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シンエイ通信【令和6年2月1日作成 170号】
シンエイ通信【令和6年2月1日作成 170号】
◇九州木材商況
住宅需要が振るわないなか今月は上旬に休みが多かったことも関連してか、年明けの建築用資材の荷動きはややゆっくりとした出足となっている。一部に初市の立ち合いで好感触を得る製品市場もあるものの、当用買いを中心とした静かなスタートを切る市場が多い。
プレカット工場も全体的に受注獲得に苦戦している状況で、大手も含めて稼働率は伸び悩んでいる。
木材製品は羽柄材の方が動いている。今後、外材製品の入荷が減った場合、間柱などでは九州外地域も含めて引き合いが強くなることを期待する声もある。原木市場は宮崎県南や熊本は、年明けも丸太の出材量が回復しきれていない。原木価格は宮崎県都城と大分県日田で杉が横ばい、日田と熊本で桧が弱基調で推移している。
原木価格が下がると製品への値下げ圧力も強くなることは木材メーカーにとっても悩みどころだ。製材メーカー社長からは「できるだけ丸太を高値で買い支えたい」との話も聞かれる。低質材は依然として取り合いが続いている状況だ。
九州沖縄8県の2023年の1~11月の新設住宅着工戸数は8万7795戸で、前年同期比2%減だった。
【国産構造材】
需要不足の影響受ける
初市で好感触を得た製品市場があるものの、在庫を嫌う買い方による当用買いが中心の市場も多く見られ、そうしたところは売れ行きもいま一つ。市売りに製品を掛けず、特売に回す市場も見られる。年度末に向かうなかで不安が残る出足だ。
杉KD柱角は依然として厳しい荷動きが続く。同平角は米松製品をにらんだ価格調整が行われている。桧同土台メーカーからは「好調ではないが、荷動きが止まっているわけではない」との声が聞かれる。
福岡県や宮﨑県の製品市場では、杉KD柱角と杉KD母屋が横ばい。
【国産羽柄材】
外材の動向注視
構造材と比較して杉KD間柱、同小割を中心とした荷動きがある。減産を継続しているメーカーも、今後は外材の入荷量が少なくなった場合を見据えて、九州外消費地た受注獲得をうかがっていると話す。
各製材メーカー間での値差はあるものの、九州北部地域では同間柱芯去り横ばいで取引されている。
原木価格は気になるが、製材メーカーも流通も現状価格を維持したい考えだ。
【外材】
価格は横ばい
米松国内挽き価格は横ばいで推移している。KD平角、グリン平角ともに横ばい。RW集成平角も含め、国産材各異株製品よりも居所は高い状況が続く。九州はもともと国産材の市場で、米松材など外材の使用地域は九州北部の一部地域に限られる。
九州北部の流通業者からは「依然として小割に外材を使う工務店がないわけでないが、ウッドショックを機に徐々に杉材へと樹種変更が複数から聞かれる。
デッキざいは合成木材のほか、セランガンバツ材などの荷動きも好調だ。
【集成材】
昨秋から値上がりし始めた構造用集成材は、年初から一段と強含んでいる。足元で入荷している輸入完製品の仕入れコストはまだ高値で推移しているが、国内生産品は値上がりに転じている。
プレカット工場の稼働低迷など需要は少ないが、輸入完製品の減少と米松製材品からの代替需要増加を背景とした品薄、さに、年末に発生した紅海航路回避に伴う輸入品の供給混乱の懸念が重なり、構造用集成材の国内相場が全体的に押し上がった。
【合板・建材】
減産を継続
針葉樹構造用合板は市況に合わせた荷動きとなっている。流通、販売店等は当用買い中心だが、価格の変動より安定的な製品調達を望む傾向が強いとの指摘がある。メーカーは依然ととして減産を維持しており、価格も横ばい。
塗装型枠用合板の荷動きも市況に沿ったものとなっている。輸入型枠用合板は九州でも低調な入荷が続く。
建材分野は国産材を使用汁デッキ材は盛り上がりが薄く、メーカーもしばらくは苦戦が続きそうと読む。内装材関連は住宅向けは厳しいものの、非住宅向けは厚物フローリングなどが特注製品含めて動いているという。
◇制振装置BXカネシン EQ GUARD(イーキューガード)
