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シンエイ通信【令和5年3月1日作成 159号】

シンエイ通信【令和5年3月1日作成 159号】

 

◇九州木材商況 

民間も含めた非住宅とアパートの建設は好調

熊本県では南阿蘇鉄道が夏の全面復旧を目指し、木造駅舎や一部に木材を使った駅の工事を行っている。

台湾の半導体メーカー進出に合わせ工場周辺の開発が行われているが、鉄骨造が多く木造の話は聞こえていこないという。

販売店やプレカット工場は在庫を抱えており、製品市場の市売では様子見姿勢だ。秋需の影響で間柱を中心に動きはあるが、九州北部の流通関係者関係者からは「全体的に年明け以降冷え込んでいる」との声が聞かれた。製品在庫が減少しても減産体制を続ける製材メーカーもある。

製品価格は、外材や集成材の価格に押され弱含んでおり、メーカーには値下げが要望されている。

積雪による出材減少の為原木価格は高止まりしている。例年2月以降、製品の荷動きが低迷する上製材コストも上昇しており、メーカーは採算性の悪化を警戒している。

【国産構造材】

メーカーは減産継続

九州南部の量産メーカーは昨年11月以降、秋需により柱を中心とした製品の荷動きは若干上向きだった。ただ、関係者は「製材メーカーがこのまま生産を続けると市場に在庫があふれる」と指摘する。同メーカーは現在も減産を続けているが、年間目標として昨年同等の原木消費量を揚げているため3月には通常の生産体制に戻す計画だ。

外材や杉集成柱など集成材に引張られて、値下がり傾向にある。九州内の杉KD柱・母屋・檜KD土台などの九州外の出荷は、集成材の採用が多いことや輸送費を含めた価格が合わないことを理由に苦戦している。

 

 

【国産羽柄材】

採算への不安が強まる

価格が下がってきたことも影響し、間柱を中心に荷動きが上向きになっている。一時は在庫がなくなったメーカーや製品市場もあった。ただ2月以降は例年に動きが落ち着くため、今後のさらなる冷え込みや値下がりが懸念されている。天候不良で丸太価格が高止まりするなか、量産メーカーと中小製材工場はともに採算への不安を強めている。

九州北部の製品市場で行われた初市には買い方が多く訪れたが、様子見姿勢が多く引き合いは弱かった。

【外材】

荷動き不振

流通筋は現状を「全体的に荷物が動いていない状態だ」と指摘している。国内挽き米松製品価格は横ばいで推移している。

米松KD再割製品は杉材への代替が進んでいることなどを理由に、メーカーは九州外地域への提案を強化している。

小割類ではWウッドKD材は流通地域が九州北部の一部に限られている。ロシア産アカ松は以前から九州内での取引はほぼなかったとみられる。

【集成材】

例年2月は不需要期ということもあり、集成材の引き合いは鈍い状態が続いている

昨夏から半年以上需要の停滞が長引いているため、集成材の国内相場も弱含みが続いている。昨年は輸入品の在庫過多が下押しの主要因だったが、集成平角を中心に在庫調整は一定のめどが立ってきた。現状の弱含みは、減少した需要を奪いあう競争が過熱してきたえいきょうが大きいとみられている。Wウッド及びRウッド構造用集成材の市況は、前月からおおむね価格が下振れしている。

産地価格が最高値から大幅に軟化した2022年第4四半期契約分が入荷し始めたことで、在庫品のコスト高は昨年に比べて若干緩和されてきた。ただ、全体の成約量が少ない為、コスト高を解消するには至らず、プレカット工場、メーカー、流通がそれぞれ採算割れに苦慮する状況はなおも続いている。一方、欧州産地では、一足先に底値観が広がってきたようだ。1月後半にかけて23年第一四半期交渉では、構造用集成材とラミナはどちらも前回から軟化したが、22年後半の交渉に比べると下げ幅は縮小した。産地側は生産コスト上昇を背景に採算割れを訴え、日本への売り気が減退する様子もうかがえる。こうした産地の変化を受けて、日本側でも「これ以上は下がらないだろう」との見方が強まった。

【合板・建材】

合板引き合いは昨年に引き続き落ち着いている。価格は国産材、外材ともに今後も横ばい。

 

 

◇中国木材 第三のコンビナート構想<320億円投下し、熊本県八代市進出を検討>

 

日刊木材新聞社 – 木材、建材、住宅、林業などの分野で唯一の日刊専門紙

中国木材は13日、熊本市八代市内で新たな木材コンビナート整備構想を明らかにした。これまでラミナ材の確保などで協業してきた玉名製材との合同事業。2029年~2030年にかけ、製材や構造用集成材の製造、さらには木質バイオマス発電事業まで手掛ける木材コンビナートを整備する。日向工場(宮崎県)24年に操業を予定している能代工場(秋田県)に次いで3番目となる。事業計画によると、製材、加工、構造用集成材工場、発電出力1万kW規模の木質バイオマス発電設備のほか、選木機、原木土場や天然乾燥用土場を整備する。生産品目は平角や管柱等の構造用集成材などが中心。使用する原料は杉、桧。原木消費量は年間12万立方メートル規模を予定する。

