シンエイ通信【令和4年2月1日作成 146号】
シンエイ通信【令和4年2月1日作成 146号】
◇針葉樹合板値上げ
国産針葉樹合板は東西双方の合板メーカーが2月出荷分から12mm厚3x6判を100円値上げとする方針を打ち出した。
国産材丸太は取り合い状態で値上がりしている。輸入原材料も高止まりするなか、国内合板メーカーとしては、生産コスト上昇の価格転嫁を進めざるを得なくなった。
12ミリ厚品以外では、24ミリ厚3x6判が200円値上げ、28ミリ厚3x6判250円値上げとのこと。
値上げの要因となったのが、年末年始にかけての丸太価格の上昇だ。合板用杉丸太は、東日本地域を中心に集成管柱などを製造する集成材メーカーの間で争奪戦が続いている。しかも、降雪地域では年末年始の大雪の影響で出材量が減少したことが、値上がりに拍車を掛けている。
東北地方では、合板用杉丸太が東北東部で1万2500円/立法㍍合板工場着、前後と前月比1000円前後上昇。ただ、集成材メーカーとの競争が特に激しい東北西部では、生産に必要な数量を確保するために1万7000円/立法㍍と製材用丸太に近い水準の価格も出ている。また、東北東部でも、通常数両以上を集めようとすれば、西部に近い水準の価格で集めざるを得ず、原材料コストは一段と上昇している。
さらに、西日本の合板メーカーも、東北地方を含めて杉丸太を広域で集材しており、東日本の合板メーカー同様、原材料コストが上昇している。
杉以外でも、東日本のカラ松も値上がりし、東北産で2万~2万2000円上昇している。
西日本の桧も高止まりしているうえに杉丸太以上に製材メーカーなどとの争奪戦が激しく、集材に苦労している。しかも、輸入原材料もロシア産カラ松単板は、船繰りの問題や冬場の日本海の悪天候で入荷が大幅に遅れており、12ミリ厚品の生産に影響している。米松丸太も数量がまとまりづらいうえに現地価格が上昇するなど、国産材の不足を補う手段として活用するのは難しい状況だ。
需要は引き続き旺盛だ。輸入構造用合板や木質ボードといった代替品も品不足に陥るなか、直需・木建ルートとも針葉樹合板の供給を待つしかない状態で、しばらくは、需給とも極めてひっ迫した状況が続く見通しだ。
◇脱炭素型地域づくり目指し新たな支援へ
環境省は2022年度予算案で、脱炭素型の地域づくりとライフスタイル転換に予算配分を集中し、重点的に取り組む考えだ。複数年度にわたる継続的・包括的な支援スキームとして、自治体に対する新たな交付金制度や、企業等に対する財政投融資を活用した新たな出資制度を創設。さらに、脱炭素先行地域づくりと重点対策の全国実施を推進する。
■「脱炭素先行地域」を支援
新規事業の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」は、脱炭素先行地域に選定されているなど、意欲的な地方自治体等に対し、複数年度にわたり継続的・包括的に支援するもの。実施期間は2022~2030年度。
再エネ設備の導入に加え、再エネ利用最大化のための基盤インフラ設備(蓄電池、自営線等)や省CO2等設備の導入、その効果を高めるために実施するソフト事業が支援対象。自家消費型の太陽光発電や住宅の省エネ性能の向上などの重点対策の複合実施等も支援する。
■自治体の見える化等を推進
「ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業」では、地方自治体の実行計画策定・実施等支援システムの整備や自治体排出量カルテ等の提供で、地方自治体の気候変動対策や温室効果ガス排出量等の現状把握(見える化)を支援する。
さらに、ゼロカーボンシティ実現のために必要な、地域での徹底した省エネと再エネの最大限の導入を促進するため、地域経済循環分析やEADAS(環境アセスメントデータベース)等を、地域の合意形成ツールとして整備する。実施期間は2021~2025年度。
■防災と脱炭素の両立を促進
「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」は、災害時に避難施設等になる公共施設への再生可能エネルギー設備等の導入を支援し、災害時にもエネルギー供給等の機能発揮を可能とする。
防災・減災に資する再生可能エネルギー設備や未利用エネルギー活用設備、コジェネレーションシステムと附帯設備・省CO2型設備(高機能換気設備、省エネ型浄化槽含む)等を導入する費用の一部を補助する。費用対効果の高い案件を採択することで再エネ設備等の費用低減を促進する。
再生可能エネルギー設備等の導入に係る調査・計画策定を行う事業の費用の一部も補助する。実施期間は2021~2025年度。
■ローカルSDGsを目指す
「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」(一部 経済産業省・国土交通省連携事業)では、2050年カーボンニュートラルの先導的モデルを創出し、ローカルSDGsの実現を目指す。
地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る「自立・分散型地域エネルギーシステム」の構築を支援するほか、温泉熱等利活用による経済好循環・地域活性化を促進、地域の脱炭素交通モデル構築等も支援する。実施期間は2020~2024年度。
■福島の脱炭素×復興を進める