※本製品はメーターモジュール仕様ではありません。メーターモジュールの場合は別製品のEQ GUARD Mをご使用ください。●軸組変形時に鋼板ダンパー部が変形することで地震エネルギーを吸収する制震装置です。
●国土交通大臣認定を取得しており、壁倍率2.8倍の耐力壁として使用できます。
●90・105×30の片筋かい(壁倍率1.5倍)、大壁仕様の面材耐力壁と併せて設置が可能です。(壁倍率の加算は5倍が上限です。)
●京都大学との共同開発製品です。
●振動台実験により繰り返しの地震に対する性能を確認しています。
※逆向きに合わせるとプレート面が合いませんので、向きを変えてください。
※壁倍率1.5倍片筋かいと併用する場合は、プレート端部と木材端部を合わせて設置します。
②付属の専用ビスで柱と横架材を接合します。床側はYPRー115を用い、床合板を介して接合します。
③同様に上下が反転するようにもう1本も取付けます。
◇地上18階建て、国内最高層の木造賃貸オフィスビル着工
三井不動産(東京都中央区)は1月11日、東京都中央区日本橋にて推進中の「(仮称)日本橋本町一丁目3番計画」について、1月14日に着工したと発表した。設計施工は竹中工務店(大阪市)が行う。竣工予定は2026年9月。
国内最大・最高層の地上18階建・高さ84m・延床面積約2万8000㎡の木造賃貸オフィスビルを建設するもので、三井不動産グループの保有林約100㎥を含む、1100㎥超の国産材を構造材として使用。CO2固定量は約800t-CO2の見込みで、同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較した場合、躯体部分において建築時のCO2排出量約30%の削減効果を想定している。CO2排出量の算出に三井不動産・日建設計(東京都千代田区)作成のマニュアルをベースに策定した「建設時GHG排出量算出マニュアル」を適用する、初のオフィスビル物件となる。
三井不動産グループは、北海道に保有する約5000haの森林において、持続可能な森林経営による“終わらない森”創りに取り組んでおり、同計画では「植える→育てる→使う」のサイクル実践に向けたグループ初の木造賃貸オフィスビルを実現。森で計画的に伐採、間伐した木材を、構造材のほか仕上げ材・内装にも積極的に活用していく。
同物件には、竹中工務店が開発し大臣認定を取得した耐火・木造技術等を多数導入。3時間耐火集成材「燃エンウッド」や、鉄骨梁・CFTの耐火被覆に木材を用いた「KiPLUS TAIKA for CFT」「KiPLUS TAIKA for BEAM」、CLTを用いた耐震壁・制震壁を国内で初めて適用し、主要な構造部材に木材を活用するハイブリッド木造建築物を実現する。なお、同計画は木造化技術を活用したプロジェクトとして、2023年度国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」に採択されている。
木のやすらぎとぬくもりを五感で感じられる木造オフィスビルをめざし、吹き抜け空間であるエントランスホールの壁や天井には、グループ保有の木材や木接合技術を活用。事務所専有部は、構造部材に触れることができる木のあらわしとし、働きながら木と香りを感じられるオフィス環境を創出する。
同社は、東京大学との産学協創「三井不動産東大ラボ」の共同研究の一環で、農学生命科学研究科生物材料科学専攻の恒次祐子教授とともに、木質空間が身体に与える影響を証明する実証研究を推進しており、今後、同計画においても連携し、木造オフィスビルの働きやすさ・過ごしやすさを追求していく。
一部フロアには、日本橋では初となる都心型の賃貸ラボ&オフィス「三井リンクラボ」を整備予定。ライフサイエンス分野の企業を中心に、希少性の高い本格的な研究環境を提供する。
