ことで被害に気付いたとの答えが71%を占める。シロアリの被害が表面化するまでには、シロアリの活動開始から数カ月を要する。

 

同社では「布基礎・ベタ基礎を問わず、定期点検と予防が欠かせない」としている。

 

◇大工問題 高い高齢化率2035年には20年比で半減する⁉

 

2020年の国勢調査では大工の総数は約29.8万人。そのうち3割(7.9万人)が関東・首都圏にいる。

大工は最盛期の1980年には93.7万人がいた。2020年までに約64万人、約68%減少した計算だ。

大工は更に減少し高齢化も進む。大工は2035年には2020年比で47%減少して15万7200人程度になってしまう。さらに2050年には、2035年比で45%減少して8万7000人ほどになると予想される。

高齢化率(60歳以上の割合)も高く、2020年時点で40%超。2040年に46%とピークに達し、2050年にかけて40%まで落ちていくと予想する。

あくまでも、シミュレーションによるものではあるが現実味のある数字である。大工がいないと木造建築は成り立たない。

さらに改修工事は特にそうだ。大工が受注数の上限と事業の継続を左右する時代になってきた。

リフォーム・改修工事は、大工人口が半減する2035年問題の“直撃を受ける分野”ですが、同時に最も需要が伸びる分野でもあります。つまり、需要は増えるのに、供給(職人)が減るという“逆方向の力”が同時に起きるのがポイントです。