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シンエイ通信【平成31年3月30日作成 112号】

平成31年3月30日作成 112号


■ 長期優良住宅制度のあり方に関する検討会
 国土交通省は3月27日、「第5回長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」を開催。長期優良住宅のさらなる普及促進に向けて、住宅性能表示制度と長期優良住宅制度を一体的に運用する考えを示した。具体的には、住宅性能示制度内で長期優良住宅相当と評価できるようにする

 住宅性能表示制度の責任主体である指定評価機関が両制度の審査を行い、長期優良住宅制度で求められる「長期使用構造等とするための措置」を住宅性能表示制度の「住宅性能評価方法基準」のひとつとして位置付ける方針。申請から認定までの期間の短縮や、審査費用の引き下げにより、利用促進を図る。

 共同住宅の認定促進に向け、認定基準の合理化も進める。現行の制度で、劣化対策や耐震性、可変性、維持管理・更新容易性の基準に適合させるためには、多くの追加コストがかかり、それが利用を阻害する一因になっている。今後、共同住宅の新築を中心とした長期優良住宅の技術的な基準等に関してワーキンググループを設置し、検討を進める。

 共同住宅の認定については、棟単位と住戸単位の2段階で認定を行う案も示された。

■ 公示地価を公表
 国土交通省は3月19日、2019年1月1日時点の公示地価を公表した。全用途(住宅地・商業地・工業地)の全国平均は4年連続で上昇、上昇幅も3年連続で拡大した。三大都市圏では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも上昇が継続。地方圏でも全用途平均および住宅地が1992年以来27年ぶりに上昇に転じた。地価の回復傾向が地方にも波及し、全国的に広がっていることが鮮明になった。

 住宅地では、低金利や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、交通の利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調に推移。商業地では、オフィス空室率の低下やインバウンド需要で店舗・ホテルの進出意欲が旺盛なことなどを背景に需要が拡大した。

 変動率が全国で最も大きかったのは、住宅地・商業地ともに北海道の倶知安(くっちゃん)で、住宅地は50.0%の上昇、商業地は58.8%の上昇となった。このほか、住宅地で高い上昇率をみせたのは、都市中心部へのアクセスに優れる東京都渋谷区(代官山、恵比寿地区)で上昇率が15.0%と、東京圏でもっとも高い上昇率となった。名古屋圏では愛知県一宮市で20.9%、地方圏では福岡県春日市で12.0%の上昇率となった。

 商業地では、東京圏では特に台東区が外国人観光客の増加により浅草地区を中心に34.7%の上昇率を示した。大阪圏では、京都市東山地区で43.6%、大阪市中央区で44.4%の上昇とこちらも高い上昇率となった。

■ 住宅リフォーム事業者実態調査
 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会はこのほど、国土交通省が実施した2017年度長期優良住宅化リフォーム推進事業および住宅ストック循環支援事業に登録された事業者(3055事業者)を対象として実施した2018年度「住宅リフォーム事業者実態調査」の結果を発表した。
 回答事業者の事業年数の分布をみると、建築事業では30年以上が52.2%となっているのに対し、リフォーム事業では30年未満が63.3%と、建築の事業年数に比べて低い年数に分布していた。回答事業者の業種をみると、「工務店」が60.8%で最も多く、次いで「設計事務所」(33.0%)、「リフォーム専業」(28.4%)、「不動産業」(21.4%)となった。
 全従業員数の分布では、「10人未満」が58.0%、「10人〜50人未満」が32.8%となり、「50人未満」の事業者が9割を占めた。リフォーム専属従事人数は「10人未満」が9割を占めた。
 リフォーム工事に携わる職人や資材の充足状況では、「資材は充足しているが人手が不足している」が66.3%となり、「人手も資材も不足している」(5.9%)と合わせて、7割以上が人手不足を感じていることが分かった。将来の見通しでは「人手も資材も不安がある」(15.6%)と「資材の不安はないが人手の不安がある」(67.1%)で8割を超え、人手不足について将来の不安を感じている事業者が多かった。
■ 低炭素社会実行計画
 経済産業省と環境省は3月8日、第6回産業構造審議会産業技術環境分科会低炭素社会実行フォローアップ専門委員会合同会議を開催し、低炭素社会実行計画の現状と課題を共有した。住宅に関連する業種では2020年度目標において、セメント協会や日本レストルーム協会、日本建設機械工業会の3業種がCO2削減目標を前倒しで達成した。板硝子協会は未達成だが削減が進んでいる。プレハブ建築協会は目標より1.0%増加した。2030年度目標では、セメント協会や日本レストルーム協会が目標を前倒しで達成した。

 両省所管の44業種中31業種が2020年度目標を上回り、14業種が2030年度目標を上回っていた。既に目標を達成した15業種が2020年と2030年度目標数値を引き上げることも報告。セメント協会および板硝子協会、⽇本レストルーム⼯業会も引き上げを表明した。

■ 外国人材の受け入れ制度に関する説明会
 国土交通省は3月25日、建設分野における外国人材の受け入れ制度に関する説明会を開催し、特定技能外国人受け入れ事業を行う建設技能人材機構(JAC、4月1日設立予定)の詳細を公表した。