同計画は「日本橋に森をつくる」というコンセプトのもと、都心の新たな緑の拠点として約480㎡の緑地を整備し、緑豊かな歩行空間を創出。生物多様性の保全につながる植栽計画を推進し、「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」取得をめざす。屋上緑化にも取り組み、オフィスビルでは国内初の有機質肥料を用いた最先端の水耕栽培システムを整備。また、グループで初めて空調設備の省エネ効果が期待される室外機芋緑化システムを導入する。
次世代の環境配慮型オフィスビルとして、最先端の新技術・新製品を積極的に採用するとともに、建築廃材・リサイクル材の活用にも取り組んでいく。東芝エネルギーシステムズと連携し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の実装・システム構築を行うほか、共用部にアサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」を設置。竹中工務店の「建築廃材のアップサイクル」のモデルプロジェクトとして取り組むほか、建築資材や内装に環境に配慮した製品を採用していく。
省エネ・創エネ技術の導入などにより、ZEB Ready認証、DBJ Green Building認証(プラン認証)、CASBEE評価認証-建築(新築)におけるSランクの認証取得をめざす。
◇積水ハウス 6800億円で米国ビルダーを買収。シャーウッド全米展開を視野積水ハウスは18日、米国戸建て事業者のⅯ・D・Cホールディングスを買収すると発表した。日本時間1月18日付けでMDCと合併契約を締結した。買収金額は49憶ドル(6879億円、1ドル140円換算)買収実行は2024年上期を予定。MDC買収により、米国既存子会社4社と合わせた積水ハウスグループの全米戸建て引き渡し戸数は約1万5000戸(22年度実績)となり、全米5位に相当する。本買収により米国での有力エリアへの展開が完了。今後は木造ブランド「SHAWOOD(シャーウッド)」の全米展開などを進めていく。
積水ハウスは、17年のウッドサイド・ホームズ買収を機に米国戸建て住宅事業へ本格参入し、これまで4社を子会社化してきた。また成長戦略として、25年に海外市場での戸建て住宅供給1万戸を目標として揚げていた。買収するMDCは、22年度の戸建て引き渡し戸数が9710戸。
買収後の積水ハウスグループの米国戸建て供給力は、既存4社の約5000戸と合わせて1万5000戸に達する。これにより目標の早期達成とともに、同社グループは米国引き渡し戸数で第5位のビルダーとなる。MDCはコロラド州デンバーに本社を置き米国南東部を中心に事業展開。過去10年の引き渡し戸数は全米11~13位で安定している。米州に当たっては、展開エリアや供給力に加え、広域で高品質の住宅を供給する体制、適正価格と顧客満足度を両立した住宅商品、先進的なESGへの取り組みといったMDCの強みが、積水ハウスの米国戸建て住宅事業戦略と合致した。
◇ダイキン、低GWP冷媒R32採用のビル用マルチエアコンを発売
ダイキン工業(大阪市)は、業界トップレベルの省エネ性と環境負荷低減・業務負荷軽減を実現するビル用マルチエアコン「VRV 7」シリーズを2024年11月から順次発売する。
同社では、日本国内で販売するビル用マルチエアコンの冷媒を、従来のHFC-410A(=R410A)に比べてGWP(地球温暖化係数)が約31/3のHFC-32(=R32)への切り替えを実施。これにより、フロン排出抑制法で2025年度以降順次義務付けられるビル用マルチエアコンの低GWP化にも対応する。
新商品は、空調機に求められる7つーー省エネ性、環境性、快適性、安心設計、省施工、機器間連携、空気質見える化を強化。
このうち省エネ性は、エネルギー効率に優れるR32を採用し、これにあわせて形状を最適化した独自のマイクロチャネル熱交換器と高効率圧縮機を搭載することにより、R410Aの従来機比でAPFとCOPを約5%向上した。
快適性については、万一の冷媒漏えい拡大を防ぐ「マルチ冷媒制御ユニット」が、室内ユニットごとの熱負荷に応じて冷媒温度を変化させて快適性を向上、消費電力量も約7%削減する。
さらに、室外ユニット同士の連携により室外ユニット全体の消費電力を削減してCOPを約4%向上する。