シンエイ通信【令和3年8月1日作成 140号】
シンエイ通信【令和3年8月1日作成 140号】
◇米松乾燥材1万5,000円更に値上げ 中国木材
中国木材は6月20日の値上げに続いて、8月1日受注分から「ドライ・ビーム」や米松乾燥小割材、1万5,000円高(立法メートル)をはじめ、米松製品や集成材を値上げする。
産地価格、フレートともに高値が続き、先高感が募る。
米松丸太価格は7月積みが30㌦上がり、月ごとに上がる様相だ。高値に引張り付くフレートも上昇に転じている。さらにカナダや米国ワシントン州など西海岸は熱波のため、記録的な猛暑と高温に見舞われ、小さな火事が各所で見られ始めた。
例年勃発する大きな山火事は8月になるが、今年は雨がほとんど降らず、大規模な山林火災の可能性が高い。また、連日40度を超える異常気象のため伐採作業は午前中のみ、港の荷役作業も進まずに船が滞在し、6月はフレートが前月比30%上がったという。今後も丸太仕入れコストの値上がりが予想される。例年夏場の建築は進みづらいが、特に今年は建て方も一服気味。
値上げ幅(立法メートル)
ドライ・ビーム(平角・正角)米松乾燥小割(タルキ・筋違)1万5,000円高
米松グリン(角、平角)1万円高、同(タルキ・筋違)1万2,000円高
米松集成材(E135)2万円高
杉集成管柱は7月に1万円上げており、さらに今回1万5,000円高
ハイブリット・ビームは2万5,000円高
同社の主力はドライ・ビームで、増産に力を入れているが、需要増に追い付かず、先行きの在庫不足を懸念して引き続き受注を制限している。
高値だが米松丸太の供給は順調。しかし、国産材工場は杉材の集荷が厳しくなり、生産量は通常の80~85%ペース。ラミナ生産、集成材の製造に影響が出ている。
◇12mm厚3x6 1,100円に値上げ(1次問屋着)
国産針葉樹合板は品薄感が一段と強まっている。7月も直需・木建ルートの引き合いは強いままで、「在庫があればすぐ売れる」
メーカーからの割り振りが少ないなか、流通業者は顧客ごとの配分に苦労している。一方、国内合板メーカーは西日本を中心に原木価格の顧客ごとの配分に苦労している。コスト環境は厳しい。このため、各合板メーカーでは8月出荷分から建値を1,100円/枚(12ミリ厚3x6判1次問屋着)に引き上げる方針を打ち出している。
各合板メーカーでは生産量を上回る出荷が続いている。このため、6月末時点での針葉樹合板の在庫量は9万2100立方㍍(前年比4100立方㍍減)、うち針葉樹構造用合板の在庫量は7万4500立方㍍(同3600立方㍍減)といずれも減少。特に針葉樹構造用合板の在庫量は出荷量ベースで0.3カ月分を下回っている。これだけ低水準の在庫は生産したものを出荷するしかなく、急な注文や通常量以上の注文に対応することは極めて難しいため、納期遅れも続いている。
需要面では7月から大手プレカット会社が受注制限をほぼ解除したことで、合板の手当ても増加。そのほかの直需向けも好調だったうえ、中小プレカット会社のなかには、地場問屋や販売店から現物玉を確保する動きも出ているため、直需・木建ルート問わず品目全般にわたって品薄感が一段と強まった。「言い値で買うから数量を出して欲しいというプレカット工場まで出ている」
需要が旺盛な一方、メーカーの生産量は思うように伸びない。各合板工場では製材や集成材、輸出向けなどの国産材丸太需要が強まるなか、全国的に求める数量を十分に確保するのが難しい。特に西日本では丸太不足の影響から品目によって受注を制限しており、「事実上の減産状態に陥っている」しかも、国産材丸太価格はたかどまりしており、西日本の合板用桧丸太は3万円(工場着、立法㍍)近くまで急騰。東北産カラ松丸太も1万8000円と高止まりしている。米松丸太やロシア産カラ松単板など輸入原材料でカバーしようにも供給量が限られており、国産材丸太の確保難分をカバーしきるのは難しい。
◇ジャパン建材台湾へ構造用合板輸出開始!下半期にはベトナムへも輸出予定!
