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シンエイ通信【令和7年12月1日作成 192号】

シンエイ通信【令和7年12月1日作成 192号】

 

◇九州木材商況 着工戸数は改善

九州・沖縄8県の9月の新設住宅着工戸数は7669戸で前年同月比1.23%減だった。

8月は同20.9%減小していたが、持ち家、分譲ともに微減まで回復した。プレカット工場では非住宅の受注も徐々に増えてきており、長く続く住宅着工の不調を補っている。

そのため製材メーカー関係者からは、着工の落ち込みと比べると製品価格は保たれており、荷動きも悪くないとの声が上がる。一方で、11月までの仕事は確保できているところが多いものの、12月以降の仕事が入ってきておらず、先行きを不安視する声も複数聞かれた。

市売での製品価格は長らく変わっていないものの、直販では弱基調だ。製材コストが上昇するなかで丸太高製品安の状況が続いているため、製材メーカーは採算性が悪化している。需要が回復しなければ値上げは難しく、製材メーカーは状況を見つつ値上げできそうなタイミングを探っている。

虫害が懸念される時期が過ぎ、丸太の在庫が可能となった。引き合いは安定しており、出材料の回復により杉、桧とも原木価格はよわ含んでいる。値下げ幅は500~1000円(立法㍍)程度で、大幅な変化はない。

【国産構造材】

安売りに懸念

住宅着工の減少で受注の落ち込みが続くプレカット工場もあるが、大手を中心に安定的に仕事を確保できているところもあり、二極化が続いている。価格競争は過熱しており、材の見直しを積極的に行う工場もある。プレカット工場関係者からは、分譲住宅向けの加工が多く粗利が減少しているとの声も聞かれた。1戸あたりの面積の縮小で、住宅向けの加工量は着工戸数以上に減少する。半面、住宅価格の高騰でローンが通りづらいため、エンドユーザーが戸建てを締めることもあり、アパート需要は増加している。公共物件や店舗、牛舎など非住宅の受注も増えており、住宅の落ち込みを埋め合わせている。

【国産羽柄材】

リフォームで好調

リフォーム向けや非住宅向けの好調により、羽柄材に比べ安定して引き合いがある。羽柄材専門メーカーは順調な受注を続けている。ただ、構造材同様値上げに踏み込める状況ではなく、製材機の原価償却が出来ていないメーカーは採算が厳しいのではないかという指摘も聞かれた。製品価格はほぼ横ばい。リフォーム向けでは販売店や製品市場による急な配送にも対応する小回りの利く仕事が必要とされている。

【外材】

全般に価格横ばい

建築確認申請が遅れていた分の仕事が出てきており、プレカット工場の稼働率は回復してきた。ただ、需要が純増しているわけではなく、溶加材などの注文量は横ばい。これまでの在庫で対応しながら、必要なものを手当てする状況だ。

米松平角KD材・グリン材ともに横ばい。構造用集成材は輸入製品、国内メーカー製品とも先高観が出ていたが、値上がり前に一定量の在庫が確保され、現状も価格は横ばい。集成管柱は欧州材から杉への移行が進んでいる。

【集成材】

円安でコスト高続く

10月以降、全国的にプレカット工場の稼働が回復したことで、構造用集成材の荷動きも上向き、11月も堅調に推移している。非住宅建築物向けの引き合いも重なり、地域や品目によっては11月が出荷ピークという実感も聞かれる。

12月かけて需要がさらに上向く見込みはないが、大幅に落ち込む見通しも今のところ聞かれない。ただ、需要が例年に比べ少ないため、集成材全体に品薄感が出るほどではなく、相場の底上げには至っていない。

国内集成材メーカーの値上げアナウンスは一部品目で通り始めたが、年末に向けて全面値上げとなるかは不透明な状況。

欧州産地との今年第4四半期契約分の交渉で、と仕上げ以降に入荷するラミナも高値水準で推移する見通しとなった。そのため、年内に値上げが浸透しない場合、集成材メーカーは来年も採算の厳しい状況が続くことが懸念されている。

第4四半期契約分は、日本側の買い気が落ち込んでいたことと、記録的な円安を背景に値下げ圧力が強まったことで、産地価格に調整が入った。しかし、足元の1ユーロ179円の円安が今後も続くと、年明けから春先にかけて入荷するWウッド集成管柱やRウッド集成平角の仕入れコストは、第3四半期契約分とほぼ変わらない見込みだ。

【合板・建材】

需給見合う

建築需要は全般に秋需の盛り上がりを欠き、合板の荷動きは停滞気味。針葉樹構造用合板12mm・24mm・28mmともに価格は横ばい。他地域で打ち出されていた値上げ唱えも落ち着いており、九州内への影響は小さかった。メーカーは生産調整を続けている。多少不足感のあった長尺合板も需給が見合う状況。

輸入型枠用合板は、居所高が変わらず、買い方は必要買いに徹している。注文があれば、コスト面を考慮して国内製品を手当てする。

フローリングなどは住宅用の荷動きが低調だが、体育館や商業施設など向けは比較的堅調な出荷。非住宅でも国産材を活用する事例は増えている。

◇子育てグリーン「GX志向型住宅」で不正発覚、申請予約却下

国土交通省と環境省が実施する「子育てグリーン住宅支援事業」の「GX志向型住宅」でこのほど、提出書類の改ざんによる不正行為が発覚し、事務局は同案件の交付申請の予約を却下した。新築注文住宅の交付申請予約の申請書類で確認済証の発行日を改ざんし、不当に補助金の交付を受けようとしたものだという。

