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シンエイ通信【令和5年7月1日作成 163号】

シンエイ通信【令和5年7月1日作成 163号】

 

◇九州木材商況 

九州・沖縄8県の4月の新設着工数は合計7927戸で、前年同月比5%減となった。

持ち家は全体的に減少しているが、北部では分譲住宅と賃貸住宅が増えている。着工減少に伴い、プレカット工場は稼働を落としている。

販売店も仕事が少なく、製品の荷動きは全体的に低調。一部で順調な稼働を続けているプレカット工場があり、取引先によって荷動きが好調な製材メーカーでは関東や関西で製品価格が値下がりしているため、九州での販売を若干増やしている。

値下がりした米松KD平角や杉集成管柱を採用する住宅メーカーは増えている。特に福岡県や長崎県で価格を重視する傾向にあり、製品を切り替えた住宅メーカーも多いが、国産無垢材の需要は安定しており、大幅な荷動き低下には影響していない。

原木価格は底打ち感が出てきている。製材メーカー関係者は「現状は採算が取れている」と説明する。ただ、山主に戻る金額は減少している。5月の杉、桧を含む原木平均単価は1万2,700円となり、「平均単価1万5,000円が理想だ」と話す。

【国産構造材】

外材等意識し値決め。

荷動きは全体的に振るわない。杉集成管柱や米松KD平角が、杉ムク材メーカーや流通もこれを意識し価格を設定している。

流通筋は「外材等と根差が開けば顧客に相手にしてもらえない」として強い危機感を抱く。

桧丸太の急騰で、KD土台の極端な安値は一掃された。5月、6月価格は横ばい。

底堅い需要はあるが、原木価格をすぐに製品価格に反映させることは難しそうだ。

価格競争が厳しい九州外消費地への供給を避け、九州内での販売量を増やす製材メーカーもある。

【国産羽柄材】

8月まで厳しい見通し。

製品は全体的に引き合いが弱く、価格は値下がり傾向にある。製材メーカーには値下げの要望が多く寄せられている。

「杉丸太価格は横ばいにあるため、1か月後には製品価格も下げ止まるのではないか」とみている製材メーカー関係者もいる。

ただ、メーカーが減産を続けても、8月までは需要の低迷が続く見通しで、今後の価格推移は不透明だ。

【外材】

KD平角で需要つかむ。

米松国内挽き製品価格は前月比横ばい。KD平角・柱角・小割ともに横ばい。

KD平角は、邸別で流通するRウッド集成材を意識した価格設定だ。

ただ杉KD平角と同等か、それよりも安値水準で取引されているため、杉材からの代替えもある。

米松KD小割は、一部の製品市場で相場以上の価格での取引されている。

それでも小割類は九州では杉材の市場で外材製品の採用地域は九州北部の一部限定している。

【集成材】

構造用集成材は、6月も需要不振が続いている。

例年は7月に需要の小山が見られるが、今年は現時点で荷動きが盛り上がる見通しは立っていない。

国内の集成材メーカーは昨夏から減産を続け、輸入完製品の入荷量も昨年11月以降低水準が続く。半年以上も供給が絞られると通常は品不足が生じるが、今年は需要も落ち込んでいるため、需給が低いところで折り合いあっている。ただ、昨年後半は倉庫に入りきらないほど過剰だった港頭在庫は、例年並みか例年より少ない水準まで減少し、在庫圧縮のために売り急ぐ動きはなくなった。

さらに欧州産地の相場が第2四半期契約分でおおむね下げ止まり、円安の影響で今後の入荷コストが上昇する見込みとなったことで、日本国内も底入れの気配が濃くなってきた。競合品の一部が軟調なうえに住宅着工数の落ち込みなど懸念される要素も多いため、血合いは完全に固まってはいないが、約1年間続いたと見られる。第3四半期契約分の交渉は例年、欧州産地が7月の夏季休暇に入るまでに進むが、今年はまだ動きが見られない。今月下旬から本格的に始まる見込みだが、足元の需要が鈍い日本側の買い気は今回も薄い様子。しかし、第3四半期も成約量が抑えられると、今秋の入荷も引き続き低水準となり、秋需の勢いによっては品不足になる可能性も指摘されている。

