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シンエイ通信【令和2年5月1日作成 125号】

シンエイ通信【令和2年5月1日作成 125号】

 

2020年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」募集開始

国土交通省は4月21日、既存住宅の性能向上や子育てしやすい環境等の整備に資する優良なリフォームを支援する2020年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の募集を開始した。通年申請タイプ、事前採択タイプ「安心R住宅」、事前採択タイプ「提案型」の3タイプの補助対象事業を募集する。

補助対象の住宅は、リフォームを行う既存住宅(戸建住宅、共同住宅)。

主な事業要件は、(1)リフォーム工事前にインスペクション(建物の現況調査)を実施すること、(2)一定の住宅性能を有するようリフォーム工事を実施すること、(3)リフォーム工事の履歴と維持保全計画を作成すること。

補助率は3分の1。補助限度額は、リフォーム工事実施後の住宅性能に応じて100万~250万円/戸。

また、「三世代同居対応改修工事を実施する場合」、「若者・子育て世帯が改修工事を実施する場合」、「既存住宅を購入し改修工事を実施する場合」のいずれかの要件を満たす場合は50万円/戸を上限に加算する。

通年申請タイプは、受付期間内に事業者登録を実施することで交付申請を行うことができる。

受付期間は4月21日~11月30日。事前採択タイプ「安心R住宅」は、「安心R住宅」の標章を付与して流通させるものについて提案を受け付ける。

事前採択タイプ「提案型」は、同事業で定める住宅性能の基準には適合しないものの代替とする措置が同等の性能を有すると認められる場合等、先導性・汎用性・独自性等を有するものについて提案を受け付ける。

事前採択タイプ「安心R住宅」と「提案型」の提案受付期間は4月21日~5月29日。

 

「タダ同然の廃墟物件」に買い手が集まる理由

空家に対する意識が変わってきている。

「価格はゼロ円、佐賀の一軒家を土地、家具・家電付きでもらってください」「越後の田んぼ付き農家を理由あって格安でお譲りします」――。

近年、空き家が社会問題になっているが、通常の不動産流通には乗らないような物件の売買ができる不動産サイトがちょっとした話題になっている。

たとえば、冒頭の越後の物件は、所有者が隣町に引っ越したことで空いてしまった。土地面積は約204㎡で建物は約112㎡、しかも1000㎡の農地付きで、価格はなんと80万円。山奥の物件だが、海水浴場まで45分と、別荘としては理想的な立地のようだ。「家いちば」には、こうした物件が数多く掲載されている。

全国から物件を掲載したいという要望

空き家に対する認識は、近年大きく変化している。たとえば、2年前には問題にされていなかった所有者不明土地が大きくクローズアップされ、日本には想像以上に放置されている土地が多いことがわかった。しかも、収益性で考えると使える空き家は10軒に1軒程度と、意外と少ないこともわかってきた。

一方で、空き家の活用方法が多様化しているほか、活用によっては町にプラスの影響を与えることも認識され始めている。空き家を対象としたクラウドファンディングやマッチングサイトなども登場している。

その中でも、筆者が面白いと思うのが、家いちばだ。不動産コンサルタントの藤木哲也氏が家いちばを立ち上げたのは2年前の10月。ほとんど広告していないにもかかわらず、この間、鹿児島から北海道までの128物件が掲載され、うち15件が契約に至った。

冒頭の佐賀の物件には、60件を超す問い合わせがあり、記事を執筆しているうちに買い手が決まった。2~3日に1件は掲載の依頼があるが、掲載文の校正作業などがあり、現在では掲載待ちの物件がつねに30件ほどあるほか、契約書作成待ちが数件という状態になっている。

入札情報サービスを提供する「うるる」が行った2016年の「空き家バンク運営実態調査」では、回答した219自治体の空き家バンクの平均成約率は月0.4件だから、家いちばの成約率がいかに高いかわかるだろう。

その要因の1つは、従来の不動産取引とは違う掲載条件の緩さにある。価格が決まっていなくても、どんな場所でどんなに古くても、残置物が多くて片付いていない状態でも掲載できるほか、本人の許可があれば親や親戚が所有する物件を無料で掲載できるのだ。

従来の不動産流通では残置物があるだけで扱ってもらえないと思われていたことを考えると、これまで弾かれていた物件が流通に乗るようになったのである。素人の文章、写真にアドバイスをしたり、校正するなどして読まれるようにしている点も大きい。

「もらってくれるならタダでも」という例も

この活況ぶりから、いくつかわかることがある。1つは、売る側の意識の変化だ。家いちばを利用する空き家所有者にとって不動産は重荷であり、資産ではない。実際、「もらってくれるならタダでもいい」という例が多く、最近ではタダなうえに「残置物等処理代として50万円を進呈しますという」秋田の物件さえも出てきている。

150万円で取引された高原の別荘。別荘ではこれから2次相続で売りに出される物件が増えることが予想される。この物件のような保存状態のよい物件であれば、かなりお得だ

価格がついている物件でも、かなりの破格値で売買されている物件が少なくない。たとえば、少し前に契約が成立した高原の別荘は、バブル時代に土地代だけでおそらく数百万円で取引されていたと思われるうえ、建物も残置物さえ撤去すれば住めるような状態だった。それがなんと150万円。売買に時間をかけるより、早く手放して楽になりたいと考えている売り手の気持ちがすけて見える。