「脱炭素×復興まちづくり推進事業」では、福島での「脱炭素社会」の実現と福島の「復興まちづくり」の両方の着実な実現を支援する。CO2削減効果がある再生可能エネや廃棄物の適正処理に関する民間企業の先端的な技術等を用いて、福島県浜通り地域で新たな産業を社会実装することを目指し、その事業の実現可能性調査(FS:フィージビリティー・スタディー)を実施する。
また、市町村が2040年または2050年を見据えた再生可能エネルギーの利用の促進に関する目標と具体的取り組みを定めた構想等の策定・策定予定を要件に、「脱炭素×復興まちづくり」の実現に向けた計画策定と、計画に位置づけられた自立・分散型エネルギーシステムの導入を支援する。実施期間は2021~2025年度。
◇店舗・倉庫を鉄骨造から木造へ 大空間とコスト両立する金物
BXカネシン(東京都葛飾区)とポラスグループのポラス暮らし科学研究所(埼玉県越谷市)は、中大規模木造建築を低コストで実現できる金物「MPブレースシート」を共同開発し、11月16日発売した。梁などのコーナーに取り付け、鉄筋ブレース(M18)をつなげて天井の水平構面を補強する金物で、最大8m×8m構面を木造で構築することができる。大空間を必要とする平屋建ての店舗や倉庫、事務所などに適しており、両社はこれまで鉄骨造が多かったこれらの施設に採用することで木造への切り替えを進める。
新製品は、構造用合板と小梁による細かな構成を高強度の鉄筋ブレースに置き換えることで、最大8m×8m構面を少ない部材点数で構築することを可能にした。
ポラス暮し科学研究所の照井清貴さんによると、例えば建物の外形が24m×48mの平屋店舗を木造で造る場合、一般流通材を使用する木造軸組工法だと鉄骨造よりも約1割ほどのコストカットをすることができるが広い空間をつくることはできなかった。一方、大断面集成材を使えば大空間は実現できるがコストは鉄骨造の約1.5倍と、これまでの技術では空間とコストの両立が難しかったという。これが今回の新製品でコストを抑えながら木造でも鉄骨造のようなシンプルな構造で大空間を実現。梁や合板などの部材点数の削減により、設計・施工も容易になったとする。
カネシンではオープン販売とすることで新た市場開拓を進める。まずは初年度30棟の商業施設や倉庫などへの採用を目指し、それを足掛かりに「木造の平屋商業施設を標準化したい」とする。ポラスグループでも、中大規模建築の請負受注やプレカット部材の受注を進め鉄骨造から木造への切り替えを図る。ポラテック木造建築事業部において、現状12.4%の非住宅木造の契約金額構成比を2023年度までに15%にする目標を掲げている。
◇子育て支援型共同住宅の整備を支援
国土交通省は1月20日、2021年度補正予算で創設した「子育て支援型共同住宅推進事業」の募集を開始した。共同住宅に関する、①子どもの安全・安心に資する新築・改修や、②親同士が交流できる施設の設置――などの取り組みを支援する。
補助対象となる共同住宅は、賃貸住宅建設型(賃貸住宅の新築)、賃貸住宅改修型(賃貸住宅改修型引退住宅の改修)、マンション改修型(分譲マンションの改修)の3タイプ。
補助対象となる事業は、(1)子どもの安全確保に資する設備の設置に対する補助に関しては、▽転落防止の手すり等の設置などの「住宅内での事故防止」、▽対面型キッチンの設置など「子どもの様子の見守り」、▽防犯性の高い玄関ドア等の設置などの「不審者の侵入防止」、▽避難動線確保工事など「災害への備え」――などを支援。
(2)居住者等による交流を促す施設の設置に対する補助に関しては、多目的室(キッズルーム・集会室)の設置、プレイロット(遊具・水遊び場・砂場)の設置、家庭菜園・交流用ベンチの設置などを支援する。
補助率は新築は1/10、改修は1/3。(1)は上限100万円/戸、(2)は上限500万円。
共同住宅の補助対象の要件は、3タイプとも、①入居者(居住者)が、小学生以下の子どもを養育していること(賃貸住宅は入居者募集開始から3カ月は子育て世帯に募集を限定する)。また、②住戸専有部分が40m2以上、③新耐震基準への適合――が必要。
加えて、賃貸住宅建設型は、④土砂災害特別区域外、⑤省エネ基準適合、⑥「子どもの安全確保設備」を設置した住戸が1棟当たり5戸以上――が要件となっている。賃貸住宅改修型とマンション改修型は、⑦「居住者等による交流を促す施設」を整備する場合に、①~③の要件を満たし、(1)「子どもの安全確保に資する設備の設置」の実施必須事項の整備水準を満たす住戸が1棟当たり5戸以上であること。
補助の対象となる者は、「賃貸住宅建設型」は賃貸住宅所有者(オーナー)。「賃貸住宅改修型」はオーナーのほか、サブリース事業者(オーナーから改修の許諾を得ている場合)、賃借人(子育て世帯で、オーナーから改修の許諾を得ている場合)が対象。「マンション改修型」は、区分所有者で子育て世帯やマンション管理組合が対象になる。
募集期間は5月31日まで。
◇両面テープ貼りで工期短縮、長尺塩ビシート床材
医療・教育施設などに施工する置敷きタイプの長尺塩ビシート床材「リコンテ(仮称)」2シリーズを2月上旬に発売する。
一般的に長尺シート床材の施工は、接着剤を塗布した下地に床材を貼ってからローラーで圧着するが、新商品は端部を専用両面テープで貼り付けるだけで完了。下地との馴染みがよく、既存の床材の上に直接施工することもできるという。施工時の騒音、臭気、養生、通行止めなどの必要がないため、改修に適する。また、下地を傷めることなく取り外したり、再利用が可能。
「アルトロ カンタータ」4色、「アルトロ ウッド」3色。厚2.4mm、幅2m、ロール長20m。税別の材料設計価格は6980円/平米。