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シンエイ通信【平成28年5月31日作成 79号】

平成28年5月31日作成 79号


平成28年熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

これから暑い日が続きますが、避難生活を送られている方々は特に熱中症対策にご注意ください。


■地盤工学会 平成28年熊本地震災害調査報

公益社団法人地盤工学会は、熊本地震による被害調査の結果報告会を開催しました。今回の地震では、大きな断層変位によって、地盤災害が広範囲に発生していることから、地盤工学の観点から1カ月の調査結果をまとめ、復旧活動などに役立てるのが報告会の目的です。

調査に当たった研究者が報告を行い、熊本県平野部では地盤か沈下して住宅が傾いたりする被害が多くみられたことなどが報告されました。この地盤沈下には地盤の液状化現象が関連しているということです。

調査は今後も継続して行われ、引き続き分析を行っていくとしてます。
なお、ホームページ版では下記資料が閲覧することが出来ます。
http://www.sk-shin-ei.com/

平成28年熊本地震 災害調査報告(速報版)2016.4.18 (PDF 2.21MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-災害廃棄物班(速報Vol.1) 2016.4.22 (PDF 8.0MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-土砂災害班 2016.4.25 (PDF 1.16MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-河川堤防班(Vol.1) 2016.4.23 (PDF 4.1MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-災害廃棄物班(速報Vol.2) 2016.5.2 (PDF 6.87MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-液状化班 2016.4.27 (PDF 2.62MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-液状化班(液状化マップ(熊本平野)) 2016.05.11 (リンク)

平成28年熊本地震 災害調査報告-液状化班(速報) 2016.5.11 (PDF 4.56MB)

平成28年熊本地震 災害調査報告-南九州・八代班(Vol.1) 2016.5.7 (PDF 1.64MB)


■熊本地震 における 建築物被害の原因分析を
                  行う委員会(第1回)を開催

国土交通省及び国立研究開発法人建築研究所は、平成28年5月26日に熊本地震 における 建築物被害の原因分析を行う委員会(第1回)を開催しました 。同委員会は、建築構造の専門家、建築設計や建築審査の実務 者を委員とし、国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所及び一般社団法人日本建築学会等が実施している建築物被害調査内容について 、幅広く収集・整理するとともに、調査結果や関連データ等により、専門的、実務的 知見を 活かして、建築物被害の原因分析を行う ことを目的としています。

非常に興味深い資料が多いですが、総ページが100ページを超えていますのでその一部をご紹介します。

会議資料
http://www.nilim.go.jp/lab/hbg/kumamotozisinniinnkai/20160526pdf/haihusiryouissiki.pdf

会議資料の題目は以下の通り

(1)熊本地震及び建築物の被害の概要
(2)現時点における現地調査等に基づく被害状況報告等
 ①建研、国総研による調査概要
 ②学会等における主な調査一覧
 ③地震動の概要
 ④木造の被害状況報告
 ⑤鉄骨造の被害状況報告
 ⑥鉄筋コンクリート造の被害状況報告
 ⑦その他の被害状況報告


■熊本地震で被災した住宅の応急修理について

熊本県よりの被災した住宅の応急修理についての公式発表がありました(5/24)。
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15582.html

対象者は、以下の全ての要件を満たす者(世帯)となります。

(1)当該災害により半壊の住家被害を受け自らの資力では応急修理することができない者又は大規模半壊の住家被害を受けたこと

災害により半壊又は大規模半壊の住家被害を受け、そのままでは住むことができない状態にあること。

※全壊の住家は、修理を行えない程度の被害を受けた住家であるので、住宅の応急修理の対象とはなりません。ただし、全壊の場合でも、応急修理を実施することにより居住が可能である場合はこの限りではありません

(2)応急修理を行なうことによって、避難所等への避難を要しなくなると見込まれること

対象者(世帯)が、現に、避難所、車等で避難生活を送っており、応急修理を行うことで、被害を受けた住宅での生活が可能となることが見込まれる場合を対象。

ただし、対象者が自宅にいる場合であっても、日常生活に不可欠な部分に被害があれば、住宅の応急修理の対象とすることができます

(3)応急仮設住宅を利用しないこと

住宅の応急修理と重複して、応急仮設住宅(民間賃貸住宅含む)を利用することは、応急修理の目的を達成できないため認められません。

また、以前の要件であった収入に関する事項が緩和されています。

(1)所得要件の廃止
(2)世帯の収入の状況、修理を実施する資力が不足する理由を記入した申出書の提出。


■サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を含めた
       今後の高齢者向け住宅のあり方と施策の方向性

国土交通省は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を含めた今後の高齢者向け住宅のあり方と施策の方向性をとりまとめて公表しました

今後の方向性としては、(1)日常生活圏域を目安に、高齢者の住まいと医療・介護等のサービスが適切に提供される体制を実現、(2)サ高住を、単なる住まいではなく「地域包括ケア」を担う存在として捉え、まちづくり全体の中で位置付けることとなっています。

具体的な施策として、

(1)市町村による、地域に即した高齢者向け住宅に係る計画や供給方針の策定促進と、計画に基づく適切な立地誘導

(2)空間の質の高い住宅の供給、既存ストックの活用促進

(3)地域における生活支援サービス、把握状況・生活相談サービスの提供体制の確保・強化

(4)サ高住と医療・介護サービスとの連携、地域の医療・介護サービス拠点の整備、介護サービス利用の適正化の推進

等があげられています。


■現行基準10棟が全壊 日本建築学会

日本建築学会による熊本地震の被害調査速報会が14日、都内で開かれ、被害が甚大だった熊本県益城町で、

現行の耐震基準を導入した2000年以降に建てられたとみられる木造家屋のうち、少なくとも10棟の全壊が確認された


ことが報告されました。

震度7の地震が連続した益城町の役場を中心とする約2600棟のうち、比較的新しい00年以降の建物は400~500棟。耐震基準は「震度6強から震度7でも倒壊しない」ことを前提としていましたが、10棟は全壊しています。

調査結果を発表した京都大の五十田(いそだ)博教授は、これらの建物について「耐震基準の範囲内であっても、壁の配置など設計時の配慮不足か、何らかの施工ミスがあった可能性はある」との見方を示しました。

また。熊本地震に関連しては、地震発生後の4月15日から5月16日までの約1ヶ月間(32日間)で、昨年同時期の5.4倍となる「1034件」の耐震診断を受け付けたと発表しています。