 特定技能外国人の受け入れは同機構が一括して行う。同機構は、企業からの求人情報を集約して求職求人マッチングサイトを構築し、就職・転職を支援するほか、海外現地機関と提携し外国人就労者の技能や日本に関する教育訓練、技能評価試験を行う。また、母国語で対応する相談窓口も設ける。

 特定技能外国人の受け入れを希望する建設関連会社は、機構に加入している団体の会員であるか、機構の賛助会員になることが条件となる。

 同機構は正会員と賛助会員で構成される。正会員は特定技能外国人を受け入れる団体で、賛助会員は、現在、受け入れと直接関係ないが、今後受け入れ予定のある団体や職業訓練関連団体等を想定。賛助会員は企業単独でも加入が可能。設立時の正会員は11職種16団体の予定。加入は随時受け付ける。

 正会員の場合、1団体あたり年間36万円の会費がかかる予定。ただし、受け入れ関連業務を団体自身が機構と協力して行う場合は、年会費はかからない。賛助会員の場合は、1団体あたり年間24万円の会費がかかる予定。会社加入の場合も1社あたり年間24万円。また、特定技能外国人の受け入れにあたり海外現地で訓練や試験をする場合、受け入れ会社は外国人1人あたり30万円を別途負担することになる予定。

 試験のみは1人あたり18万円、試験無しの場合は1人あたり15万円。 同機構への加入手続きに関する相談窓口を、6月中をめどに国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課労働資材対策室(03-5253-8283)と建設技能人材機構(現在、設立準備室 03-5473-1584)に設ける予定。
■ レオパレス21基準不適合問題
 
 国土交通省は3月14日、一連のレオパレス21基準不適合問題を踏まえた原因究明結果の検証と再発防止を目的に、第1回共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会を開催した。

 3月中に1000戸以上の賃貸共同住宅を取り扱う大手賃貸管理会社、十数社に対し品質管理のあり方に関する調査を開始することや、資材の管理方法や設計監理の仕方などについてアンケートや工場視察を行うことを決めた。

 早ければ6月までに再発防止策のとりまとめをおこなう予定。
■ IoT家電の利用者を支援する事業
 経済産業省は、住宅のスマートホーム化促進をめざし、IoT家電の利用者を支援する事業を開始する。2018年度第2次補正予算で「生活空間におけるサイバー/フィジカル融合促進事業」を新設。予算は30億円。

 IoT家電とは、スマートフォンやタブレットなどとインターネットで繋がり、手元で家電を操作したり、運転状況などのデータを管理したりできる家電のこと。洗濯機やエアコン、掃除機、テレビ、体重計、レンジ、炊飯器など、家の中の電化製品がインターネットに接続させることで新しいサービスを提供する事業者も出てきている。

 今回の事業は、IoT家電関連サービスを提供する複数の企業がサービスを利用者に提供する際に、値引きなどのインセンティブ費用として補助金を支給することで、多くの人が利用してもらう仕組みになっている。補助金は国からまずサービス提供者へ、最終的にサービス利用者に流れる仕組み。補助申請はサービス提供者が行う。

 補助対象事業者はサービス事業者やプラットフォーム事業者、機器メーカーなど。サービス事業者とは住宅内に設置するネットワークデバイスから収集した生活データを活用したサービスを提供する複数企業。プラットフォーム事業者は、サービス事業者に室内から収集・分析した生活データを提供するプラットフォーム事業を行う企業。機器メーカーは、室内に設置するネットワークデバイスを提供する企業。

 補助金の上限額は1件あたり1万円、補助率は3分の2以内。利用契約1件につき1度まで。2021年3月末まで対象サービスが継続する計画であることなどが要件。補助事業者(執行団体)は一般社団法人環境共創イニチアチブで、サービス提供会社の募集は2019年3月下旬を予定する。

■ 地方創生交付金による移住支援事業
 内閣府は、東京の一極集中を是正するため、東京23区在住者・通勤者が地方の中小企業等に就職した場合、1人あたり最大100万円、起業した場合、最大300万円を支給する。移住や再就職に際の経済的負担を軽減することで、移住を促す。
 地方創生交付金による移住支援事業で、交付金1000億円の枠内で行う。地域創生に取り組む都道府県を支援する事業で、2019年度から6年間をめどに実施する。
 地方公共団体がマッチング支援の対象とした中小企業に就職した場合、最大100万円、単身者には最大60万円支給する。地域課題解決のため、社会的事業を起業した場合、300万円、単身者の場合は最大260万円、移住せずに地域で起業した場合は最大200万円を支給する。
 対象となる事業分野は、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など。詳細の要件は各自治体が決めることになっている。 背景には大卒の新卒者の約3割が3年以内に離職している一方、地方移住・就職の相談窓口への来訪者や問い合わせが10年間で10倍以上増加していることがある。特に20~30代の若者が過半数に達するなど、地方への就職に対する若者の関心が高まっている。一方で、地域の中小企業の人材不足は深刻で、一定の経験を持つ第二新卒等の若手社員を希望する会社は多い。