ジャパン建材は、今月から針葉樹構造用合板の台湾への輸出を開始した。これまでもスポットでの輸出はあったが、毎月の継続的な輸出対応は初めて。今年下半期中にはベトナムへの輸出も予定しており、今後国内市場の需給バランスに配慮しながら海外輸出の拡大を目指していく。
今回の販売先は台湾の建材問屋数社で、同じJKHDグループのキーテック山梨工場で製造した12mm厚3x6判の構造用合板をコンテナで運ぶ。
輸出した構造用合板は日本国内で販売している製品と同じ規格で、現地でも建築用材として使用される。
同社ではJKHDとして、台湾のほか米国や中国などに海外拠点を持っている。日本の今後の住宅着工件数の減少を見据え、長期的な視点で海外市場を取り込み広げていかなければならないと考えたため、海外市場の開拓も積極的に進めている。今回の国産針葉樹構造用合板の輸出もこうした事業展開の一環として昨年から準備を進めていた。
台湾でも日本同様木材製品不足が発生しているほか、合板はマレーシアなどからの輸入南洋材合板が中心の為、現地での丸太不足を起因とする供給不足を抱えている。このため、台湾の顧客から供給増を求める声は強いが、同社としては日本市場の動向もみながら慎重に販売している。
海外では、4x8判が主流だが、3x6判で活用する顧客を用途提案も進めながら開拓していく。また、木材製品不足解消後には合板以外にも国産材製品などの海外販売も目指していく。
◇木材需要「ややひっ迫」、在庫状況「やや品不足」7月調査
国土交通省は7月29日、同月1~5日に行った「主要建設資材需給・価格動向調査」の結果を発表した。セメント、生コンクリート、骨材、アスファルト合材、鋼材、木材、石油の7資材13品目について、価格動向は異形棒鋼、H形鋼、木材(製材・型枠用合板)、石油(軽油)が「やや上昇」、それ以外の資材は「横ばい」だった。需給動向は木材(製材・型枠用合板)が「ややひっ迫」で、それ以外は「均衡」。在庫状況はH形鋼、木材(製材・型枠用合板)が「やや品不足」、それ以外は「普通」だった。
調査は、建設資材の供給側(生産者、商社、問屋、販売店、特約店)と需要側(建設業者)から約2000社のモニターを選定し、主要建設資材の需給、価格、在庫の変動状況を把握することを目的に実施している。
◇住団連、自民党に要望「ウッドショックの早急な支援を」
住宅生産団体連合会(住団連)は、このほど自由民主党の党本部で開かれた「住宅対策促進議員連盟」総会で「住宅市場の現状と課題解決に向けた要望」を提出した。
まずは住宅市場の現状を説明し、控除期間が13年間の住宅ローン減税特例の適用要件が「今年9月末までの契約(注文住宅の場合)」とされており、10月以降に請負契約を結ぶ住宅については住宅ローン減税の取扱いが白紙の状態であるため、9月末を境に激しい反動減が発生する恐れを指摘した。
さらに米国や中国における住宅着工の増加を背景とした木材の価格高騰と品薄状態が発生しており、その長期化が懸念されている。このため、中小工務店を中心に建設工事の中断や遅延、新たな住宅建築工事を受注できなくなる事態(ウッドショック)が発生していることを訴え、早急な対応や支援を求めた。
また、カーボンニュートラルにも触れ、新たなCO2削減目標(2030年度までに2013年度比46%)が設定されたことから、ZEHなど省エネ性の高い住宅の整備へと誘導するとともに、省エネ基準を満たさない既存住宅については建替えや省エネ改修を促進する必要があるとし、より省エネ性の高い住宅の整備を誘導するように各制度の省エネ要件や誘導策を再整理する必要があると述べた。
このほか、住宅ローン減税と住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置を省エネ性能に対応した段階的なインセンティブを設定することや、現下の景気低迷が回復するまでの当分の間、住宅ローン減税特例(控除期間13年間)と現在の贈与税の非課税措置、グリーン住宅ポイント制度の延長を要望した。さらにZEHや共同住宅ZEHの整備の一層の促進を図るため、補助予算を増額することを求めた
◇連想ガラスパーテーションが「10分感防火設備」の大臣認定
大林組(東京都港区)とコクヨ(大阪市)は、10分間の防火性能を有する防火設備「連装ガラスパーティション」を共同開発した。
火災の避難安全設計ではこれまで、排煙設備+不燃内装材(内装制限)を設置することが多かったが、近年の火災シミュレーションでは居室と廊下の間の開口部を防火設備とするほうが少ないコストで廊下への漏煙量を低減できることがわかっているという。
一方で、明るさや開放感が求められる空間では、鋼製枠のない連装ガラスパーティションが好まれるため、これを防火設備とするには鋼製枠を1~2m間隔で設置する必要があり、意匠性が損なわれるという課題があった。
そこで、従来品の課題を解決する商品を開発。日本初という10分間防火設備の大臣認定を取得した。直径約30mmの面外変形防止金具をガラス目地に1点ずつ設置することにより、鋼製縦枠を解消。これで避難安全性と意匠性を両立しながら、排煙設備や内装制限の緩和が可能になるとする。
コクヨ製不燃スチールパーティション(厚70〜130mm)と連結させ、オフィス内に自由に配置できる。