事務局は同事案にかかわらず、不正行為によって補助金の交付を受ける、または受けようとしたことが発覚した場合には厳正に対処を行う方針。また、個々の事案に応じて、登録事業者の資格停止や不適切な行為をした事業者として公表する考えだ。なお、「GX志向型住宅」の交付申請は7月22日に予算上限額に達したため、補助金申請・予約の受付は終了している。

同事業を含む「住宅省エネ2025キャンペーン」では、事業者登録の際に「交付申請の手引き」および「事業者登録規約」の確認・同意を求めている。この中で、不適切な行為を伴う交付申請・予約については、交付決定の一部または全部を取り消すことが明記されている。他にも、構成事業の所管庁との情報共有や、グリーン住宅支援事業者としての公表の停止、不適切な行為が行われた事実および事業者の公表などの処分が行われる。

◇旧下請法「取適法」の特設サイト公開 来年1月改正

公正取引委員会は11月117日、「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)が2026年1月11日に改正され、「中小受託取引適正化法」(取適法・とりてきほう)に変更することに伴い、特設サイトを公開した。同サイトでは昔ばなし風のアニメ動画を使って、改正ポイントを分かりやすく解説している。

今回の改正では、発注者と受注者間で用いられてきた「下請」の呼称を改め、法律名を「下請法」から「取適法」に、「下請振興法」を「振興法」(受託中小企業振興法)に変更。「親事業者」は「委託事業者」に、「下請事業者」は「中小受託事業者」に、「下請代金」は「製造委託等代金」にそれぞれ改められる。

「取適法」特設サイトのトップページ

特設サイトの主なコンテンツは、改正法の概要、「取適法」「振興法」の改正ポイントの解説、リーフレットの紹介、関連リンクなど。

「取適法」の改正ポイントでは、▽協議に応じない一方的な代金決定の禁止▽手形払いによる支払いの禁止▽対象事業者の基準に「従業員数」を追加▽対象委託取引に「運送事業者」を追加▽不当な取り扱いに関する報告先に「事業所所管省庁」を追加-といった内容について、アニメ動画で解説。「振興法」については、多段階取引によるサプライチェーンの支援などについて解説している。

◇薪とペレットどちらも使えるハイブリッドストーブ

薪ストーブ販売・施工の薪来歩(マキライフ、滋賀県高島市)は、薪と木質ペレットを兼用できるハイブリッドストーブを発売した。

デンマーク・Aduro(アデュロ)社が開発したハイブリッドストーブ6機種をラインアップ。

薪とペレットの両方を燃料として使えるため、たとえば平日は燃料の調達も点火も容易なペレットで暖をとり、休日は薪をくべて炎の揺らぎを楽しむといった使い分けができる。
ペレット燃焼の場合は、ストーブのボタンを押すと自動で点火。専用アプリを使って帰宅前に遠隔操作で点火したり、火力を調整することができる。

 

<上左から>
両サイドがガラスの円筒形フォルム「H1、燃焼室が広い最新モデル「H6Lux」
<下左から>
サイドガラスがなく壁との距離を近くできる「H2」、光沢のあるサイドガラスの「H3Lux」、光沢のある正面ガラスの「H4 Lux」、四角いフォルムの「H5」

 

 

 

◇暮らしのヒントを提供

十人十家(じゅうにんといえ)くらしの想いをわたしらしく|TOTO・DAIKEN・YKK AP

TDY(TOTO・DAIKEN・YKK AP)の3社はさきごろ、TDY大阪コラボレーションルームで開設15周面フェアを開催した。十人十家を軸に旗艦商品や2025年上半期に発表した新商品を提案した。

カタログや動画だけでは商品の理解に思い込みも生まれるため、解消するためにも実物で他見することは重要。

同ショールームは十人十家のなかからキッチンやリビング、書斎など5プランについて実際の生活感が想像できるように提案している。十人十家は7月に8プランを加えて50プランとなった。空間で見せることでリフォームやライフスタイルのイメージをつかみやすく、きめ細かな提案も進められる。キッチンを中心としたリフォームが多く、内装はグレー基調が引き続きトレンドだ。

DAIKENは、6月に同ショールームのリニューアルを開設後初めて実施し、書斎、パントリー、サニタリーの空間展示を新設した。吸音、消臭、調湿といった複数の機能を備える「クリアトーン12SⅡ」に加え、主力の「イエリア」シリーズからも床材「イエリアフロア3T」、二方枠ドアなどを提案した。

YKK APは、窓額縁取付け面が最小の47ミリとなったウチリモが好評だ。ふかし枠なく取り付け可能になることで、リフォームの制限を減らせる。引手部分も指の挟みこみを防止する形状に工夫した。玄関ドアのリフォームも多く「ドアリモ玄関ドアD50高断熱ドア」が人気だ。70ミリ厚で断熱性が高く、豊富な20デザイン9カラー、見込みも幅も上、右たて、左たてで自由に組み合わせられる。新築では防犯面からガラスの最高が無いものを選ぶ施主が多い。

TOTOは、トイレの中でネオレストLSが1番人気商品だ。直近では健康機能も追加したLS-Wについても関心高まっている。また、キッチン「ザ・クラッソ」シリーズは、クリスタルカウンターに光が当たった時の美しさ、軽い擦り傷であれば汚れと同じように磨いて落とせることが特徴だ。隅々までシンクを洗える水ほうきも洗い物や掃除で活躍する。