【合板・建材】

価格横ばい。

5月の大型連休明けも針葉樹構造用合板の需要に引き締まり傾向は見えにくく、合板メーカーは顧客からの注文量に応じた生産を徹底している。

価格は、12mm・24mmともに横ばいで、針葉樹塗装型枠合板も荷動き回復傾向にある。

国産材を使用している建材メーカーは、住宅需要が振るわない中で光触媒機能を付与した高付加価値製品などの非住宅分野への提案を強化している。九州北部のメーカーは、主力の壁板が公共施設やホテルなどで広く採用しれている。生産者が減っている焼き杉板も近年、改めて注目されている。

 

◇窓の塗るだけで断熱効果

住宅支援機構は、コーティングメーカーのスケッチと連携し、窓遮熱と断熱窓ガラス用コーティング剤「省エネガラスコート冷暖ガラスシールド」を販売している。

省エネガラスコート冷暖ガラスシールドは、既存の窓ガラスの内側に塗るだけで遮熱性能を上げるコーティング剤です。

塗装した単板ガラスで試験した場合で、紫外線カット率が23%がら99.7%、赤外線カット率は27.2%から96.3%に向上し、可視光線率は84.1%から59.5%まで抑えられる。

塗装することで溜めた熱を手前に跳ね返す蓄熱再放射という効果がり、塗装後は熱量の約3分の2を跳ね返す。

これにより夏は屋外からの熱を跳ね返して室内を涼しく保ち、冬は逆に暖房熱を室内に跳ね返すことで温かさを保つ。またガラス自体が熱を持つので、結露も塗装前と比べて半分以下になるという。

同コーティング剤が性能を発揮する上で重要なのが施工で、均等に塗る必要があっるため窓ガラスの清掃と油膜とりが重要となる。

だが祖霊所の技術はいらない。

施工は、サッシ部分に養生テープを張り、サッシの端から5ミリ離して塗るだけ。窓の内側から施工するため、足場施工の必要がない。特殊工具が必要ない為、施工会社としては塗装会社、ハウスクリーニングやビルメンテナンス会社、エアコンクリーニングなどの業種の企業も対象とし、幅広い施工体制で対応していく。

住宅支援機構 「省エネガラスコートH-SC」を塗った状態

◇国交省が子育て世帯向け共同住宅を支援 改修工事も対象に

国土交通省は6月12日から、2023年度の「子育て支援型共同住宅推進事業」を開始した。共同住宅(分譲マンション・賃貸住宅)を対象に、事故防止や防犯対策など子どもの安全確保につながる住宅の新築・改修を支援する。

子育て期の親同士の交流を促す施設の設置などに対しても支援を行う。応募期間は2024年2月29日まで。予算枠に達し次第、募集を終了する。

設備のイメージ(国交省資料より抜粋)

賃貸住宅は新築・改修、分譲マンションは改修が対象。居住者が子育て世帯であることなどを条件とする。支援の対象は、①子どもの安全確保に資する設備の設置、②居住者間や地域との交流を促す施設の設置。交付申請者は、賃貸住宅はオーナーまたはサブリース事業者、マンションは区分所有者またはマンション管理組合。

①では、▽住宅内での事故防止(転落防止の手すり・補助錠、ドアストッパー、チャイルドフェンスなど)▽子どもの見守りを可能とする間取り(対面形式キッチン、キッチンに面したリビング)▽不審者の侵入防止策(防犯カメラ、防犯性の高い窓・玄関ドアなど)▽災害への備え(家具転倒防止のための下地処理工事、避難動線確保工事)―などの設備の設置が対象となる。補助率は新築10分の1、改修3分の1。上限額は1戸につき100万円。

②では、▽多目的室(キッズルーム、集会室など)▽プレイロット(遊具、水遊び場、砂場など)▽家庭菜園▽交流用ベンチ―などの設置が対象となる。補助率は新築10分の1、改修3分の1。上限額は1戸につき500万円。

