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シンエイ通信【令和5年4月1日作成 160号】

シンエイ通信【令和5年4月1日作成 160号】

 

◇九州木材商況 

九州・沖縄8県の1月の新設着工数は合計6,887戸で、前年同月比4.5%増となった。

沖縄県ではコストや工期短縮での優位性やシロアリ、台風対策の技術向上で木造比率が増加し、同41%増となった。ただ直近の住宅受注は地場工務店だけでなく、複数の大手ハウスメーカーも注文住宅を中心に落ち着いている。

地場工務店を中心とした住宅受注減少に伴い、プレカット工場も全体的に低調な稼働を続けている。一方で、工務店ごとの加工坪数は減少しているが、積極的な営業活動で取引のある地場工務店が増加し、受注が好調な中小プレカット工場もある。

住宅向けの製品荷動きはムク材、集成材ともに全体的に悪く、価格は弱含み。特に米松KD平角などの外材製品や杉集成材の値下がりに伴い杉製品価格も下落。桧製品は杉と比べると価格を維持している。

ムク材の価格は今後も値下がりするとの見方が強く、買い方は買い控えている。メーカーとの価格交渉を慎重に行う流通関係者は「価格が突っ張ると外材、集成材にシェアを奪われていしまうが、電気代などの製材コストは上昇しているため落としどころが難しい」と話す。

【国産構造材】

杉中心に弱基調、製品荷動きは低迷し、製品価格も弱含み。杉KD平角と競合する米松KD平角や、杉KD柱と競合し、同材よりも5000~1万円(立方㍍)高値水準で取引されていた杉集成管柱が、杉ムク材より安値で買われているケースもある。流通業者は杉ムク材のシェアを維持するため、メーカーと価格調整を慎重に進めている。

製品価格は、九州のプレカット工場着で横ばい。桧KD材土台は、米松や米ツガの注入土台に比べると安く、桧KD柱と同土台は8万円前後を維持。ただ、桧専門メーカーは、全体的な弱含みに押されて桧も値下がりするとみている。

【国産羽柄材】

じりじり値下がり。杉KD間柱と同小割には構造材と比較しても荷動きがあるが、プレカット着値がじりじりと下がっている。ただ、電気代など製材費の上昇に加え、丸太価格が高いことから、メーカーは値上げを交渉している。一部の工務店は、杉KD小割を多量に出荷することもある言う。昨年不足していた時期があった同間柱は、現在安定供給されている。

【外材】

国内挽きの米松KD平角材はメーカーが1万円の値下げを打ち出しとなった。同グリン材平角は両材の値差は縮まっている。弱基調で推移するRウッド集成材価格をにらんだもの。

同材は九州では流通量が限られ、メーカー担当者は他地域と同等か若干の高水準で取引されていると指摘する。米松KD小割は国産材の量産工場等が小割類を多量に供給しており、外材の市場は小さい。

【集成材】

輸入構造用集成材は昨年10月を境に急速に入荷量が減少し、年明けも低水準が続く。そのため、昨年後半からの課題である輸入完製品の過剰在庫についても改善に向かっているといわれている。

輸入完製品の在庫消化を優先し仕入れが抑えられていた国内メーカー品も、2月末から3月にかけて引き合いが上向いたとの実感が聞かれるようになってきた。国内メーカー品の復調は昨年11月頃から出始めていたが、12月は再び落ち込むなど一進一退が続いた。しかし、3月は上旬には早くも上向きの声が聞かれ、4月も回復基調が続くとの期待感が高まるなど、明るい見通しが増えている。とはいえ、まだ最悪期を脱したという段階で、フル生産ができるほどの需要は無く、国内メーカーは減産を継続している。戸建て住宅の新築住宅着工数が落ち込んでいるため、4月以降の需要に不安を抱く声も多い。

欧州産地との第2・四半期契約分の交渉は今週から本格的に動き出し、今月下旬にかけてまとまる見通し。この契約分の入荷は通常7~9月で、このころには日本側の在庫量も平年並みに戻る見込みとなれば、仕入れ意欲が上向くタイミングと言える。ただ、需要の先行き不透明感が根強いことと、日本側の市況の先安観が拭えないため、今回の交渉でも日本側に積極的に買いに出ることは考えにくいとの見方が今のところ強い。

【合板・建材】

減産で価格は横ばい。合板の引き合いは国産材、外材ともに落ち着いており、価格にも変化はない。針葉樹構造用合板は12mm・24mmともに前月比横ばい。九州のメーカーは需要に合わて減産を続けており、今後も需要バランスを取りながら対応していく。

木質建材を販売する九州のメーカーは、売り上げは伸びたものの、利益率は悪い。

パーティクルボードを入手しにくい時期があったため、在庫を消化するまで代替品を活用していることに加え、ウッドショック前と比べ資材価格が全体で約2割上昇したことが影響している。

 

◇京都市が「空き家税」を新設 総務相が同意へ

総務省の地方財政審議会でこのほど、京都市が2026年度以降に導入を予定している「非居住住宅利活用促進税」(通称・空き家税)について審議が行われ、間もなく総務相の同意が得られる運びとなった。空き家や別荘、セカンドハウスなどの非居住住宅に同税を課すことで、空き家の発生を抑制し、有効活用を促す。税収は年間約9.5億円を見込む。

同税の新設については、昨年の11月15日にも審議が行われたが、「課税や免除の対象が明確ではない」「納税者への説明が不足している」との理由で、同意が見送られていた。その後、京都市が市内に本拠を置く不動産関係4団体および市民への説明を重ね、課税対象(課税単位)を明確にしたことから、今回新税導入に同意すべきとの判断に至っている。