買う側も変わってきている。資産としてではなく、利用するものとして不動産を考えていると言えばいいだろうか。たとえば、前述の高原にある別荘を購入した人は、「10年遊んで、10年後にまた150万円で売ればいい」とクール。別荘維持のためにかかる管理費は、「遊ぶための費用」と割り切っているようだ。

神戸の無料物件の内部

廃墟同然の神戸の無料物件にも、30人以上が興味を示した。玄関が壊れているため、自由に内見してもらうようにし、入札にしたところ、7人が応札。タダでいいという物件にもかかわらず、40万円で売れた。使い勝手があまりよくなさそうな物件を、おカネを払って手に入れる行為はなかなか理解しがたいが、自分で好きにしていい建物を手に入れたい人には面白い「おもちゃ」を買った感覚なのかもしれない。

国交省にも手数料を見直す動き

石川県にある街並みが美しい海辺の物件も人気を集めた。現状では活用方法は未定だが、買い主は土地、建物のポテンシャルを生かしていきたいと意欲満々だ。

しかも、仲介手数料は成功報酬のため、売買が成立しなければ、何度現地に行こうが、いくら相談に乗ろうが一銭ももらえない。近隣の物件だけを扱い、どう売るかを考えなくても不動産が売れていた時代であれば、それでもよかったかもしれない。しかし、売りにくいものを工夫して売る時代には、売るための工夫などに関するコンサルティングに対してもなんらかの報酬を支払ってもいいのではないだろうか。

石川県の物件の内部。きれいに保存されている

こうした中、国土交通省も空き家流通を図るため、400万円以下の物件については、仲介手数料の上限を実費なども含めて18万(プラス消費税)にするという動きがあり、現在、パブリックコメントを募集している。早ければ12月中に公布、2018年1月から施行という計画というが、さて、それで空き家が動くようになるかどうか。

藤木氏の場合、仲介手数料は宅地建物業法で定められた手数料の半額としているが、物件所有者に必要な書類を取得してもらうなど、あの手この手で出費を抑え、大幅な収益にはならないが、赤字にもなっていない状況という。そのほか、入札方式とする場合の手数料を別途設けるなどの工夫もしている。

空き家関連のビジネスが乱立する中、家いちばに追随する動きがないのは仲介手数料を鑑みると割に合わないと考える人が多い結果だろうが、モノはやりよう、考えようなのである。

あちこちのセミナーで「空き家が増えているのなら安く買えないだろうか」と期待している人たちに会う。生活費の中で最も割合の大きい住居費が空き家利用で低く抑えられれば、暮らしも人生も変わる。空き家利用ならビジネスも始めやすい。そう考えると空き家の増加は、社会にとってはピンチだが、個人にとってはチャンスともいえる。そして、そのチャンスが積み重なっていくことがいずれ社会のピンチを救うことになるかもしれない。

新型コロナ「住宅ローンの返済に影響」7割

オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」を運営するMFS(東京都千代田区)は、「新型コロナウイルスによる住宅ローン返済への影響」に関する調査を実施し、その結果を発表した。新型コロナウイルスの影響により、住宅ローンの返済が「苦しくなっている」世帯の割合は39.6%。「今後苦しくなりそう」と回答した世帯は28.4%だった。

住宅ローンの返済が「苦しくなっている」、「今後苦しくなりそう」と回答した人のうち、実際に「解決方法を検討または実行した」人は22.6%。検討・実行した方法として最も多かったのは「金融機関への返済猶予についての相談」(7.6%)。次いで、「住宅ローンの借り換え」(6.7%)となった。

新型コロナウイルスの影響によって世帯収入に変化があったかとの問いには、31.3%が「世帯収入がすでに減った」と回答。「今後減りそう」が30.0%、「変わらない」が36.0%となった。すでに収入が減った世帯の減少額(月額)は、「5万~10万円」(30.5%)が最多。次いで「1万~3万円」(22.5%)、「3~5万円」(19.2%)となった。年代では30代が約4割を占めており、若い世代ほど収入への影響を受けている結果となった。

新型コロナウイルスはいつ収束すると考えているか尋ねたところ、「1年以上かかる」(34.0%)とした人が最も多かった。

調査期間は4月17日~18日。現在、家庭で住宅ローンを返済中の男女483人を対象に、インターネットアンケートを実施した。

越井木材、潮解・白華現象を98%低減した内装用防火木材

越井木材工業(大阪市)は4月、防火薬剤による潮解・白華現象を約98%低減した内装用防火木材「スーパーDパネル」を発売した。

樹種は国産スギ材。新しい防火薬剤を使うことで、従来、防火薬剤の吸収により発生していた潮解(表面に水滴がにじみ出る)・白華(潮解後、薬剤成分の一部が結晶化する)の現象を実測値で約98%低減(無塗装品)。
独自のアクリルウレタン系塗装により、これらの現象をさらに抑えることができるとする。

準不燃木材。3サイズ。従来品よりも乾燥時間が短くなるため、受注生産で納期を約5週間短縮。在庫対応も可能で、受注から最短2週間で納品できるとする。