◇建築業の半数以上が人材問題に苦慮 「2024年問題」直面

クレジットカード会社、アメリカン・エキスプレスは6月15日、建設・建築業界のバックオフィス、特に経理業務の実態を捉えることを目的とした「建設・建築業界における企業間決済調査」の結果を発表。「2024年問題」と呼ばれる、労働環境の改善が急務となっていることが明らかになった。

建設・建築業界では高齢化や労働人口の減少に伴う人材不足で長時間労働が常態化している。来年4月には「働き方改革関連法」により「時間外労働の上限が規制」「割増賃金引上げ」などが行われ、「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」などといった2024年問題に直面している。

調査は建設・建築業界の経営層や支払い、請求などの経理・決済業務に従事している300名以上を対象に、2023年4月に実施。全体の課題として挙げられたのは、「人材不足」(51.8%)や「労働人口の高齢化」(38.5%)となっており、「人」に関する課題が目立った。

人材不足が課題となっている企業では、専門のバックオフィス部門や担当を置いていない場合も多く見られ、経理に関わる業務時間は月間平均で約107時間となっていることが判明。

請求業務においては、在庫確認や見積もりの作成といった受発注処理業務に12.8時間、請求書の準備に11.6時間かかっているほか、支払いに関しては新規取引審査や経営状況の把握に10.5時間かかっており、人材不足とはいえ毎月経理業務に人員を割かなければならない状態が垣間見られた。

そして、効率化したい決済方法を聞いたところ、「銀行振込」(49.2%)「現金」(42.7%)、「手形・小切手」(32.7%)の順で回答が寄せられ、理由としては「ミスを減らしたい」「面倒だから」「別の業務に専念できるようになるから」という点が挙げられた。

建設・建築業における主な取引先との決済方法については請求・支払いのいずれも、銀行振込が85.1%と、最も多く利用されていることが分かった。

さらに、現金(請求43.0%/支払い62.5%)、口座振替(請求23.3%/支払い47.6%)、手形・小切手(請求26.5%/支払い41.4%)、クレジットカード(請求14.9%/支払い30.7%)と続き、決済方法が多様化していることが分かった。

決済方法を選択する理由として、銀行振込は「いつもこの方法だから」(51.6%)が最も多く、手形・小切手(44.8%)、現金(37.3%)では「取引先にこの決済方法を求められるから」が主な回答。

一方で、口座振替(37.5%)、クレジットカード決済(38.2%)においては、選択理由として「手間が少ないから」が最も多く、本来は効率的な手段を優先して選択したいという意向もうかがえる結果となった。

今後のクレジットカードの支払い利用希望は6割で現状の約2倍。「効率化」はもちろんだが、「ポイントが貯まる」(34.7%)や「振込手数料を減らせる」(32.6%)など、決済以外のメリットも挙げられた。

◇自宅でのEV充電を電力需給状況に応じて最適化

戸建て・マンション・事業所向けにEV充電器の導入サービスを提供するユアスタンド(横浜市)は、電力需給状況に応じて電気の使用量を制御し電力需要パターンを変える「DR(ディマンドリスポンス)」により、充電の最適化を実現するシステムを開発した。

自宅で電気自動車(EV)を充電する場合、帰宅後の夕方以降に集中する傾向があるが、夕方から夜間は太陽光による発電が乏しく、ピーク時に電力供給がひっ迫する可能性がある一方で、一部地域では季節や時間帯によって電力供給過多により再生可能エネルギー発電事業者に一時的に出力制御を求めるなどミスマッチが起きている。

そこで、電力ひっ迫時に充電出力を自動調整し、再生可能エネルギーの余剰分が出る時間帯に自動充電される仕組みを構築。
このシステムとWallbox社製の充電器「Pulsar Plus」を組み合わせることで、電力系統や宅内の電力状況によって出力を遠隔制御し、充電を最適化する。

Wallbox製充電器「Pulsar Plus」
日本市場展開第1弾となる商品で、最大8kWの高出力充電が可能。ケーブル付きのため、充電の度にケーブルを出し入れする手間が要らない。200V単相。198×200×99mm