「非居住住宅利活用促進税」の納税義務者は所有者。賃貸マンションや戸建ては棟単位、分譲マンションは専有部分単位で税率が決まる。税率は、家屋全体の資産価値を基準とする「家屋価値割」は0.7%。家屋の資産価値に応じて課税する「立地床面積割」は、家屋の課税標準が700万円未満は0.15%、700万円以上900万円未満は0.3%、900万円以上は0.6%。

除外対象は、▽家屋価値割の課税標準が100万円未満(条例施行後5年間)▽事業用あるいは1年以内に事業用予定がある▽募集・販売開始から1年未満▽歴史的な価値を有する建築物▽転勤中、海外赴任中(5年間)▽入院・施設入居中▽増・改築、改修工事中―など。他にもさまざまなケースに応じた免税・減免措置を設けている。また所有者が死亡した場合は、当該事実が発生した日から3年間は徴収を猶予する。

◇金属屋根裏面・躯体の劣化を防ぐ通気マットを発売

屋根材販売・屋根工事のケルン(岡山市)は、金属屋根材とルーフィング(下葺き材)との間に設置して通気層を確保する「エアスペーサー」を開発し、本格販売を始めた。

金属屋根材を従来の直貼り工法で施工すると、雨水・結露水の逃げ道がないために長期間にわたって水分が滞留し、屋根材裏面や金具の劣化・腐食、野地板・柱への浸水につながるケースがあったという。
そこで、こうした課題を解消する通気専用のマットを開発した。マットは、ポリプロピレン製の3次元特殊網状体で、断面積の約90%を空気層とすることで、優れた通気性、耐圧性を発揮。空気層が外気の影響を受けにくくし、雨音も軽減できるとする。

幅250・500・1000mm×10m巻の3サイズ。厚みは7〜8mm。税別900円/平米〜。

◇断熱リノベ実例集公開 地場工務店が空き家問題解決へ

LIXIL(東京都品川区)は、日本各地の地場工務店が手掛けた断熱リノベの実例集『断熱リノベの匠』を発行した。第1弾として、SW工法リフォーム加盟店の大黒屋 木づつみ(東京都東村山市)が手掛けた築50年の空き家をフルリノベーションした事例を公開した。

断熱リノベの実例集『断熱リノベの匠』の掲載イメージ

今回のリノベーションにおけるこだわりポイントは3つ。「心地よく、ストレスフリーな家」「“もしも”に備えた安心して住める家」「唯一無二のお気に入りがある家」。

大黒屋 木づつみは、25年もの長いあいだ放置されてきた2棟並ぶ築50年の空き家を買い取り、断熱・気密・耐震にすぐれた高性能化とともに、自然エネルギーを利用した快適な住環境を整えるパッシブデザインを取り入れて設計。空き家は、開放的な空間デザインと心地よくストレスフリーな暮らし心地を体感できるモデルハウスへと生まれ変わった。

1年を通して安心・安全に暮らせる快適な家にするため、築50年の構造躯体を大工がひとつひとつ手作業で新しいものと交換・補強。壁材には「スーパーウォールパネル」を入れ、窓サッシには樹脂とアルミのハイブリッド窓「TW」を採用するなど、住まいの高性能化をLIXILの「まるごと断熱リフォーム」によって実現。従来のリノベの想像を超える快適・健康・省エネ・安心を叶える暮らしを可能とした。

LIXILは、こうした断熱リノベの進化は、各地で増え続けている空き家問題の解決と地域社会の活性化に貢献でき、断熱リノベは住まいづくりの新しい選択肢になるとしている。

◇YKK APが低電圧外構照明発売、プレート型や円筒型など

YKK AP(東京都千代田区)は、フラットな板状デザインのプレート型光源などを採用したエクステリア向けの低電圧照明「VIEW UP(ビューアップ)」を4月3日に発売する。

テラスや庭まわりに安全かつ簡単に施工ができるDC24V・低電圧仕様の照明商品。
独特の浮遊感で”照らす”と”魅せる”を同時に実現する「プレート型照明」をはじめ、外形寸法をΦ65mmで統一して存在感を排除した「円筒型照明」、階段・デッキ(リウッドデッキ200)・カーポート(ルシアス カーポート)の安全性確保と雰囲気向上に役立つ「ラインライト」、さまざまな場所に取り付け可能な「汎用施工ライト」の4タイプ13種類をラインアップした。
接続部での漏電や雨水によるショートを防ぐため、止水性を高めたジャンクションボックスや防水グランド(接続用コネクタ)を採用している。

プレート型照明

◇2月のハウスメーカー受注、前年割れが7社に

ハウスメーカー各社が3月10日までに発表した2月の戸建て注文住宅の受注速報値(対前年同月比、積水化学工業のみ棟数ベース、旭化成ホームズは集合も含む)は、12社中プラスとなったのが5社で前月から3社減り、マイナスが7社となった。積水化学工業は9カ月連続の減少。また、ミサワホームとパナソニックホームズは先月の増加から2ケタの減少となった。一方、大和ハウス工業は4カ月連続、三井ホームとヒノキヤグループは5カ月連続で増加した。

受注額ベース▽積水化学工業のみ棟数ベース▽旭化成ホームズは集合も含む▽累計は各社の会計期の期初から。決算月は積水ハウス1月、ヤマダホームズ2月、タマホーム5月、日本ハウスHD10月、住友林業・ヒノキヤグループ12月、その他3月▽日本ハウスHDは累計非公開