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シンエイ通信【令和4年9月1日作成 153号】

シンエイ通信【令和4年9月1日作成 153号】

 

 

◇九州木材商況 

九州・沖縄8県の6月新設住宅着工数は合計9271戸で、前年同期比17.4%増となった。半導体や合板の不足に加え着工が遅れていることが影響し、昨年より着工数は増えているが、地場工務店の受注は伸び悩んでいる。マンションの着工もおくれており、プレカット工場は多くの在庫を抱えている。同じく販売店も在庫を抱え、製品市場で買い方は安い札を入れ手当て買いをしている。盆明け以降に仕事量が回復するプレカット工場もあり、現在が踏ん張り時だと見られている。製品市場では6月下旬以降製品が売れにくく製品価格も全体的に下がっており、桧製品は前月より5,000円(立方㍍)程度値下がりした。

【国産構造材】

九州の製品市場は低調だ。九州南部の量産工場では、九州内の製品市場への出荷量が柱も含め全体的に減少した。現在は価格を維持しており採算も取れているが、資材高騰で製材コストは上昇しているため全体的に5,000円(立方㍍)以上値下がりすると厳しい状況になる。

【国産羽柄材】

杉KD間柱や同小割、桧KD小割の荷動きは全体的に低調だ。九州南部の量産メーカーには、販売先から値下げ交渉があるが、大幅な値下げはしていない。関東向け杉KD間柱は現在、比較的に動きが良く、製材した分は販売できている。関東向け販売は受注量の減少や納期を遅らせる要望がある。担当者は「8月以降の受注が心配だ」と話す。

【外材】

米松国内挽き製品の価格は前月比横ばいで推移している。KD小割、同平角いずれも、杉製品よりも割高となっている。

外材の入荷状況は全般的に回復傾向にある。市場関係者は、WウッドKD間柱の在庫を抱える福岡県の販売店では製品市場に並んでいる杉KD間柱に対しても買い控え姿勢をみせている、と指摘する。小割類は、九州では杉材の市場であり、米松やWウッド、ロシア産アカ松製品などの流通量は限られている。

【集成材】

集成材の荷動きは、盆明けも鈍い状態が続いている。一方欧州材を含めた輸入材は、8月も入荷の勢いが止まらず、供給過多が長引いている。港や市中の倉庫は在庫で満杯といわれ、在庫が減ってきたという実感はまだ聞こえてこない。6月の新築着工数のうち木造住宅は前年同比7.4%減で、住宅向けの需要は前年に比べて間違いなく縮小している。そのため、8月はこのまま鈍い荷動きが続く見通し。9月も一定の需要は見えてきたものの、急回復の見込みは今のところ薄い。東北・北陸を中心に8月に豪雨被害が広がった地域では、工事遅れや着工の延期が一時的に増える可能性もある。

【合板・建材】

国産針葉樹構造用合板は、メーカーが生産量を維持しているなかで引き合いに一服感が出始め、納期も以前よりは短くなっている。国産材製品価格は前月比据え置きとなる。長尺材は木建ルートでの流通量は限られている。国産材、外材を扱う建材メーカーのなかには、外材製品の調達コスト高を理由に国産材比率を高めるところがある。抗菌効果を付与した付加価値製品が好評で、文教施設等への採用も多い。大型展示会に出展するなどして提案を強化しているほか、円安を追い風とした国産材製品の海外輸出も視野に入れる。

 

◇NODA9年ぶり、全面的に商品刷新

NODAは、フロアや建具、収納、造作材の商品ブランドを全面的に刷新し、来年4月から新ブランド「Canaeru(カナエル)」を展開する。

全面的な商品刷新は9年ぶり。”あなたらしさを新しくする”をブランドコンセプトに、木質建材メーカーとしての総合力を生かし、フロアや建具、収納から造作材まで統一感ある空間を提供しながら多様なニーズをかなえられるブランドとして訴求力を高める。

新ブランドのカナエルは、多様化するニーズに、空間的な統一感を両立させながら応えていくもの。カナエルブランドの下で、天然木の素材感を基調にしたリゾート風デザイン「R-Design(リゾートラスティック/カナエルRデザイン)」

 

トレンドを意識したシンプルで洗練されたコーディネートを提案する「T-Design(トレンドトーン/カナエルTデザイン)」

477通りの選択肢がある「C-Design(カジュアルコンフォート/カナエルCデザイン)」

3タイプのデザインを展開。これにより、共通ブランドの対応力も強化した。

カナエルブランドの展開に当たり、商品の供給体制も整備した。近年の大空間・天井高のニーズを見越し、天井高2700mmの室内ドアを品番化。このうえで2700mm高の巨大壁が動くような印象を与える引き戸「ビックハンガーフォール」を展開するなど、供給力を生かした商品構成としている。さらに、室内ドアの通気口(ガラリ)では、「キリコカット」を取り入れた3種類のデザインなども用意している。