丸太の集荷エリアは熊本県内を中心に、鹿児島県や宮崎県からの調達も視野に入れる。

総投資額は、320億円(土地取得費を除く)雇用は現地採用210人程度となる見込み。26年に用地取得及び企業立地協定を結び、27年に造成を開始、29年に製材・加工工場を稼働させ、30年に集成材工場とバイオマス発電設備を運転させる計画だ。

現時点でコンビナートを整備する用地は未定。中国木材は日向工場を52ヘクタール程度の要地で展開しており、市と協議したうえで八代でも日向工場と同程度かそれ以上の土地を確保したい考え。新事業の事業主体は、両社による新会社の設立なども含め検討を続けている。

熊本県内には46年生以上の主伐可能面積が約17万ヘクタールあり、宮崎県に次ぐ森林蓄積を持つ豊富な森林資源がる。九州内で稼働する既存の量産工場と集材地域が重複しないことや、港湾背う美がなされている八代港が将来的に木材製品の輸出拠点と成り得ることも、木材コンビナート整備地として八代市を選定した理由となった。先のウッドショック等に起因する輸入材の調達難により、ハウスメーカーなどが国産材回帰の動きを見せている。今回の事業を通して国産材製品を安定供給する体制を整えることで、住宅部材における外材製品需要への切込みを図っていく。

中国木材と玉名製材、八代市は13日八代市役所で企業理知に向けた覚書調印式を行った。

石橋正浩中国木材取締役は「玉名製材と歯長い取引があり、これまで熊本県への木材コンビナート進出を検討してきた。今回、八代市も含めこのような事業展開をいただけたことを感謝している」と述べた。福島誠治八代市副市長は「本市としても計画の進捗に応じて可能な限りの支援を行っていきたい」と話した。

◇住宅省エネキャンペーン、補助対象の建材など公開

国土交通省は1月27日、「住宅省エネ2023キャンペーン」のリフォームの補助対象となる建材・設備を同キャンペーンのホームページで1月31日から公開すると発表した。また、こどもエコすまい支援事業を利用するために新築住宅の省エネ性能をZEHレベル以上に計画変更しようとする設計者向けの無料相談窓口も1月31日に開設する。

対象となる建材・設備については、今後も順次追加する予定。また2月7日からは、窓の断熱改修を行う場合の各事業(こどもエコすまい支援事業、先進的窓リノベ事業)の補助額や、製品のメーカー・型番を検索できる「我が家の断熱窓検索」を同ホームページに公開する。

設計者向けの無料相談窓口では、設計者がスムーズに設計変更を行えるよう、建築士等の専門家が無料で具体的なアドバイスを行う。相談窓口を利用するには、「住宅省エネ2023キャンペーン」の問い合わせ電話番号(TEL.0570-200-594)からの申し込みが必要。

◇国交省、空き家対策を強化 早期活用に向け法整備

国土交通省は1月31日、住宅宅地分科会の「空き家対策小委員会」を開き、空き家対策の新たな方向性を示した「とりまとめ(案)」の最終審議を行った。空き家期間の短縮と早期段階での活用に向け、「発生抑制」「活用促進」「適切な管理・除却の促進」「民間主体の活動促進」を柱とした対策を実施する。このうち「民間主体の活動促進」では、所有者と空き家活用希望者とのマッチングを円滑に行うため、市町村が保有する空き家の所有者情報を地域団体やNPO法人、不動産・建築事業者などに対して提供する案が盛り込まれた。

自治体に向けた「全国版空き家・空き地バンク」参加への呼び掛けや、所有者や相続者に向けた空き家の活用方法などの情報提供にも取り組む。併せて2015年に施行された「空き家対策特別措置法」の一部改正を行うことで、管理不十分な空き家を円滑に除却するための体制を整える。同案は担当委員、分科会などの承認を得て、近々公表する予定。

2018年時点での空き家の総数は849万戸、このうち賃貸用または売却用の住宅を除いた居住目的のない空き家は349万戸を占め、いずれも増加傾向にある。倒壊の可能性のある建物や保安・衛生上有害となる空き家については、空き家対策特別措置法上で「特定空家」としての指定が可能で、これまでに約14万戸が自治体などの代執行により解体・修繕された。その一方で、自治体が把握している空き家のうち、「特定空家」の約2万戸、「管理不全の空き家」の約24万戸はマンパワー不足、ノウハウ不足などにより現存。約9%にあたる4.7万戸は所有者が不明となっている。