特注対応品についても、従来に比べ納期を短縮する体制を整えている。

NODAは「120周年を迎えた今年、新ブランドのカナエルを発表し、ブランド力を高めていく」と話し、新ブランドの認知度を高めていく。

◇遮熱+断熱のハイブリッド効果で業界最高水準の断熱性能

アキレス(東京都新宿区)は、“遮熱+断熱”のハイブリッド効果により「夏は涼しく、冬は暖かい家」を実現する、業界最高水準の性能を誇る熱伝導率0.018W/mKの「ジーワンボード」と同0.021W/mKの「キューワンボード」を工務店などに向けて展開する。

ジーワンボードは新開発の断熱材で、キューワンボード同様に、経年変化を抑えて長期断熱性能を発揮し、進化した高性能硬質ウレタンフォームに加え、アルミ箔面材の採用で優れた遮熱性能も有する。外張り断熱、付加断熱はもちろん、充填断熱でも活用できるという。ZEH、HEAT20 G1・G2などで求められる高い断熱性能を実現する。

 ◇建設資材物価指数、最高値を更新-建設物価調査会

建設物価調査会が8月18日に公表した調査リポートで、「建設資材物価指数」が、2020年8月から24カ月連続でプラスとなり、7月に最高値を更新したことがわかった。

それによると、コンクリート製品等の値上がりが大きく寄与し、131.0と前月比2.1Pt増加。建設資材価格の上昇気運が表れはじめた 2020年6月号(東京)時点と比較すると、鋼材、木材、石油関連製品で大幅に上伸したほか、アルミサッシ、ガラス等の建築関連資材、配管用炭素鋼鋼管、硬質ポリ塩化ビニル管等の設備関連資材など幅広く値上げが進展している。

資材別に見るとコンクリート型枠用合板は、現地の原木不足等による入荷減の影響で依然として市中の品薄感は解消されておらず、19 カ月連続で上伸し最高値を更新。ビル用アルミサッシは約 15 年ぶりに値上がりするなど各種資材メーカーの価格改定が急速に浸透している。

建設物価主要資材 40 品目の気配を 3カ月前と比較すると「強含み」が 21品目から7 品目に減少、「横ばい」は 15 品目から27品目に増加しており、騰勢に一服感が見られる。

異形棒鋼は、先安観から流通筋の販売競争が広がり始めており、木材は、新設住宅着工数が前年同月を下回るなか市況に天井感が台頭してきている。しかし、セメント、板ガラス、硬質ポリ塩化ビニル管等はメーカーがさらなる値上げを表明しており、値上げの到達点を探る交渉は今後も続くとみられる。

建設資材の価格を取り巻く状況は、原料や需給の動向にもより強弱入り混じっているが、現状の価格転嫁ではコストアップ分を吸収できないとして値上げ交渉を継続している資材は多い。資材・地域ごとに背景や要因の異なる価格変動が続くため、なお一層の注目が必要だ。

◇リフォームの不満トップは「トイレ」

リフォーム・リノベーションをしたことのある25歳~65歳の既婚の男女400人を対象に「リフォーム・リノベーションで後悔していること」を調査し、その結果を発表した。

『リフォーム・リノベーションを行った場所のうち、不満を感じている場所』を聞いたところ、「トイレ」(112人)と「キッチン」(103人)がともに100人を超えた。以下「洗面所」(85人)、「浴室」(80人)、「リビング」(53人)、「ベランダ」(31人)と続いた。

『リフォーム・リノベーションに不満を感じたのは「出来上がりの質」と「施工会社の対応」どちらか』聞いたところ、「出来上がりの質」が270人、「施工会社の対応」が96人、「どちらにも不満を感じた」が34人となった。

施工会社への不満の内容としては、「コミュニケーションが十分に取れなかった」が最も多く、「希望が通らなかった」、「予算内で納めてくれなかった」と続いた。出来上がりの質に感じた不満としては、「不具合の部分があったのに、対応してもらえなかった」、「断熱効果が思ったほどではなかった」、「思った感じの色ではなかった」などが挙げられた。

また、同調査では事前に「リフォーム・リノベーション経験者に対する満足度調査」を実施。その結果、約9割が「満足している・おおむね満足している」と回答した。

◇すべての職種で「不足」 6月建設労働需給 国交省調べ

国土交通省は7月25日、「建設労働需給調査結果」6月分を発表した。全国の8職種の過不足率は0.9%の不足となり、5月と比べ0.1ポイントと不足幅が縮小。前年同月(0.2%不足)比では0.7ポイント不足幅が拡大した。

職種別の状況では、すべての職種で不足となった。左官の過不足率について対前年の増加幅が大きくなっている(0.1%→2.8%)一方、鉄筋工(土木)の過不足率は対前年の減少幅が大きくなっている(0.8%→0.1%)
8職種の今後の労働者の確保に関する見通しについては、全国で「普通」となっている。

同調査は、2022年6月10日~20日までの間の1日(日曜、休日を除く)を調査対象日として、1584店・社の手持現場9133カ所、一般工2万8114人を対象に調べたもの。

職種別の状況(原数値)。全ての職種で不足となった