地域によっては、災害に強く資産価値の高い中心市街地や観光地、地域の拠点となるエリアに空き家が集中する傾向もあるという。こうした空き家が物件としての価値を失う「特定空家」になる前の段階に活用を促すことが新たな対策の狙い。活用困難な空き家については予算の充当や税制の改善などにより、所有者が主体的に除却しやすくする。管理不全が改善されない場合は固定資産税の住宅用地特例の解除などにより所有者の決断を促す。このように有効活用や適切な管理を実施することで地域経済の活性化につなげる。

空き家の発生抑制を図る取り組みでは、所有者の死後に住宅が空き家にならないための啓発や働きかけを目標として掲げた。具体的には、▽所有者が生存中に「住まいの終活」を呼び掛ける▽リバースモーゲージやハウスリースバックなどの活用を推奨▽不動産・建築・法務の専門家による情報提供(セミナー・相談会の開催)―などを勧めている。

空き家の活用や民間企業による活動促進に向けた取り組みでは、所有者および活用希望者が早期に決断できる環境を整備。所有者(相続人)に対しては、死亡・相続の行政手続きなどのタイミングを捉えて空き家活用に関する情報提供を行うことを一般化する。管理不全時のリスク(固定資産税の住宅用地特例から外れる可能性など)を伝えるほか、空き家の早期活用方法として「空き家・空き地バンク」「定期借家制度」「DIY賃貸」などを紹介する。

活用希望者に対しては、自治体との連携により地域ニーズ(中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進など)の掘り起こしを行い、物件のマッチングが円滑に進むよう支援。自治体や民間事業者の先行・優良活用事例を公表することで横展開を図る。

◇YKKAP北海道支社、「北国の省エネ・新エネ大賞」優秀賞

YKK AP(東京都千代田区)は2月20日、同社住宅本部 北海道支社(北海道札幌市)が「2022年度 北国の省エネ・新エネ大賞」で優秀賞を受賞したと発表した。同支社が開発したリフォームに対応した樹脂窓「マドリモ 樹脂窓 北海道」の省エネ性や北海道の既存住宅窓の約95%に対応できる点、簡単に窓を交換できる汎用性の高い施工方法などが評価された。

「北国の省エネ・新エネ大賞」は、省エネルギーの推進と新エネルギーの導入促進を目的に、北海道における省エネルギー・新エネルギーに関する有効利用、開発、普及に係る取り組みにおいて、他の模範となる組織などを経済産業省 北海道経済産業局が表彰するもの。

同商品は、トリプルガラスを採用した高性能・高断熱な樹脂窓で、既存の窓枠を残したまま、上からカバーモールをかぶせて新しい窓を取り付けるカバー工法により、簡単に窓を交換できる。断熱性能は、同社の1990年代の樹脂窓と比較して約3倍と大きく向上。暖房など住宅のエネルギー消費を低減し、温室効果ガスを18%削減できるとし、窓の結露も抑え、室内環境を快適に保つ。また、商品は北海道工場(石狩市)で部材から生産・組立てをしているため、地域経済への貢献も大きい。

◇エクセルシャノン、脱炭素に向けトリプル樹脂窓の新製品

エクセルシャノン(東京都中央区、池田州充社長)は2月9日、トリプルガラス樹脂サッシの新製品「シャノンウインドNS×50」を発表した。断熱・気密性で不利だった引違い窓で、国内最高クラスとなる熱還流率0.94W/㎡Kを実現。気密性や遮音性でも高い水準を達成しつつ、価格は現行品の「トリプルシャノンⅡx」と同等に抑えた。

NS×50は、2050年カーボンニュートラルを見据え、新たなトリプルガラス樹脂サッシのスタンダードモデルの位置づけとなる製品。同日の発表会で池田社長は「スタンダードグレードを一新することで社会に貢献できると考える」と話した。

フレームを全面的に刷新し、断熱性とフレーム強度を同時に向上。引違い窓の断熱性は、従来品の開き系の窓(0.94W/㎡K)と同等レベルに。開き窓では0.79W/㎡Kを実現した。また、気密性も引違窓でJISのA-4等級を上回る水準を達成。遮音等級3も全窓種でクリアしている。

ガラスは可視光透過率に優れるLow-Eガラス・ESクリアスーパーも設定し、西日本地域でも選択が可能になる。また、引違い窓では召し合わせ部を50㎜とし、縦すべり出し窓は框の見付け寸法を約16%スリム化するなど、意匠面も大幅に向上させた。窓種は全23種。価格は、カラー品についてはトリプルシャノンⅡxと同等程度で販売していく。発売は今年5月の予定で、防火窓も2024年の発売を予定している。